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消費税は直接税か間接税か? 結論は「直接税と間接税」の「定義」によって変わるのだが、そこを明確にしないままでは、話が噛み合わないのは当然である。どういう定義に基づいているのか、まずは筆者の手の内を晒そう。

筆者の定義は、純粋に「税」の性質と「法律」から導けるものだ。そもそも「税」という字は「国民の稼ぎを剥ぎ取る・抜き取る」という意味で、だから税は「納める」ものであり、本来「払う」ものではない。昨今は学校でも「税は社会の会費のようなもの」と教えているので、あたかも「代金」のように「税を払う」という言い方に違和感が無い方も多いと思うが、では「代金を納める」はどうだろう? たぶん違和感があるはずで、その原因は「反対給付」の有無だ。
・税 ⇒ 納める ⇒ 反対給付無し(一方的に奪われる)
・代金 ⇒ 払う ⇒ 反対給付有り(払った相手から対価=代金に見合う給付有り)

 

「税」の一方的に「剥ぎ取る・抜き取る」性質は「反対給付無し」にこそある。分かり易く言えば「国民の私有財産を侵害する」性質だ。ではなぜ、それが可能なのか?

それを理解するためには「租税債権債務」の概念が必要。これは「税法に依り、課税客体は租税債権を有し、税を課された者は租税債務を負う」ことを意味する。
・租税債権者=課税客体:国や地方自治体
・租税債務者=税を課された者:税法で規定する「納税義務者」

まずは「税法ありき」なのだ。だから憲法84条(租税法律主義)が存在する。
「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」
⇒法律によらなければ、国家は租税を賦課徴収できず、一方、国民は租税を負担することはないことをいう。(国税庁↓)


したがって「税法」では、まずもって
・「何に」税を課すか(課税の対象)
・「誰の私有財産から税を徴収するか」(租税債務者=納税義務者)
の2点が必ず規定される。
つまり税法に依って、租税債務者(納税義務者)は「税」という「負債(貸付無しの借金)」を「担って(引き受けて)」いるから「税負担者」であり、法的解釈はそれのみだ。
そして租税債務者は、通常、申告納付で税という負債を「返済」するが、それ以外の返済手段が税法で規定されている場合もある。よく例に挙げられる入湯税等は「特別徴収義務者」が、租税債務者=納税義務者から「税」を「徴収(預かり)」して「納付(代行)」する義務を負っている。

以上により、下記定義が可能となる。
・直接税:納税義務者と納付義務者が同じ税(直接納付税)
・間接税:納税義務者と納付義務者が異なる税(間接納付税)

これを税の「国民の私有財産を侵害する性質」から観れば、税法で規定された租税債務者=納税義務者の「私有財産」から「徴収」していることに変わりはなく、ただ、その手段が「直接納付」か「間接納付」かの違いだけである。

だから、多くの国民は「消費税は間接税」と聞かされた時に「消費者の消費に課された税金で、事業者はそれを預かって納付している」と理解したのである。もちろん、筆者だってそうだ。
ところが1年半ほど前に消費税法を読んで驚いた。消費税法の規定では、
・第4条(課税の対象):事業者の販売行為=売上
・第5条(納税義務者=租税債務者=税負担者):事業者
事業者の売上に課され、事業者自身が納付する直接税だったからだ(ただし、第30条により自身の売上税額から仕入先の売上税額を差し引ける)。
「消費税は直接税」という「法に基づく」分類に嘘偽りが無いことは、消費税法↓を見て頂ければ分かる。

 

しかし「消費税は間接税」だと国(財務省・国税庁)や税理士達が言うのは、明らかに「違う定義」に基づいているからだ。それは何か。

~~~ここから~~~

事業者に課される消費税相当額は、コストとして販売価格に織り込まれ、最終的には消費者が負担することが予定されています。
(「直接税」と呼ばれる所得税などに対し、このように納税義務者と実質負担者が異なる税を「間接税」と呼びます。)

~~~ここまで~~~
 

正直に言って、これを読んだ時、筆者は心底、驚いた。こんな定義は齢60を目前にしていた当時、まったく聞いたことが無かった。慌てて「消費税法」を確認してみたが「実質負担者」も「消費者」も、消費税法中には一言も存在していなかった。

つまり、この財務省の定義は明確に「税法」に基づいてはいない。つまり、憲法84条「租税法律主義」を「意図的に無視」しているのである。いったい、いつ、どこで、誰が、何に基づいて、こんな定義をしたのか? ところが、これまた驚いたことに、この定義の起源が不明なのである! 経済学や税法の本を紐解けば、必ず載っているこの定義の「起源」の記述が無い! これが数学や科学ならば「定理」や「法則」の起源について記述がないなんて、そんな事は絶対にあり得ない。

その後、消費税のモデルであるEC型「前段階」「売上税額控除型」付加価値税の歴史を遡っていった結果、どうやらこの定義はWTOの分類に基づいている事がほぼ確実だと分かった。WTOの前身のGATT時代までは調べきれていないが、少なくとも、WTOの分類は現在でも参照できる。

次回はWTOの分類と、それに至った原因の「前段階」「売上税額控除型」付加価値税の特異性についても触れていく。

消費税は、消費者の税金(預り金)ではない!

↑この図面は、転載・流用フリーです。オリジナル図面のURL↓
https://www.mitsumori-yoichi.com/shohizei/wp-content/uploads/2024/03/shohi_zei_diagram.png

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