羊羮の戯れ言

羊羮の戯れ言

気ままに超不定期に何でも無い日々を綴る

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涼騎 景
(スズキ ケイ)

涼騎診療所院長・キッド海賊団船医兼戦闘員

性別/男
異名/白い死神
年齢/37歳
武器/メス・ナイフ・短刀・銃


容姿>>
髪/金髪・右サイドが長めのアシメ・短髪
眼/右:こげ茶 左:オリーブ色(黄土色っぽい感じ)
服/常に白衣着用
  黒い緩めのタンクトップ
 グレーのダメージジーンズ&黒のショートブーツ
  逆さ十字のネックレス&複数のシルバーアクセ


好>>
コーヒー
読書
昼寝
酒・煙草

嫌>>
甘過ぎる物
海軍
世界政府
炭酸飲料


memo>>
*賞金額は不明。DEAD OR ALIVE
*医者としての腕は超一流。隠れ名医
*恩師のジッポライターを常備。軽度の煙草依存症
*キッド命令で中・遠距離を中心とした戦闘スタイル。本当は格闘技を取り入れた中・近距離戦が得意







こんなにデケェ人間を前にして固まった俺は小心者でも臆病者でもなく至極当たり前な反応をしたと思う。










      不束者ですが宜しくお願いします。










マルコに連れられて行った先に居たものは、俺の人生の倍以上を生きてきたであろう爺さんだった。しかもそんじょそこらに居るような頼りな気な爺さんとは全く逆の筋肉粒々で文字通りデカイ爺さんだ。多分俺の身長の倍以上はある(何もかも倍以上じゃねぇか…)


「グラララ!おうマルコ、サッチ、どうした」


ずん、と腹の底に響くような低くデカイ声に体もデカけりゃ声もデケェのかと思わず溜め息が出た。それに気付かずに(気付かれたら面倒だ、)マルコは俺の前からスッと右に逸れて俺の横に並んだんだがオイ何だこのポジションは。左にはサッチ右にはマルコって、俺の逃げ道がねぇじゃねぇか。いや後ろがあるか…と思いちらりと横目で確認すると髭の立派なデケェ爺さんを中心に俺達を囲うように人だかりが出来上がっていた(完璧退路無しじゃねぇかコノ野郎、)


「グラララ…何だァお前は」

「親父!こいつ面白れぇんだ!」

「てめぇは少し黙ってろいサッチ」


爺さんの視線が確実に俺を捉えたと思ったら、隣にいたサッチが如何にも楽しそうに俺の肩を抱きながら指を指した(指差すんじゃねぇよ、つか幾つのガキだお前、)しかも面白いって何だコラ。まるで変人ですこの人みたいな紹介じゃねぇかよ。


「グラララ!マルコ、サッチお前らちょっと下がってな」

「…?」


爺さんの言葉に従ってマルコとサッチはサッと俺から離れて人垣の中に入った(何だってんだコノ野郎、)人垣の中に入ったマルコとサッチを交互に見たがマルコは何処吹く風といった感じで何事もなかったかのように視線を爺さんに向け(なんか滅茶苦茶ムカつく…)、サッチはまぁ頑張れと親指を立ててウインク付きで返された。 訳が分からずに首を傾げながら爺さんに視線を戻す。身体中に射ってあった点滴を引き抜きゆっくりとした動作で立ち上がった。横に立ててあったこれまたでかい槍(槍…なのかあれは、薙刀って言うのか?)を徐に掴んだ。

頭の奥でけたたましく警鐘が鳴る。コレはヤバイ。人間の動物的本能なのかそれとも俺の経験からなのか(恐らく前者だ、こんな体験したことない、)煩く鳴り続ける警鐘とデカい槍を持って立っている爺さんに思わず身構える。


「……え、は、ちょ、はぁぁっ!?」


爺さんが槍を振りかぶったかと思ったら、ぶん、と空気を裂く音と共にデカい槍は降り下ろされた。それを反射的に右に跳んで転がるように避けた(さっきも思ったが俺こんなに運動神経よかったか?)ばっと俺がさっきまで突っ立っていたところを見ると、槍の刃が床にめり込んでいた。それを見てサーっと全身から血の気が引いた(普通あそこまで埋まらねぇだろ!?どんだけ馬鹿力なんだよ…!)そこにしゃがんだまま呆然と固まってる俺を余所に爺さんは今度は槍を水平にし所謂突きの構えになる。ゴォッと風を切る音と共に有り得ない早さで刃が真っ直ぐ此方に突っ込んできた(ちょ、コレ確実に死ぬ…!)バックステップでやり過ごそうと立ち上がり右足を思いきり床についた、と思ったらバキッ、と嫌な音がして右足が落ちる感覚がした。バランスを崩しかけて、慌てて左足で踏み止まって足元を見る。


