西暦紀元前662年、神日本磐余彦命(かむやまといわれひこのみこと。つまり初代天皇・神武天皇)の御東征を起源とするという、那智の滝をご神体とする神社です。

 

 

 

 


仁徳天皇5年(317年)、山の中腹にあらためて社殿を設けたということなので、花窟神社同様社殿の無い原始宗教的な聖地だったようです。
(現在、那智の滝のそばには別宮として「飛瀧(ひろう)神社」があります)

 

 

 

 


那智の滝より、徒歩20分程度、山の上に石段約400段の参道入り口がありました。

主祭神は熊野夫須美大神。
「くまのふすみのおおかみ」と読むそうです。
(イザナミノミコト)と併記されているので、同じ神様とみなされているようですが……?

天照大神と素戔嗚命が誓約されたとき、大神の右手に掛けられた珠から化生した神。「夫須美」は「久須毘」ともいい、「奇火」のことで、火の神でもある。
出典:神社データベース「熊野夫須美大神」


とのことなのですが。
ていうか、イザナミと同一なのに、その子のアマテラスとスサノヲの誓約で生まれたって説明も出てくるの。

「奇火」ってなんぞ。ネットで検索しても、言葉の説明は出てきませんでした。

イワレビコが見つけた那智の滝は「大己貴命(オオムナチノミコト)」とされてます。

主祭神と自然崇拝のメインのご神体は別なんですね……。



記紀(特に日本書紀)に登場するメインの神様って、中央政権の神様なんだろう、と思うのです。
なので、土地の名前がついている神様は、地方の神様なんだと思うんですヨ。

八百万の神がおわすせいで、区別は難しいんだろうと思いますが、個人的に、場所と時代で定義が異なるんじゃないか?
つまり、日本書紀で言うイザナミと同じような神話の役割を、熊野で持っていた存在ということもあり得るのかなって。
日本に、神話が1つしかなかったわけない。民話のように、各地ごとに神話(創世記、国生みなど含めて)があったはず。


あいにく、社務所や拝殿が改修工事中で、白い覆いで囲われていましたが、今回の特別正式参拝では、普段は立ち入れない内庭見学ができました。

 

 

 


で。

 

 
 



この石段が、けっこう、だらだら、うねうね、午後3時ちょい前は酷暑炎天下の中、登るのがしんどかったぁ……。
道中、一番つらい暑さの行となりました


第一殿 滝宮(大己貴命)
第二殿 証誠殿(家都御子大神)
第三殿 中御前(御子速玉大神)
第四殿 西御前(熊野夫須美大神)
第五殿 若宮(天照大神)
第六殿 八社殿(天神地祗)





仏教が日本(やまと)に流入してきた時、権現という、神様が仏の姿で降臨するという思想ができて、「熊野権現」となり、修験道の修行山となったという歴史もあり、祭典・神事は修験道(密教系?)の色が濃いものが多いな~という印象。
公式サイトで神事の写真も見られますが、けっこう、修験道まんま感あるものも。
新職の衣装、朱塗りのお宮と、護摩炊きや白装束のギャップが非常に興味深いです。


ここに来たら、絶対現物が欲しかった「烏牛王神符」もいただきました。
牛王宝印自体は、寺社各所で発行されてますが、熊野三山のものが、もっとも神聖視されていたんだって。
面白いのは文字の1画1画が、烏のシルエットなのですねー。
(烏文字になったのは、江戸時代からと歴史は浅いです。いっつもこういう歴史を見聞きするたび、江戸時代、本当に、実際のところヒマだったんだろうと思います。)

これ。
 


「那智瀧宝印」と書かれているんだそうですが、……那智、はなんとなく、そんな気がする……感。仏教なお札。
(現代、神社で配布されている場合、多くは神仏習合されていた時の寺院の風習の残りのはず。
個人的にすごいな、と更新を待っているのが
<熊野三山の烏牛王符だけが「牛王(牛玉)宝印」じゃない!~各地の牛玉札のバリエーション&蒐集の記録と探訪記~>
https://togetter.com/li/1216139 
個人の好事家というのは、極めると非常に貴重な歴史と資料の収集保管者となる。)



家内安全、邪気魔除け、病気平癒、鎮防火燭……お守りや魔除け札にもなり、血判状や起請文(誓い文)に使うことも多かったという、日本最強の万能お守り。
この符に誓いを書いたのに、それを破ると、破った人は血反吐を吐いて死ぬという伝説もある一枚です。ふふふ。



歴史のスケールが、関東の出身地エリアと全然違うので、すごい面白いです。
こういう話を読んだり、調べたり、ご神職にお話し伺ったり。
絶対また涼しい季節に個人旅行で来る。宝物殿に長居をしたいのである。
 


和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1

熊野那智大社公式サイト
http://kumanonachitaisha.or.jp/

 

 

<熊野詣ツアー記録>

ペン熊野詣ツアー①花崫神社

ペン熊野詣ツアー②熊野那智大社

 

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