租税回避への対応策の考察(オウブンシャホールディングス事件その8) | 元国税・税法研究者・東大卒税理士の圧倒的税制解説~税理士の武器~

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法人税制、国際課税。東大卒かつ税法研究者、そして元国税調査官の
若手税理士が税法を奥の奥まで解釈し、税理士の武器をご提供!
ここまで読めれば強権的な税務調査も怖くない!

今回はまとめとして、租税回避に対する自身

の考えを述べたい。私は従来から、



一般的否認規定を拡大させるべき



という思いを持っている。これは何も、税務

当局よりの考え方を持っているからではなく、

むしろ近年の更正処分が、



正しい法解釈を捻じ曲げている



と考えるからである。





この判決について、税務大学校で担当官から

解説を受けたのだが、かなり失望するもの。



① 何とか否認したい取引

② 行為計算否認で負けたから、

  別のアプローチが必要

③ 意を決して法人税法22条2項

  で行ったら、見事勝利した



という内容を延々と話していた。この内容を

聞いての率直な感想としては、



否認するための方便として、法人税法

が安易に利用されている



というもの。法治国家の在り方としては、

税者も税務当局も、



自分の立場から正しいと判断する

法解釈を行い、課税の有無等を

検討する



というのが法人税法の存在意義であろう。

このような税務当局の態度では、法律の解釈が

おざなりになる、という印象が残る。





法律の解釈で争う、という判決なら歓迎すべ

ことであるが、本件判決のように、



否認の方便として税法の各規定

を活用する



となれば、その結果として税法の解釈が捻じ

曲げられる危険性がある。このため、一般的

否認規定を拡大させ、



根拠が明確ではない課税処分を

行うのであれば、この規定の

適用有無を裁判で争う



というスタンスをとることが妥当なように思う。

もちろん、一般的否認規定は諸刃の剣であり、

税務当局の権力濫用につながる危険性は極めて

大きい。


この濫用の危険性に対しては、理由附記の拡大や

より一層の事例の公開などをより一層充実させて

対応すべき問題であり、この危険性を如何に

クリアするか、が今後の課題とも言える。



しかし、一つ言えることは、



一般的否認規定がなくとも、否認

したい取引があれば、何らかの方便を

見つけだす



というのが税務当局の考え方でもある。以前

述べた通り、



否認規定を作れない立案者は

悪くない。むしろ、その状況を

利用して安易な節税を行う納税者が

悪い。租税正義に基づき、安易な節税

と戦うべきである



という、私に辞職を決意させた考え方を

持っている税務職員は決して少なくはない。





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