
私を形取る新地図。
桜の花吹雪が
フロントガラスに張り付いて離れない。
スピードを上げていくうちに
サイドミラーをすり抜けていく
厳しい冬を乗り越えて柔らかい3月の空に
別れと出会いのシンボルを咲かせる
私より先にこの世でその美しさを
毎年誰かに振りまいている桜たちは
そこからずっと変わりゆく景色を眺め
次の季節を待っている。
花々の姿はほとんどの人間の中で
癒しを与えてくれてはいるが
一部の人間にとっては脅威の対象でもある
そこに当たり前にあるものが
豊かさを運んでくれるのと同時に
憂鬱さも運んでくるのだ
それはお金という存在も同じだと思う。
この世に生まれる前から
ある社会の仕組みが
その人の人生を彩っているなら
恐らく意識しない事が
労働のない生活だと思う
当たり前にお金がこの世を循環させ
当たり前にそれを手にして消費し
自分の財布の中身や銀行の残高が
増減する様を一喜一憂する
私たち人間は
固着した価値観からしか物事を
見ないし判断しない
それは物事の裏表を考えずに
自分の好き嫌い、優劣、快・不快で
判断した時が多ければ多いほど
違う世界を知ろうとはしないのだ。
表面だけのものに惑わされ
そこに視界の窓がいくつも存在しない限り
異なる価値観や思考回路は閉ざされてる
人生は1つではない。
運命は自分が想像したものより
ドラマティックなのだ
私の見えてる世界は
大勢この地球上にいる
人間のひとコマであるけれど
そこで起きる物事は選択と
豊かさに満ちている
それがわかるのは人生を
受けとめた人にはわかると思う
国道をひた走り県道への
分岐点前でウィンカーを出した途端
フロントガラスの最後の桜の花びらは
後ろへながれていった

