「あー、よく寝た」

「おはようございます」

「おはようって、もう夕方の6時過ぎじゃねえか」

「でも、夜でも『おはようございます』って挨拶するんですよ」

「誰が?」

「芸能人とか、24時間稼動している国際宅配便の会社とか」

「おかしいよな、それ」

「そういう慣習みたいです」

「さてと、今日はどうする?こんな時間に起きて、出かけるったってなぁ」

「夜勤の仕事って、そういう生活リズムになるからもったいないですよね」

「そうだよな。いくら天気が良くても昼間に寝てりゃ関係ないからな。で、どうしようか?」

「とりあえずシャワーでも浴びて、外に出かけますか」

「で、どこに行くの?」

「そうですね。どこか行きたいトコ、ないですか?」

「ねえよ、別に」

「何か欲しいものとか」

「特にねえよ」

「じゃ家でトランプでもやります?」

「お前と二人で、か?つまんねえよ」

「今週は秋葉原にも行かないですしね」

「そうだな」

「このひと月半、すっかり習慣になってましたからね」

「何だか寂しいな」

「じゃ、あのお店に行ってみればいいじゃないですか?」

「行ってどうすんだよ。あの娘が居なきゃしょうがねえだろ?」

「他の女の子で我慢するとか。ほら、あの谷間ちゃんとか」

「やだよ。谷間なんか見ててもつまんねえよ」

「ですよね。谷間と話するわけじゃないですからね」

「何だかさぁ、こうポッカリと、胸に穴があいちまったような気分だよ」

「・・・・・・・・・・」

「何だよ?何か言えよ」

「隊長、今どき、恋する中学生でもそんなこと言いませんよ」

「・・・・笑ってんじゃねえよ」