事案の概要(オウブンシャホールディングス事件その1) | 元国税・税法研究者・東大卒税理士の圧倒的税制解説~税理士の武器~

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ここまで読めれば強権的な税務調査も怖くない!

本日より、閑話休題として裁判例を取り上げ

たい。取り上げる判例は、前回まで「租税

避」という用語について考えてきたため、

その代表例である裁判。即ち、



オウブンシャホールディングス事件



である。まず、この事件の概要と、現職時代

税務大学校等で言われていたことの回想から

入る。



この事件、原告(以下「O社」)が、価値が

半端なく値上りした株式(以下「A株式」)を、

如何に税負担少なく移転するか、ということ

を目的として行われた取引が争点になっている。

このO社、



オランダを利用したスキーム



を立案し、実行したのである。





まず、O社はオランダに、



A株式を現物出資して

ペーパーカンパニーを設立



したのだ。現行の組織再編成税制を勘案

すれば、現物出資は、



譲渡として取り扱われる



とともに、



適格現物出資に該当すれば、

課税の繰延



となるが、当時の法律によれば、本件の

現物出資は、



圧縮記帳による課税の繰延



が認められた模様で、このため、O社は


A社株のキ
ャピタル・ゲイン課税を

繰り延べた上で、オランダの子会社(以下

B社」)に現物出資ができたわけである。





本件スキームの肝は、いったん株式がオラン

に移転してしまえば、その株式は



オランダの課税権



に属し、オランダにおいては、



資本参加免税



と呼ばれる、株式の譲渡益課税が免税となる

制度を適用できることにある。


このため、通常日本の税務当局がこのような

株式の移転を否認する場合には、A株式を

実際に譲渡した時点で、課税処分を行うのが

通例である。


しかし、実際の譲渡時点においては、オランダ

法人Bの取引に該当するのであり、当然この

譲渡はオランダに課税権があることとなるため、

日本で課税処分ができない。



当然ながら、日本としては面白くないわけ

であるし、現物出資後はオランダにA社株の

譲渡益について課税権があることとなるため、


課税を繰り延べて後日税金を取る


という圧縮記帳制度の趣旨とも異なる。





ここで、日本の税務当局が攻めたのが、

現物出資の次のステップとして、B社が

行った



第三者割当増資



なのである。



(以下次回)




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