ペタンコの靴はラクチンだけど
私が本当に好きなのは
勝ち誇ったようなピンヒールなのです。
装飾の過剰なヒールのお靴なのです。
私が今それを履かないのはだって
あの家から駅へと向かう坂道の傾斜と
きっと手の平に転がるように求められる可愛らしさ。
そんなものの為であるのです。
切り落としたヒールはぽきりぽきりと積み重なって
それはへし折られた自意識と重なります。
憤りと悲しみと悔しさと沸々と湧き上がる温度のそれを
飲み込んで宥めて収まる薄皮の中の温かさ。
身動きをすれば破れそうなその薄皮の中で息を殺す幸せ。
必死に縋る自分を冷静に見つめる自分が欲するものは一体何なのか
優越感なのか自虐からの自己愛なのか安心感なのか
きっときっと本当はその全ての融合で
みっちりとがんじがらめになった自分のその歪んだフォルムを見せつける
その為だけであるのかもしれない。
そうか。
勝ち誇ったようなピンヒールと同じなのか。
