「今日の夢は面白かったですね。ちゃんとノートに書きました?」

「おう、書いたよ。すごいリアルだったな」

「上手く逃げ切りましたね、政府の陰謀から。感動超大作ですよ」

「良かったな、生き延びられて。しかし、主人公が自分じゃないってのも珍しいな」

「あの人に似てましたね。水泳の・・・」

「荻野公介だろ?おそらく英会話講師殺人で逃げてた男と、ルックスがダブってんだよ」

「なるほど。似てますね、そういえば。しかしこのブログも人気さっぱりですね」

「毎日、更新してんのにな。毎日書けば何とかなると思ったんだけど」

「つまんないんですよ、きっと」

「あんな恥ずかしい動画まで上げてサービスしてんのに、か?」

「やっぱペタ返して、来てくれた人に感謝というか、媚売った方がいいんじゃないんですか」

「かもしれねえな。俺たち、まだペタ童貞だからな」

「ま、いいですよ、順位なんか何番でも」

「そうそう、目的はそこじゃないから」

「でも、じゃあ本来の目的は一体どこなのよって話ですよね?」

「そうなのよ。こうやって何か書いてても『のれんに腕押し感』が強くてな」

「やってて、バカバカしくなってきますよね」

「だな。闇に向かってボールを投げてるみたいな感じ?」

「せめて壁があれば跳ね返ってくるんですけどね」

「だよなぁ。虚しくなってきたな」

「何らかの形で、この情熱はホント報われるんですかね?」

「分からん。これで何も生まれなかったら、それこそ俺は神を呪うぜ」

「ですよね。顔に落ちるの分かってても、空に向かって唾吐きますよね」

「『当たり』って書いてある福引き券をもらってさ、景品引換所をあちこち探して歩いてさ」

「歩くこと一月半、いまだ見つからずみたいな?」

「そうだよ。期待ばっかり膨らんでさ。これで見つかったと思いきや」

「あ、おめでとうございます。カランカラ~ン、四等です!!みたいな?」

「ポケットテイッシュもらって帰るのかもな」

「残念過ぎますね、それ。とにかくトライアル期間、決めましょうよ」

「三ヶ月だな。それはあらかじめ、何となく頭の中にあったから」

「じゃ残りひと月半。六月半ばまでですね」

「そうね。スタートは三月半ばだから」

「六月から土日休みじゃなくなりますし。ズルズル通ってもしょうがない」

「うん。その辺が良くも悪くも潮時だと思うよ」

「それまでは今まで通り、週一で店に顔出しますか?」

「そうしよう。実は答えが見えかけている」

「ホントですか!?」

「ま、企画に乗ってくれればの話だけどな」