新入社員!パクラ君!その6 | やわらかな光 ~ヤングパーソンクラブの部屋~

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ヤングパーソンクラブ a.k.a. ヤンパクラ

*先日より始まりましたヒャクモトメンバーによる曲解説ですが、アルバムタイトルが誤っておりますのでここに訂正いたします。

×・・・EARLY BEST TIME vol.2(早いベストの時間 → 朝マズメ??)
○・・・EARLY TIMES BEST vol.2(初期ベスト第二弾)


「いやぁパクラ君、ナイスフォローだったよ、ほんと。社長も絶対喜んでたって」

「!!!!」

「うん、僕もそう思うよ。」

極楽物産での荷物積み込みを終えた僕たちは、もらったお小遣い(1万円も!)でサイゼリアに来た。ここなら3人でどれだけ飲み食いしても1万円でおつりがくる。もっとも、パクラ君は円盤型のパンのような「フォッカチオ」ばかり食べるので、財布の心配はしなくていい。吉田係長はまだ昼の3時だというのにワインを飲んでいる。

「ここだと居酒屋より安いしさ、ソフトドリンクも飲み放題だから一人でよく来るんだよね」

「えっと、、、今って仕事中ですよね?」

「そうだよ、4時くらいまでゆっくりしたら会社に戻ろう。あとは感想文を書いて明日の連絡をしたら終わりだから!あっ、お姉さん、ワインおかわり!あとソーセージ盛り合わせ!

「!!!」

「じゃあ僕はわかめサラダ!」

初めての入社式、初めての営業、そして初めてのサボタージュ。今日が社会人第一歩だなんて、僕はついてるのか、ついてないのか、、、もう考えることはやめた。吉田係長にすすめられるままワインを飲みほした。

「ふいー、じゃあそろそろ行こうか」

顔を真っ赤にさせた係長がよろよろと立ち上がる。パクラ君はお酒を飲んでいないのによろめいている。僕は飲めないワインを無理したせいか頭が痛いし、もちろん足元はおぼつかない。店員に心配されながらも三人ほうぼうのていで階段を下り、1階の自動販売機で水を買った。

「お前ら、気を付けろよ、副課長はくそ真面目な人間だからな、昼間っから酒なんでバレたら首がとぶぜ」

「!!」

「えっ」

首が飛ぶぜって、まぁ普通に考えたらそうだろうけど、、、酔いのせいもあり今の状況が全く理解できない。僕は入社式の日に、昼間から酒を飲んでいる、それだけだ。何かがおかしいけれどもう何がなんだか分からない。考える暇もなく係長はどんどんと歩を進める。ネクタイもシャツもぐしゃぐしゃで、時折地べたに倒れ込んだりしている。あーあ、高そうな靴もぐしゃぐしゃだ。

複雑に入り組んだ地下道を抜け、自社ビルに到着した。気持ち悪い、限界、吐きそうだ。

係長に目をやると、さっきまでの酩酊が嘘のよう、緩めたネクタイも元通りきっちりと絞め、背筋もまっすぐになっている。
Tシャツ姿だったパクラ君も気が付けばブレザーに着替えている。
俺はワインをこぼしたワイシャツに腕まくりしたジャケット、ネクタイはどこかへ置いてきたようだ。

まずい、これじゃあ俺だけ酔っ払いみたいじゃないか(実際に酔っているのだが)。僕の心配もよそに、係長は事務所のドアを勢いよく開けた。

「よし、じゃあ研修室に戻ろうか・・・吉田、ただいま帰りました~!!今日は極楽物産で在庫管理のSTP化と、物流効率化MMTについて学んでまいりました!」

「!!!」

「え~、べ、べ、勉強してきました!」

事務所にアルコールの香りが充満する。どうやら僕の息のようだ。先輩社員の視線が突き刺さる。


ど、どうしてこの二人は酔っぱらっていないんだ?

送ればせながらその疑問が頭に浮かんだ瞬間、部長の怒鳴り声が飛んできた。