充分な睡眠が取れないと夜勤の仕事は辛い。
ただでさえ眠い時間帯。
営業職のように適当な自由が与えられる環境ならばいいが、俺の仕事はそうはいかない。
さらに、常にある程度の作業スピードが求められる。次から次へとこなせばならない業務が待っており、居眠りしたりサボっている余裕などないのだ。
そこで俺は以前より、心療内科で睡眠導入剤を処方してもらっている。

大抵は疲れて帰宅するため、ベッド横になればすぐに眠ってしまう。
しかし日が伸びるこの時期は早朝でも表は明るく、なかなか寝付けないこともある。そんな時はアルコールと睡眠導入剤を同時服用する。
これは、どちらか一方では効かない場合も多い俺が辿り着いた「必眠法」だった。

ただ、昨日は両方飲んでもすぐには眠くならなかった。そこで仕方なく入眠剤を多く飲んだ。
すると、これまでにない不思議な気分を味わった。
妙に楽しいのである。いわゆる「トリップ」のような感覚だった。
そんな夢と現の狭間を彷徨うような状態を楽しみながらPCに向かう内、完全に不覚となってしまい、ワケのわからんことを書いたりしていたようだ。

夜に出勤すると、その一部始終を仲間に語った。
「クセになっちゃうんじゃないの?」
仲間の一人は、俺にそう返した。

仕事明けの帰り道、コンビニに寄って俺はビール数本とスナック菓子を買った。で、前日同様、PCを開いてしょうもないことを綴りながら、ビールと入眠剤を2錠服用した。

前日のような楽しい気分になる前に眠ってしまったようだ。目を覚ますと、PCはスリープモードになっおり、二本目の缶ビールは八割方残ったままでぬるくなっていた。
今回はブログ上に不明な言葉は残っていないが、何かを書こうとしていた痕跡はあった。
昨日以上に意味不明な文字列であった。

それよりも何よりもゾッとしたのは、ベッドの上に煙草が一本、落ちていたことだった。
もちろん火は点いていないが、吸おうとして箱から引き抜いたのは間違いない。
一歩間違えて煙草に火を点けた後で意識を失ったならば、今頃、俺は丸焦げになっていた。

「やめなさい、変な遊びは」

神様だか、俺の祖先だか、守護霊だか、何だかは分からない。
けれど、俺はいつもギリギリのところで守ってもらっている。
大して喜ばしい出来事もないが、大きな苦しみを味わう手前で生かしてもらえている。

そんな気がする。