「嘘だろ…!?」


俺の右足は綺麗に床にめり込んでて、簡単には抜けなくなっていた。慌てて前を見直すと直ぐ其処まで刃が迫っていて、俺の胸の中心(心臓の辺りだろうこの位置は、)に刃の切っ先が当たる寸前で両拳で刃を挟み込んで止めた(人生初の白羽取りがこんな訳分かんねぇ世界でなんて嬉しくねぇ、)


「グラララ!よく止めたな!グラララ!」

「っ止めねぇと、死んじまうだろうがよ…っ!」


ふざけんな、と毒づきながら爺さんを睨み付ける。生来目付きが最悪で普通に眺めたり目が合ったりしただけで喧嘩を売られる程だった。女友達からは悪人面だの何だのと指摘を受けた事もある(だがそんなもん直しようがないだろどうしろってんだ、)しかも今までで一番目付きが悪くなったと思うが、爺さんは寧ろそれに対して大口開けて笑うだけだった。


「グラララララ!確かに面白れぇ奴だ!お前ェ名前は?」

「人に聞くより先にテメェが名乗れや…っ序でに、コイツを下げてくれるとありがてぇんだかな…」


口角をつり上げて余裕があるように答えるが、実際はかなり手一杯の状況だ。ちょっとでも腕の力を緩めれば真っ直ぐ俺の体に突き刺さるであろうそれを下ろしてくれない事にはどうしようもない。その思いが伝わったのかそれとも別の理由でか槍は下ろされた。が、その槍を見て俺は我が目を疑った。 俺が目を見張るのと同時に人垣(もうこれは一種の野次馬だな、うざってぇ、)にざわめきが起こった。


「親父の薙刀に、ヒビが…!」

「有り得ねェ!」

「どうなってんだよ!?」


どうなってんだ、だと。そんなモンこっちが聞きてぇっつの。しかも遠目からじゃ見えないのかヒビの中心には俺の拳であろう痕がくっきりと残っていた。本当にどうなってんだ。それを見て爺さんがまた独特的な笑い声を上げた。


「グラララララ!本当に面白ェな!俺ァ白ヒゲだ!」

「…………神無月、響だ…」


白ヒゲって…見たまんまかよ。思わず眉間にシワが寄ってしまった。言葉と溜め息ははなんとか呑み込んで心の中でつっこんだ(よく耐えた、俺、)取り敢えずこれで命の危機は回避されたわけだが、なんの前触れもなしに爺さんから飛び出した言葉に耳を疑った。


「俺の息子になれ、ヒビキ。俺の名を背負って思う存分暴れてこい」

「………………は、」


ちょっと其処で遊んでこいと言うのとなにも変わらないようなノリで放たれた言葉に思わず固まった。今、何て言った?息子になれって言いやがりました?一瞬なにかの冗談かと笑い飛ばしたくなった。が、そんなこと言っていられる程俺の現状は全くもって宜しくない。寧ろ最悪だと思う。何せこの世界には(デカ過ぎるだろ、対象範囲がよ、)俺の顔見知りなんてついさっき会ったマルコとサッチしかいない。それに多分俺の持ってる常識は此処じゃあ通用しないことも多々あるだろう。そんな状態で放り出されてみろ、そこら辺で野垂れ死んで終わりだっつの(そんなことで死んでたまるか、) こんな下らない理由で死ぬくらいならどんな状況でも受け入れてやろうじゃねぇか(人間諦めと柔軟性が大事だと聞いたが当にその通りだな、)


「……分かったよ」


白ヒゲの爺さんに対して出した返答と共に溜め息が出たのはこの際見逃してもらいたい。白ヒゲの爺さんは豪快に笑って手招きした。それに気だる気に応じて側まで寄ると思いきり背中を叩かれた(イヤ痛てぇよ少しは手加減しろ、)


「野郎共ォ!宴だァ!グラララララ!」


白ヒゲの爺さんが叫ぶとそれを合図に野次馬から雄叫びが上がった(雄叫びだろう言葉は間違ってない、)その余りの煩さに眉間に皺を寄せてると騒いでる人垣の中から数人が此方に近づいてきた。その中にはマルコとサッチの姿もある。最初に飛び付いてきたのは予想通りサッチだった。


「お前やっぱスゲーなァ!」

「あァ?なにが」


背中を容赦なくバシバシと叩きながら(だから痛てェんだよ加減てモンを知らねぇのか、)すげェすげェと捲し立てるサッチを軽く睨む。なにがすげェのかいまいち良く分からないが何となく想像はつく。


