「♪イナズメ~ヤストモ~、イナズメ~ヤストモ~」
「何すか、隊長、その歌は?」
「ん?これは『イナズメヤストモ君の歌』だ」
「変な歌ですね。一体、誰が作ったんですか?」
「友達の弟だよ。家でずっと歌っていたのを兄貴が聴いていて、それを俺に教えてくれたんだ」
「ただ名前を繰り返すだけなんですか?」
「いや、違う。♪イナズメ~ヤストモ~を2回繰り返した後にだな」
「繰り返した後に?」
「♪アッ、アンアン、アッ、アア~ンってなるんだよ」
「くだらな過ぎますよ、それ」
「しょうがねえだろ、そういう歌なんだから」
「でも、そういうどうでもいい事って意外と覚えてますよね」
「そうなんだよな」
「自分もありますよ。祇園精舎とか」
「何だ、それ?」
「平家物語の冒頭ですよ。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす、驕れる者も久しからず、ただ春の夜の夢の如し、たけき者もついには滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ」
「そんなの、よく覚えてるな」
「中学の時、国語の授業で無理矢理に覚えさせられたんですよ」
「へぇ、他にも何かあるか?」
「般若心経」
「お経じゃねえか。お前、仏教徒か?それとも、仏教系の学校出身?」
「違うんですよ。小学校の時、進学塾に通わされていて、その塾の合宿で禅寺に泊まって」
「塾の合宿でお寺に泊まるの?」
「そうなんですよ。座禅とか組まされるんです。寺の掃除もさせられて。あとはひたすら勉強」
「何時間くらい勉強するの?」
「8時間特訓です」
「嫌になっちゃうな」
「嫌になりますよ。でも、好きな女の子が出来たりもしてね。今となれば、いい思い出です」
「で、お経は?」
「マ~カ~ハンニャ~ハ~ラ~ミ~タ~シンギョオ~オ~。カンジ~ザイボ~サツ、ギョウジンハンニャ~ハ~ラ~ミ~タ~ジ、ショ~ケンゴ~オンカイクウ、ド~イッサイク~リャク、シャ~リ~シ~、シキフ~イ~ク~、ク~フ~イ~シキ、シキソクゼ~ク~、ク~ソクゼ~シキ」
「え、終わり?」
「いや、ホントはまだ続くんですけどね。3泊4日だったんで、その辺りまでしか・・・」
「なるほど」
「隊長は、他に覚えているの何かないんですか?」
「あるよ。アオキ、アオヤギ、イトウ、イハラ、ウシマル、エダムラ、オオノ、オオモリ」
「何すか、それ?」
「高校のクラスメートだよ。毎朝、担任が出席取るから、知らぬ間に覚えちゃった」
「全員、言えるんですか?」
「言えるよ。オシキリ、コクボ、サナダ、セイジ、トシヤ、スズキ、タキ、タナカ・・・」
「ちょっと待って。五十音順でしょ?何でトシヤの後にスズキに戻るの?」
「あ、そこ?セイジとトシヤは二人とも清水なんだよ。だから、そこだけは名前なの」
「ふ~ん」
「トーヤマ、ナカダ、フクモリ、ミネダ、ミヤムラ、ミヨシ、ムネサワ、ムラタ、ヤマシタ」
「よく覚えてますね」
「え~と、イイジマ、イシダ、エンドウ、カメザワ、カワスミ、コバヤシ・・・」
「ちょ、ちょっと待って。今度は何ですか?」
「男子に続いて、女子に決まってるだろ」
「いやいや、もういいですよ」
「だって途中で止めたら気持ち悪いだろ。45人、全員言わせてよ」
「いや、もうホント、十分ですから」
「そうか。ま、確かに覚えていても、何の役にも立たないな、こういうの」
「大事なことは忘れちゃったりするのに、ね」
「何すか、隊長、その歌は?」
「ん?これは『イナズメヤストモ君の歌』だ」
「変な歌ですね。一体、誰が作ったんですか?」
「友達の弟だよ。家でずっと歌っていたのを兄貴が聴いていて、それを俺に教えてくれたんだ」
「ただ名前を繰り返すだけなんですか?」
「いや、違う。♪イナズメ~ヤストモ~を2回繰り返した後にだな」
「繰り返した後に?」
「♪アッ、アンアン、アッ、アア~ンってなるんだよ」
「くだらな過ぎますよ、それ」
「しょうがねえだろ、そういう歌なんだから」
「でも、そういうどうでもいい事って意外と覚えてますよね」
「そうなんだよな」
「自分もありますよ。祇園精舎とか」
「何だ、それ?」
「平家物語の冒頭ですよ。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす、驕れる者も久しからず、ただ春の夜の夢の如し、たけき者もついには滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ」
「そんなの、よく覚えてるな」
「中学の時、国語の授業で無理矢理に覚えさせられたんですよ」
「へぇ、他にも何かあるか?」
「般若心経」
「お経じゃねえか。お前、仏教徒か?それとも、仏教系の学校出身?」
「違うんですよ。小学校の時、進学塾に通わされていて、その塾の合宿で禅寺に泊まって」
「塾の合宿でお寺に泊まるの?」
「そうなんですよ。座禅とか組まされるんです。寺の掃除もさせられて。あとはひたすら勉強」
「何時間くらい勉強するの?」
「8時間特訓です」
「嫌になっちゃうな」
「嫌になりますよ。でも、好きな女の子が出来たりもしてね。今となれば、いい思い出です」
「で、お経は?」
「マ~カ~ハンニャ~ハ~ラ~ミ~タ~シンギョオ~オ~。カンジ~ザイボ~サツ、ギョウジンハンニャ~ハ~ラ~ミ~タ~ジ、ショ~ケンゴ~オンカイクウ、ド~イッサイク~リャク、シャ~リ~シ~、シキフ~イ~ク~、ク~フ~イ~シキ、シキソクゼ~ク~、ク~ソクゼ~シキ」
「え、終わり?」
「いや、ホントはまだ続くんですけどね。3泊4日だったんで、その辺りまでしか・・・」
「なるほど」
「隊長は、他に覚えているの何かないんですか?」
「あるよ。アオキ、アオヤギ、イトウ、イハラ、ウシマル、エダムラ、オオノ、オオモリ」
「何すか、それ?」
「高校のクラスメートだよ。毎朝、担任が出席取るから、知らぬ間に覚えちゃった」
「全員、言えるんですか?」
「言えるよ。オシキリ、コクボ、サナダ、セイジ、トシヤ、スズキ、タキ、タナカ・・・」
「ちょっと待って。五十音順でしょ?何でトシヤの後にスズキに戻るの?」
「あ、そこ?セイジとトシヤは二人とも清水なんだよ。だから、そこだけは名前なの」
「ふ~ん」
「トーヤマ、ナカダ、フクモリ、ミネダ、ミヤムラ、ミヨシ、ムネサワ、ムラタ、ヤマシタ」
「よく覚えてますね」
「え~と、イイジマ、イシダ、エンドウ、カメザワ、カワスミ、コバヤシ・・・」
「ちょ、ちょっと待って。今度は何ですか?」
「男子に続いて、女子に決まってるだろ」
「いやいや、もういいですよ」
「だって途中で止めたら気持ち悪いだろ。45人、全員言わせてよ」
「いや、もうホント、十分ですから」
「そうか。ま、確かに覚えていても、何の役にも立たないな、こういうの」
「大事なことは忘れちゃったりするのに、ね」