昨年の秋、ネットオークションでギターを買いました。ES-330というギターです。これはビートルズをはじめとする多くのミュージシャン達に、いまだに愛されているエピフォン社製の「カジノ」と同形、同スペックのギターです。
60年代にはエピフォン社はギブソンの子会社であったため、その時代のエピフォンはギブソンの工場で製造されており、ヘッド(ネックの先端部で糸巻きが付いている部分)の形状以外は全く同じである、言うならば二卵性の双生児です。
ボディ材はトップ、バックともにメイプル。ネックはマホガニー、指板はローズウッド。
ギターをよくご存知ない方でも用いられる木材の種類とボディの形状、そして弦振動を拾い上げるピックアップが音色を決定することはご理解いただけるでしょう。
車に喩えるなら、ボディとエンジンに当たります。
メイプルは楓。「メイプルシロップ」のメイプル。
これは堅い材で主にボディやネックに用いられます。明るい音色が特徴です。
同じ堅い材でもローズウッドは粒立ちの良さが特徴であり、主にアコースティックギターの裏材、あるいは指板材として使われています。
マホガニーは上記の二つに比べると材質が柔らかいため丸みのある音色が特徴です。これら木材の組み合わせ方によって同じ形状であってもギターは音色の違いを有します。
例えば、「レスポール・スタンダード」という有名なギターはマホガニーの厚い単板に、表面だけメイプルを張ってあります。これによってブリリアントな音色を獲得しているのです。
また、マーティンという老舗のギターメーカーは形状と材質によって品番が決められています。例えば「O-18」というギター名は「O」という小振りのボディに「18」で表されるマホガニー材をサイドとバックに使用しているという意味であり、「OO-28」なら「O」よりもワンサイズ大きいボディに「28」が意味するローズウッドの使用を表示しています。
余計な話が長くなりましたが、私は長年欲しかったギターを入手できたのが嬉しくて早速バンド用に一曲作ることにしました。何となく出来たコード進行にメロディーを乗せたのが「24」という曲でした。
スイートな印象なのでラブソングにしようと思いました。ただ現実は恋愛に縁遠く、あくまでも歌の内容は仮想でした。
中年男性が職場か、あるいはカフェのような店でもいいのですが、親子ほど歳の離れた若い娘に恋をするというものです。
♪She's 24 君にスパーク I'm 48 チラ見スプラッシュ She's 24 悩ましいマイガール
上記のような、密かな恋心を抱く中年男の切なくもコミカルな様子の歌詞を柏市にあるスタジオのロビーで双子兄とゲラゲラ笑いながら考え、バンド用に簡単なデモを作りました。
それが、これです。
歌、演奏ともに非常にクオリティは低いのですが、バンドメンバーのみに向けたデモにつき、手厳しいご批判等はご遠慮ください。
まさかその半年後に、自分がこの歌と似たような状況に陥るとは予想もしていませんでした。
しかし、おそらく全ての事象には意味があり、大きな流れの中では繋がっているのかもしれません。
そうなるように出来ているのです。
昨年末、会社の年末パーティーの余興で開かれたミニ四駆大会。それに向けて、世代でもないのに数多のパーツを購入して自慢のマシンを組み上げました。年が明けてもしばらくは夜勤の仲間と連れ立って仕事明けの早朝に24時間営業のサーキットへ走らせに出かけたりもしましたが、いつの間にか自然とブームは去ってしまいました。
が、今となれば、それも大きな流れの中に生じた一要素であったとさえ思えてきます。
自らの現在を図々しくもビートルズ芸術の最高峰である「A Day In The Life」のオーケストラ部分に重ね合わせますと、様々な楽器がまるで空に伸びる蔓のように一点に向って収束していき最終的に壮大なコーダが鳴り響くような空想をしているのです。