「まさか親父の薙刀を止めちまうなんてよ!ヒビキ、案外滅茶苦茶強ぇんじゃねぇか!」

「死ぬと思ったら止めるだろ、普通。それに俺だって驚いてんだ」

「謙遜するな。止めるだけではなく、まさかヒビまで入れるとはな。相当だぞ」

「全くだよい」


サッチの言葉に首を降るとこれまた髭の立派なおっさんが白ヒゲの爺さんの薙刀を見ながら笑った。つか誰だ。紹介位してもらわなければ困る。俺の心境を察してか体のデカイ(文字通りデカイ、この船の身長の平均値はどうなってんだ、)おっさんが人のいい笑みを浮かべながら右手を差し出してきた。


「三番隊隊長のジョズだ。さっきの右足は大丈夫か?」

「さっきも名乗ったけどな、俺は神無月響。あァ大丈夫だ、問題ない。サンキュな」


俺も名乗りつつ右手を握り返す。それを合図に次々と自己紹介が始まったが、俺が覚えられたのはその中でも一部しかいなかった。 白ヒゲの爺さん同様髭の立派なおっさんが五番隊隊長でビスタ。中性的な女だなと思っていた奴は実は男だったらしい、イゾウは十三番隊隊長で印象は花形(今後名前を呼ぶことはないだろう、)どこの軍人だと言いたくなるような服装でランチャーを背負ってる物騒な奴は十番隊隊長でクリエル。俺が覚えられたのは始めに会ったマルコとサッチ、白ヒゲの爺さんを含めて七人だった。










白ヒゲの爺さんが宴だと叫んでからは早かった。まだそこまで陽は沈んでないだろう時間帯から甲板には豪勢な料理が大量に並び始め、酒も此でもかと言うほど出てきた(しかも半分以上が酒樽だ、瓶も全部箱に何十本も入っていた、)俺は忙しなく動き回る野郎達を船の縁に寄り掛かり煙草を吸いながら眺めていた。ただ乗せてもらってばかりはどうも気に食わなくて何か手伝う事はないかと何人かの船員に声を掛けて回ったが主役が何言ってんだと断られてしまった。挙げ句の果てには運んでいた酒瓶を一本手に持たされて「此れでも飲んで待ってろ」と追いやられてしまう始末(俺はガキじゃねぇぞコラ、)仕方無くこうやって昼間っから酒を煽ってる訳だ。 その後は自然と人が集まって白ヒゲの爺さんを見た。


「グラララ…お前ェ等集まったかァ。マルコ、ヒビキ、お前ェ等来い」


呼ばれて爺さんの横まで行く。俺の隣にはマルコが立った。集まった人垣を見回すとかなりの人数が集まっていた(100とか200どころの騒ぎじゃねぇ、1000は軽く越えてんな、)


「こういうのはサッチの方が向いてる気がするんだが…俺でいいのかい親父?」

「あァ、いつもので頼むぜェ。にさっき決めた事もついでに話ちまえ」

「…?」


マルコと爺さんが話しているのを横目で捉えながら眉間に皺を寄せつつ内心で首を傾げた。さっき決めた事って何だよ。俺はなにも聞いてねぇぞ。何かを納得したように小さく頷いて(だから何を納得してんだよ、)前に向き直った。


「コイツが、今日から俺達の仲間になったヒビキだよい。因みに隊は一番隊だい」

「?・・・一番隊・・・?」

「それじゃ、新しい仲間に、乾杯」


マルコの言葉を合図に宴が始まった(ちょっと待てよ、訳わかんねぇから、)あまりの事の速さに俺が固まっていると不敵な笑みを浮かべたマルコに肩を叩かれた。


「改めて、今日からお前の上司になった、一番隊隊長のマルコだよい。これからみっちりシゴいてやるから覚悟しとけよい」

「シゴくって」


何をだ、と聞くよりも早くそこかしこから俺の名前を呼ぶ声が上がった(俺の名前と言っても"新入り"としか言われてないが、)毛ダル気に一番近い塊に近づいて腰を下ろす。下ろしたと同時に未だ栓の空いていない酒瓶を手渡された。


「よォ、新入り!」

「俺達ゃ一番隊なんだ、よろしくなァ!」

「どーも、」


それぞれと酒瓶をぶつけ合いながら挨拶を交わし、酒を一気に喉に流し込む。と、さっきまで飲んでいた酒とは比べ物にならない位の、喉がカッと焼ける感覚に思わず咽た。久々の喉が焼ける感覚に(これは初めてテキーラを飲んだ時と感覚が似てる、ここまで酷くは無かったが、何年前だ?)ごほごほと咳き込んでいると、ひょいと手の中の酒を後ろから誰かに奪われた。


