「 珊食ザメ」と「あぶく銭」のせいで、彼の計画は半分狂ってしまった。
彼は自分達が作った「俵物」を大八車に乗せて、ある人物の勤務先に運んでいた。
そこに着くと、門番に「献上したいものがあります。」と伝えた。
奥に通された、隼瀬は庭に正座して、その主を待っていた。
その主が現れた。
「拙者が調所笑左衛門である。献上する物があると申すか。」
「はい。俵物を」隼瀬は三つの俵物を指差す。
「殊勝な心掛けである。・・・願いはなんじゃ❓」
「ここ何年か。不漁続きで。・・・私達は生活に難儀をしております。琉球か唐人と取引がしたいのです。・・・もちろん、その品や金子は必要な分以外は献上を致します。」
調所は静かに聞き。・・・しばらく、沈黙し、やがて、笑い。
「その方のように、覚悟を決めて来た者がいた。・・・いいだろう。その者同様に抜荷を差し許す。
証明書を書くゆえ。しばし待っておれ。」
調所は思ったより、話の判る奉行であった。
調所が言った。「その者」とは「浜崎某」という商人だという。
こうして、彼は国から、抜荷の許可書を貰い受けた。
条件1
抜荷の品目と利益。島での生活に必要な金額を細かく記し、奄美大島の代官に提出すること。
条件2
代官が薩摩に抜荷品目と利益についての書類を提出し、薩摩からの御下知(命令)を受けるまで金を使う事は許さない。
条件3
もし、条件1の事柄で嘘偽りを記載した場合。十両以上(70万円)騙(かた)り盗ったとみなし、死罪とする。
騙り盗った金額が10両以下でも死罪とする。
それは親族にも及ぶ。
条件4
取引では 「許可書」を携帯すること。もし、忘れた。というものなら、捕縛し、抜荷の許可を剥奪する。
条件5
「許可書」を紛失した場合は一回の取引で得た品、利益を全部差し出す。
さすれば、再発行する。