ほんの数日前。2年弱付き合った彼女と別れた。
それまで順風満帆だったはずの僕らが別れた原因は彼女の言葉を借りれば僕の浮気だ。
ちょうどこの前のゴールデンウィークには一緒に僕の地元に帰って楽しい日々を過ごしていたはずなのに、その最終日に別れることになってしまった。
件の浮気に関してだが、僕にとっては浮気していたというつもりは全く無く、暇な時に飲みに行って話をするだけの異性の友達がいただけにすぎなかった。ただその事を彼女は嫌がるとわかっていた為に、彼女にわからないよう隠れてやっていた。今思えば、彼女が嫌がるとわかっている事をする時点で僕の人間性に問題があったのだと思う。ただあの時はマンネリや、ずっと溜まっていた彼女への不満が我慢できずに暴走していた。異性の存在を知られまいと日々嘘をつき続けた。彼女が知らないようにうまくやることが筋だと勘違いしていたし、彼女の事でせっかくできた友達を無下にすることもできなかった。
うまくやっていると思っていたそれも全部知られてしまった。
GWの最終日の朝、僕が寝ている間に僕の携帯を全て見られてしまった。
彼女の為だと思ってついていた嘘が全て裏目に出た。完全に自業自得だった。自分が重ねてきた業を考えれば別れを告げられて当たり前だ。
別れを告げられた瞬間に僕は自分がしてきたことの重さを自覚した。そこからは正直あまり覚えていないが、別れたくないと懇願する僕を振り切って彼女は僕の家を出て行った。
出ていくその時までずっと僕のことを心配してくれていたし、その後のLINEでも僕の幸せを願ってくれるような人だった。
どこか間抜けで時間にルーズで少しだらしない所もあったけれど、それも許せてしまうほどの穏やかさと愛嬌がある素敵な人だった。性格の良くない僕がこぼす愚痴を横で静かに聞いてくれた。本当に根からの聖人だった。なんとなくだがこのままずっと付き合って結婚するような気までしていた。
そんな人を僕は裏切った。よく言われる言葉だけれど、失ってから彼女の大切さに気づいた。
彼女が出て行ってから自分の中の様々なことを感じ取る心の襞のような物が無くなってしまった気がする。ポッカリ穴が空いたような感じ。
携帯のアルバムを見ても彼女の写真ばかり。どこまで遡っても彼女がいる。それを見るたびに寂しさと自責の念に駆られる。
全てを台無しにしたのは自分とわかっているのに、彼女のことを諦め切れない自分がいる。1人になるとずっと彼女のことを考えてしまう。そんな自分の気持ち悪さに辟易する。きっとこれが自分のしてきた事への報いで、この先ずっと自分に苦しめられるのだろう。何もかもどうでもよく思えてしまって毎日何のやる気も起きない。自分が招いた結果のくせに次々と言い訳が出てくる自分に嫌気がさす。吐き気がするほど気持ち悪い。死んでしまいたいほどの自己嫌悪に陥ってしまう。
そんな日々。僕の罪の話。