「おいおい、こりゃマルコの酒じゃねぇか。そりゃ咽るわ」

「え、それマジっスかサッチ隊長!?」

「やべ、今コイツ一気に飲みやがったぞ!?」


咳が止まってきた頃にサッチが背中をばしばしと叩き始めた。その容赦の無い平手に耐え切れずに頭の中の何かがブツリと切れる音と同時に渾身の右ストレートがとんだ。


「痛ェっつーんだよ馬鹿野郎が!」

「グハァッ!?」

「サッチ隊長ォー!?」


誰かこの馬鹿の心配をする前に俺の背中と胃の心配をしてくれ。





○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●


海賊日記第2話投下。

この主人公はあまり喋りませんが、その分頭の中で超喋ってますww

実はトリップにはお約束の特典のような物で身体能力が上がってますが、それでも白ひげファミリーからしたら下っ端ですww

しかし喧嘩で仕込まれた技術は本物ですwww






目の前の有り得ない光景に、頬がひくりとひきつるのを感じた。










  異世界からコンニチハ。











仕事を終え街で適当に女を引っ掛けて自宅でシケ込む前に酷い睡魔に襲われ、相手はシャワー中だし出た時に起こすだろうと踏んで目を閉じ直ぐに夢の中に堕ちたところまでは覚えている(つい数秒前の事だ思い出せないと困る)じゃぁこれは夢だそうだ。でなければエスパーや超能力者では無い限り普通の人間が海の上に寝そべっているなど酔狂な事が出来る訳がない。では何故俺は海の上に寝そべっていた?


――簡単なことだこれは夢なのだから。――


そう自分の中で結論付けてぐるりと辺りを見回す。360度見渡す限りの水平線。波も穏やかで天気も良好、おまけに海水は汚れを知らないとでも言うかの如く透き通っていて綺麗の一言しか出てこない。きっと海水浴にはうってつけのベストスポットになるに違いない等と考えてはみるが、砂浜なんて見つからない(当たり前だ此処は海のど真ん中なのだから)ので、そんな思考は無駄に終わった。 取り敢えず愛用している煙草を取り出し、火を着ける。肺一杯に紫煙を送り込み、ゆっくりと吐き出す。煙草をくわえたままゆっくりとした動作でそのまま歩き出す。じっとしていても何もならないのは知っているし、その場でジタバタして狼狽えるだけでいる程俺はもう子供でもない。寧ろそういう奴を咎め宥める立場にいる年になった。亀の甲より年の功とは良く言ったものだ。


生憎と時間を図るものを持っていない(女とシケ込む所だったんだ。持っていないのは当たり前だ)から正確な時間は分からないが、小一時間は歩いた筈だ。ただっ広い水平線を眺めるにも珍しい物があるわけでもなく、そこまで海が好きと言うわけでもない俺は、自分の中に飽きが浮上している事に軽く舌打ちする。夢ならそろそろ覚めてくれ。随分と退屈で面倒な夢だ。


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


ピタリと俺は動きを止めた。いや止めざるを得ない状況に陥った、と言った方が正しい。 なんだこの生き物は。古代生物の類いか。いかにも獰猛且つ凶暴そうだな等と頭の隅で考える辺り、俺の脳内はまだ正常に機能してくれているようだ。時間にして数秒、といったところか。古代生物擬きと睨み合いをかました後、古代生物擬きの口が徐に開いた。映画でしか見たこと無いジョーズも真っ青なでかさだ。おまけに歯まで鋭く俺など(全ての人間に共通だが、)噛む前に一飲みで腹の中に収まりあの世行きだろう。

この時程自分の本能に感謝した事はない。180度体の向きを反転させ全力で走った(過去の記憶を掘り起こしてもここまで必死に走った事はない)後ろから波を大きく掻き分けて迫る古代生物擬き相手に、俺は生死を賭けた鬼ごっこを開始した。


「・・・・・・っはぁっ・・・チッ」


かれこれ20分は走り回っただろうか。体のでかさの差は歴然なのにも関わらず互いの距離は相変わらずで、ここまで俺は足が早かっただろうか?と微かに首を傾げる。流石に20分も走り回っていれば息も上がってくるのだが。

そろそろヤバイな、と頭の隅で考えちらりと後ろを振り返った自分を呪った。――目が、血走っている――獲物を追い求める独特の目に背筋にぞくりとしたものが駆け抜けた。一瞬で前を見直しさっきよりも早く足を動かし走るスピードを上げる。 早く陸なり何なり現れないのか俺の夢…!もうそろそろ本気で体力の限界が近づいてると舌打ちをかました。


