調書

「昨日の事件について詳しく説明してもらおうか。まず朝、仕事から帰宅したわけだな」

「はい」

「何時頃だ？」

「６時過ぎだと思います」

「それからどうした？」

「テレビを観てました。それからブログを書きながら、ビールを飲みました」

「毎朝、飲むのか？」

「いえ、普段はあまり飲まないんですけど」

「なんで、昨日の朝は飲んだんだ？」

「何となくです。寝つきが悪かったので」

「それから？」

「同時に睡眠導入剤を飲みました」

「いつもアルコールと併用するのか？」

「はい。眠るためなんで。でも飲酒は習慣ではないんですよ」

「入眠剤の種類は？」

「マイスリー１０ｍｇです」

「それを昨日の朝は普段の倍量、２錠を飲んだんだな」

「はい。１錠じゃ眠くならなかったんで」

「で、２錠飲んだら、どうなったんだ？」

「いつもと違って、何だか、とても気分が良くなりました」

「それで？」

「このアメーバにあるゲームをやってる内に・・・」

「やってる内に、どうした？」

「妙に楽しくなってきちゃって。お料理パズルみたいなので、何人もの女子と繋がったりして」

「それから？」

「いや、それからが、よく覚えていないんですよ」

「ブログのデザインを変更してるよな？」

「はい。でも何で変えたのか、理由も全く思い当たらないんです」

「で、それからどうした？」

「このページの木々がね、まるで悪魔の森みたいにトゲトゲしく見えてきたりしたんです」

「その後で、コメントくれた人に『結婚してくれ』などと返したのか？」

「はい。ゲラゲラ笑いながら書いたのは覚えています」

「知らない人だろ？」

「はい、全く存じ上げません」

「お前は知らない人に求婚するのか？」

「自分でもビックリしています」

「ところでお前、さっきから何を飲んでるんだ？」

「これですか？アサヒのドライプレミアムです」

「おいっ、お前！そこに転がってるのは何だ！？」

「あ、錠剤の包装紙、ですね」

「一体、何を飲んだ？」

「マイスリーを２錠」