「おそらく彼女、困ってますよ」
「かもな」
「お店の方針だってあるし。隊長、店側からマークされてるんじゃないですか」
「かもな」
「無理ですよ。そういうの、しないのが隊長のいいとこなんじゃないですか?」
「あのさ、変わんないのよ」
「何が?」
「このまま店に通っても、何も変わらない気がすんの」
「楽しんでるじゃないですか?」
「楽しいよ、そりゃ」
「じゃ、それでいいじゃないですか」
「よかないよ」
「何故?」
「そんなレベルじゃなくて、もっと何かインスパイアされたり、ケミストリーがないとさ」
「そんな風になる確証でもあるんすか?」
「『絶対にある!』と思っていたけど、どうなんだろう?」
「隊長、冷静さを欠いていますよ」
「だな。ちょっと、このひと月、彼女とそれにまつわる諸事に夢中になり過ぎた」
「少し休んだ方がいいと思います」
「そうするわ」