「・・・・・・・・・船!?」


目の前に見えてきた物に、心の中で胸を撫で下ろす。左足に命一杯力を込めて軸足にし船のヘリに跳んだ(文字通り'跳んだ'。人間命が危なくなると何でも出来るんだな)。上手いこと着地して振り返ると古代生物擬きが口を開けたまま――跳躍した。


「――っ嘘だろオイ・・・?!」


そのまま俺に向かって重力に逆らわず落ちてくる古代生物擬きから目を離すことが出来ずに、その場で固まってしまった。――怖い、とか・・・――それは紛れもない恐怖で、一瞬もたげた恐怖に体が支配された。夢の癖に中々リアルだな、なんて頭の隅で考えてると落ちてきた古代生物擬きが突然青い炎に包まれ海に吹き飛んだ。

何が起こったのか一瞬理解できず、唖然と目の前の人間の背中を見た――…人間…?――あれが?と思わず首を傾げた。両腕が青い炎で翼のようになっている。


「お、い……っ!?」


何で声なんか掛けたんだ俺の馬鹿野郎。振り返った人間(男だった、しかも俺よりも遥かに年上)と思わず目があってしまった。男(変な髪型だな、パイナップルみてぇだ、)は何も言葉を発していないのにさっと背筋が凍った。さっきの古代生物擬きとは明らかに違う目。警戒心と殺気、そのどちらとも取れない『何か』のトリプルコンボに冷や汗が伝う。


「おいおいマルコ、そう警戒すんなよ」

「……?」

「………サッチ」


背後から掛かった声にちらりと横目で振り返る。なんとも立派なリーゼントだな。苦笑を浮かべながらゆっくりと此方に近づく。パイナップル野郎(頭がパイナップルみたいな髪型だからだ、我ながらナイスネーミング、)は「…うるせぇよい」とぼそりと呟くと俺のすぐ後ろで立ち止まって見下ろしてきた。


「……お前、誰だい」

「人に名を訪ねるんなら、先ずは自分が名乗ったらどうだ?」


刺すような殺気と『何か』は引っ込まれたみたいだが警戒心だけは引っ込んだ様子はないようで、固い声が降ってきた。それに対して普段の癖か、おどけた調子で返した。後ろから「やるねぇ」と楽しそうな声が聞こえたが今はそっちを相手してる余裕はないから完全スルーだ。俺の返しが気に障ったのかパイナップル野郎は方眉をピクリと跳ねさせ眉間の皺を深くした。


「……ふざけてんのかい」

「ふざけてなんかないぜ?」

「じゃぁ名乗れよい」

「だから嫌だっつってんだろ」

「………テメェ…」


パイナップル野郎が声のトーンを低くし地を這うような声になったかと思ったら両肩から青い炎が立ち上がった。普通なら有り得ないことに俺は目を張った(肩から火が上がってんだぞ普通じゃねぇ)後ろから陽気な声で「待てよマルコ、落ち着けって」と制止の声が上がりパイナップル野郎(マルコと呼ばれていた、)は肩から上がる炎を納めた。後ろにいたリーゼント野郎はパイナップル野郎の隣に来ると、にこりと笑いながら口を開いた。


「俺は白髭海賊団四番隊隊長のサッチってんだ」


「ほらマルコも」と肘で小突かれて渋々といった感じてパイナップル野郎も口を開いた。


「白髭海賊団一番隊隊長のマルコだよい」

「マルコにサッチか…俺は神無月 響。さっきの青い炎はお前が?」


「…あぁ」と小さく頷いたマルコに「サンキュウな」と礼を述べると、サッチが首を傾げながら「あのさぁ」と呟いた。


「どうやってこの船に乗り込んだんだ?」


最後に島を出たのは一週間前だ、それまでずっと身を隠してたのか?と不思議そうに訪ねられて言葉が詰まった。気が付いたら海の上にいて古代生物擬きに追いかけ回されていた所にこの船を見付けて飛び乗った、等と馬鹿正直に話せるか?――無理だろ――いくら腕を(腕だけなのかは解らないが、)炎に変えられる人間がいたとしても、海の上(しかも若干水面の上に浮いてた、)を走っていたと言っても十中八九信じないだろう。俺だったら100%信じない。だからと言って上手く誤魔化せるかと言ったら先ず無理だ。俺はそこまで口が上手い訳でもないし最適な言葉が浮かばない。シラを切るにしてはあまりにも条件が悪すぎる。一つ溜め息を付いて、包み隠さずに話してやった。



「………嘘だろ…」

「…海の上を走れる人間なんて聞いたことねぇよい」

「…だよな」


俺も信じられんと笑って言えば、悪魔の実の能力者?とサッチに聞かれた。


「?悪魔の実?なんだそりゃ」

「知らねぇのか?」

「知らねぇな。第一何処に売ってんだそんなモン」


俺がサッチの質問に答えると二人は驚いたように目を見開いた(何か変なこと言ったか俺?)直ぐに我に帰ったらしいマルコに今度は質問攻めにされた。


「お前何処から来たんだよい?」

「海の上」

「その前だい。いきなり海の上にいたなんて可笑しいだろい」

「その前?…ホテル」

「…は?」


俺の言葉にサッチが間抜けな声を上げて目を点にした。「女とシケ込む前だったからなー」と笑うとサッチは唖然と立ち尽くしマルコはがっくりと肩を落とした。事実なんだから仕方ないだろうと開き直ったように言えば異世界?とつい最近(いやもっと前からか…)聞いた言葉がサッチの口から飛び出した。

漫画オタク(本人は腐った女子と言い張っていたがどっちも変わらない気がする、)である女友達に散々言われたのが異世界トリップについてだった。何でも本人の意思に関係なく見知らぬ世界(大体の人にとっては好きな世界らしい、)に何の前触れもなく放り込まれるのだとか。女友達曰く'交通事故とかで一度命を落としかけてからのトリップ'と'起きたらいつの間にかトリップ'とやらが一番面白いらしい。そんな事された当人は堪ったもんじゃないだろが。俺は恐らく後者のタイプなんだろう(物凄く不本意だ、認めたくない、) それに未だ此処が日本じゃないだけで俺の知っている地球上の何処かだと言う可能性もある。確かめてみるのに損はない。


「…いくつか質問していいか」

「おうよ」


俺の申し出に快く頷いてくれたサッチと無言だったが確かに小さく頷いたマルコに感謝しつつ質問を投げた。


「此処は何処なんだ?」

「此処は'偉大なる航路'だぜ」

「…日本って国、知ってるか?」

「?どんな国なんだよい」

「海に囲まれた小さな島国で、昔は和服が主流だった」

「倭の国みてぇな所か?マルコ知ってるか?」

「いいや」


……これは、その、あれだ。正しくさっき危惧した事が実際に起こったって事だ。先ず俺の居たところ(地球上)に'偉大なる航路'(グランドライン)なんてものは存在しない。それに日本を知らないときた(そこそこ有名な国だと思っていたが違うのか?)倭の国とやらと酷似しているらしいがこの世界の文化や発明品は殆ど違うようだった。家具はそこそこ同じみたいだが電気器具(携帯やらビデオカメラやら、)は此処には存在しないもので、電話ならあるぞと説明されたのがカタツムリのような奇妙な生き物だった。 俺は目の前の現実に頭を抱えた。何が嬉しくて見知らぬ世界(しかも海のど真ん中、)に殆ど手ぶら状態で放り出されなければならないのだ。重々しく溜め息をついた俺に意外にもマルコから声がかかった。


「ヒビキお前、行く宛はあるのかい」

「……んなモンある訳ねぇだろ…」


ナメてんのか、と軽く睨んでやるとマルコが「…そうかい」と小さく呟いたと思ったら踵を返してスタスタと歩き出した。俺が小さく首を傾げていると、ちらりと振り返ったマルコからまた声がかかった。


「…親父の所に連れてってやるよい」

「…親父…?」

「この船に乗る許可貰いに行くんだぜ、多分。まぁ行ってみりゃ分かるさ」


訳が分からないと視線をサッチに向けると小声で耳打ちされた。最後はウインク付きで。 サッチとマルコの言っていた言葉の雰囲気からして'親父'とやらが一番偉く決定権を持っているんだろうか。さっきサッチに言われた言葉を思い返して、何だ彼奴いい奴じゃんかと安堵の息を吐きつつお前らの職種は何だと聞いた。


「「海賊」」


さっきも言ったろ?と二人から目で訴えられ、自己紹介の時にそんなこと言ってた気がするなとぼんやり考えて海賊って具体的に何だと聞いた俺を酷く殴りたい。


「世界からの嫌われモンだい」

「まぁ世界から見りゃ所謂犯罪者的な?俺達はそうは思ってないけどよ」


ものの見事に即答され、返す言葉もなかった。10代の頃は何かとやんちゃを繰り返し殺人以外には手を出してきた。自慢じゃないが一度も警察にお世話になったことはない。それがいきなり犯罪者かと此れからの素晴らしい転落人生にまた痛み出した頭を抱えた。





○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

簡単な設定をば。

神無月 響(カンナヅキ ヒビキ)、大体20代半ばくらいで、身長はエースより若干低い程度(180cmちょいくらい)
生まれつき目つきが悪いので、本人にその気がないのに喧嘩を吹っ掛けられています。
なので喧嘩慣れしている+武道の経験ありなので、その辺のモブ海兵やモブ海賊であれば一人で何とかできます。

これを書いていた時は、ちょっと大雑把な設定で、台詞を少なめにしようとチャレンジしました。

外見等も敢えて設定してないので、読み手の想像に任せようかと。

このシリーズも実はテスト作なので完結してないです。
3話の途中で書き飽きt…続きが思い浮かばなくて書いてないです。




・トリップ前の世界(現代)について

 数ある並行世界(パラレルワールド)の一つ。
 かなり化学の進んだ世界で、音声認識型電化製品は普通に一般家庭に普及されている。
 2014年に全世界規模の戦争が起こる。この頃になると、試験管ベビー・クローン・人造人間は当たり前に生み出されるようになった。そのような状況での戦争なので、SFアニメのような戦争になった。
 科学技術や医療技術が高い日本は、独自に人類の進化と称して人間を改造した"サイボーグ"を生み出す技術を完成させた。そして出来上がったのが戦闘用サイボーグ「深遠に堕ちた人形」"カオスドール"である。
 それから1000年以上にも及ぶ戦争が続き、1800年後の3814年に終戦を迎えた。その際世界は3つの領土に別れ、永遠の平和を約束した。
 戦争が終わり、仮初めとはいえ平和となってからは、機械と人間が完全に共存する時代となった。


・戦闘用サイボーグ"カオスドール"について

 2014年に日本が開発した戦闘用サイボーグ。
 "カオスドール"を作り出す際、全ての人間が適用されるのではなく、遺伝子・肉体データの適合者のみが対象となり、15歳以上50歳以下の男女でデータ適合者の殆どが"カオスドール"へと改造された。
 元は人間なので、怪我をすれば血液も流れるし、病気にも稀にかかるし、汗も掻く。食事も一応取れるが、人間の三大欲求は必ずしも必要としない。なくても生きていける。
 "カオスドール"となってから肉体が成長する事はなく、サイボーグになったときの姿のままで、半永久的に永遠の命を生きる事になる。
 終戦した3814年には"カオスドール"の一斉回収が始まり、廃棄されるか、娯楽・愛玩用に改造されてしまい、一部の"カオスドール"達は逃亡生活を続け指名手配犯となって今もなお生き続けている。


・戦うヴォーカロイド"シンガーカオスドール"について

 終戦を期に娯楽・愛玩用にヴォーカロイドとして改造された"カオスドール"を総じて"シンガーカオスドール"と呼ぶ。戦闘機能を残した状態で、ヴォーカロイドとしての機能を追加された。
 一部の"シンガーカオスドール"達には、コードの最後にアルファベットが付いており、それぞれに意味がある。


・コード「CD」

 「CD」とは、「Crazy Doll」の略。
 F機に多く見られる欠落機の証。F機は"カオスドール"達を示すコードで、彼らは長年の戦いの中で感情や感覚が狂ってしまう事が多く、"シンガーカオスドール"となる際に一度修正される。
 ただし、戦争の序盤から活動していた"カオスドール"ほど、狂った感情がプログラムの深層部分に強く根付いていて、修正の効かない者達が多く、結果として欠落機として扱われる。


・コード「S」

 「S」とは「Special」の略。
 戦争の終盤で作られた"カオスドール"達は、より完成度の高い"シンガーカオスドール"として改造された者達に付けられるコード。
 感情の修正も完璧で、何処にも欠落などない者達を指す。


・この時代のONEPIECEについて

 狂音 ヤクモが人間だった頃に流行っていた大人気漫画。2000年以上経った今でも、作品名を聞いた事がない者はいないと言われるほどの名作。ただし連載中に戦争が起き、二次創作物の作成を禁止する法案が発令されて休載となり、法案が廃止となったのがそれから200年後の事なので、作品は未完成のまま。



・大体の時間軸

2014年
   第3次世界大戦の勃発
   二次創作物作成禁止令の発令
   戦闘用サイボーグ「深遠に堕ちた人形」"カオスドール"誕生
   神奈 煉(後の狂音 ヤクモ)当時21歳"カオスドール"に改造
2214年
   二次創作物作成禁止令の廃止
   (神奈 煉 221歳)
2890年
   菅原 春(後のAKUA)当時18歳"カオスドール"に改造
   (神奈 煉 897歳)
3020年
   雨宮 実(後の流音 ナツ)当時18歳"カオスドール"に改造
   (神奈 煉 1027歳)
   (菅原 春 148歳)
3814年
   第3次世界大戦の終戦
   "カオスドール"の一斉回収
   戦うヴォーカロイド"シンガーカオスドール"誕生
   神奈 煉(1821歳)GP-53FCD"狂音 ヤクモ"へ改造・改名
   菅原 春(942歳)K-08F"AKUA"へ改造・改名
   雨宮 実(812歳)M-538FS"流音 ナツ"へ改造・改名
4314年
   狂音 ヤクモ(2321歳)・AKUA(1442歳)・流音 ナツ(1312歳)ONEPIECEへトリップ



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細かな設定まで書いていたらしい…

基本的にこの小ネタには、今までPCのメモに書いていった物を不定期にあげていきます。

それにしても、私は設定は結構しっかり決めて書く癖があるので、自分が決めた設定におっつけずに書けなくなることが多く、没やお蔵入り(?)した子達が沢山あるんですが、この子もその一つですwww

これを考えた当時の私は何故こんな面倒くさい世界設定にしてしまったのか…(・・;)




戦うヴォーカロイド①

名前
  狂音 ヤクモ

性別
  男

年齢
  2321歳(肉体年齢21歳)

身長
  188cm

コード
  GP-53FCD

モデル
  神威 がくぽ(がくっぽいど)

性格
  基本落ち着いていて、声を荒げる事は滅多にしない。
  多少天然の気がある。
  血液・戦闘狂で、その時の精神状況で狂ったように血や戦いを求めたり、怖がったりする。
  肉体的・精神的な年下には結構甘い。
  あんこが大好物。三度の飯よりあんこが好き。

外見
  ベースが神威がくぽなので、髪型や髪色はがくぽに近い。髪色はがくぽより深い紫。
  衣装が着込むタイプなので、しっかりしているように見えるが、実は細身。
  脂肪よりも筋肉の方が多いので、ソフトマッチョの部類。華奢ではあるがひ弱では決してない。

持ち歌
  千本桜(初音ミク)、呼吸(神威がくぽ)、Ophelia(蛇足)、Zips(T.M.Revolution)、
  I、愛、会い(ghostnote)、fish(The Kaleidoscope)、etc....

声イメージ
  鳥海 浩輔(斉藤一/薄桜記、ユーリ・ローウェル/TOV)

相手
  マルコ



戦うヴォーカロイド②

名前
  AKUA(アクア)

性別
  男

年齢
  1442歳(肉体年齢18歳)

身長
  170cm

コード
  K-08F

モデル
  KAITO

性格
  基本明るく人懐っこい。
  同じKシリーズの中でも子供っぽく弟キャラ。
  弄られキャラはベースとなったKAITO譲りとも言われている。
  少しドジッ子っぽいところも。
  肉体的・精神的な年上には、慣れるまでは敬語で話す。
  ましゅまろが大好物。三度の飯よりましゅまろがry

外見
  ベースがKAITOなので、髪形や髪色はKAITOに近い。髪色はKAITOよりも薄い青。水色に近い。
  衣装は少しSFっぽいところがある。マフラーは常に常備。
  細身で華奢。だがしっかり筋肉も付いてる。でも華奢(決してもやしっ子ではない)

持ち歌:
  カゲロウデイズ(初音ミク)、愛は戦争(KAITO)、1.21(蓮)、
  キミモノガタリ(little by little)、Crazy Rainbow(タッキー&翼)、etc....

声イメージ
  森久保 祥太郎(花村陽介/P4、カダージュ/FF7)

相手
  サッチ



戦うヴォーカロイド③

名前
  流音 ナツ

性別
  女

年齢
  1312歳(肉体年齢18歳)

身長
  173cm

コード
  M-538FS

モデル
  初音 ミク

性格
  気が強めで好き嫌いがはっきりしている。
 さばさばしていて、言いたい事ははっきり言うタイプ。
  それでも妹キャラなのはベースのミク譲り。
  肉体的・精神的に年上だとしても基本はタメ口。
  いちごが大好物。三度の飯よりry

外見
  ベースはミクなのでミクに似ている。限りなく髪色をベースに近づけたシリーズなので、髪色はほぼミク。   衣装は制服のような形。ミニスカにニーハイは必需品。
  細身だが出るとこ出てる体型。でもやっぱり筋肉は付いてる(目立たないだけ)

持ち歌
  パンダヒーロー(GUMI)、ワールドイズマイン(初音ミク)、恋色病棟(Gero)、
 射手座☆午後九時Don't be late(シェリル・ノーム)、しょうちのすけ(推定少女)、etc...

声イメージ
  小清水 亜美(天城雪子/P4、紅月カレン/コードギアス)

相手
  イゾウ



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取り敢えず主人公達の設定を。
戦えるヴォーカロイドってかっこよくないか?と思って衝動で書いた一物。

私が腐っていることもあり、ちょっと腐的な要素も交えつつ、シリアス要素強めに書く予定でしたww←

声のイメージは私の個人的な願望でもあるので、他にも合いそうな御方がいれば教えてくださいww