"BEFORE I DECAY" "SHIVER" "Red"/the GazettE | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。

 今回もガゼットですー。『DIM』から『TOXIC』の間は結構アイテムが多いので変な纏め方ですが。

 

 

BEFORE I DECAY』

 

01.BEFORE I DECAY ★★☆

 ルキ原曲。珍しく映画タイアップ、しかも「ワイルド・スピード」というわりと大きめの。タイアップのためのリリースとはいえ自由に作ったらしく、ドライブ感というより戦車的な…「LEECH」に近い感じですね。怒りをぶちまけつつ、強い意思も感じられるような歌詞。洋楽的ニューメタルの範疇に留まっており、らしいメロディが少ないのは惜しいですが、轟音リフやキメなどは心地よく、タッピングなどアクセントも効いている。

 

02.瞞し ★★★★☆

 ルキ原曲。欺瞞(ぎまん)の瞞で「まやかし」。哀愁を伴いながらリズミカルなカッティングが印相的な楽曲。複雑な展開などはなく派手さもなく、彼らの中では地味な楽曲ながら、これがまた非常に味わい深い演奏と良質なメロディで素晴らしいんですよ…。

 当時の邦ロックシーンを思わせる楽曲で、実際ルキや戒は椿屋四重奏が好きとラジオで語っている通り、あの感じ。未だに好きな楽曲とも語っていました。

 

総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★

 キングレコード所属時代としては最後の楽曲(既存曲のみのベスト盤が後に出ますが)。『DIM』ツアーファイナルの翌月リリースながらツアーで披露されてない、カップリングが1曲のみ(前後のシングルではずっと3曲)ということから、大人の事情でツアー中にかなり急ごしらえしてそうな香り。

 そう勘ぐってしまうほど、どうにもシングルとしての印象が薄く、タイトル曲の味気なさがもはや虚しい…。カップリング曲に隠れ名曲があるのは有難いですが。「瞞し」だけのために手に入れてほしいシングルではあります。

 かなり冷めたレビューになっちゃいましたが、複数売りしていないのにもかかわらずオリコン2位というのは凄いですね、握手会とかあったのかな。この時期メンバー自身も雰囲気が暗かったと後に語っており、歌詞も怒りが多いし、色々会社的な不満があったのだろうな。

 

ベストソング / 瞞し

 

 

SHIVER』

 

01.SHIVER ★★★★☆

 ルキ原曲、人気アニメ「黒執事」のOPのタイアップ。疾走感がありメロディアスでキャッチー…いわゆる90年代後半に一世を風靡したV系らしい楽曲というか。サビ始まりも珍しいし、歌詞も非常に分かりやすい。哀愁を纏いつつ心地良いメロディ、バンドの音だけで構築されたシンプルなサウンドながら、聴き応え満点でめちゃんこカッコいい。ギターソロ最高、ドラム超気持ちいい。アニソンとしての訴求力を持ちつつ決して安くならない見事なクオリティ。

 昔コピーバンドで歌ったこともあり思い入れも強く、先日の20周年ライブで披露された時は本当に嬉しかった。

 

02.HESITATING MEANS DEATH ★★★

 麗原曲。ほぼ全英詩で、轟音リフで爆走、シャウトで攻めてからのメロディアスかつ疾走感のあるサビ、ビートダウン系の間奏など…。展開からなにから「BEFORE I DECAY」と被るけど、よりキャッチーなサビが冴えわたり、完全に上位互換だと思う(笑)。良くも悪くも薄味なのも似てしまっているけど。

 

03.奈落 ★★★★

 ルキ原曲。程よくヘヴィでダークな歌モノ、タイトルのイメージほど陰鬱ではなく、ほんのりデジタルも散りばめ聴き心地は軽い。男女が情欲に堕ちていく様をメロディアスに歌いあげ、サビメロも良質。キメの多いバンドサウンドも聴き応えあり。まあカップリング的地味さは拭えないけど…。

 

総評 [お気に入り度★★★★/おすすめ度★★★★☆

 前作のシングルより半年強を経て、天下のソニー移籍後から初のアニメタイアップを携えてリリースされた作品。こう来たか!という驚きと共に、クオリティの高さに胸が躍った事を記憶しています。出すたびヘヴィさを増していていたバンドでしたが、諸々一息着いたのでしょうか、純粋な良曲を聴かせてくれて嬉しかったですね。

 録音にまつわる環境も大きく変わり、各楽器の音質が格段に良くなりましたね。くっきりはっきり、よりヘヴィさも活きてくる。もちろんプレイ面でも更に良くなりました。そしてモノクロのPVが超かっこいい(笑)。

 「SHIVER」は当時大学生だった自分の周りでも驚くほど認知度が高く、ナイトメアの「theWORLD」、シドの「嘘」と並んでカラオケで歌いやすい楽曲でした(笑)。TVでの披露等が確か無かったのが惜しい、もっと世間に広まってほしかった。でもここぞという時にこういった楽曲が出せるのがガゼット強みなのを再認識しました。

 

ベストソング / SHIVER

 

 

Red』

01.Red ★★★★

 ルキ原曲。ヘヴィリフを主体としながら「Hyena」のような疾走感あり、「SHIVER」のようなメロディの良さのある歌モノと、ガゼットの魅力が存分に詰まった1曲。かなりストレートな楽曲で歌詞も分かりやすいけれど、シンプルに良曲。昔の歌謡メロ的な要素があるのが飽きさせない理由かも。2番Aメロの葵のギターが非常に乙、麗のソロも良い。

 

02.VERMIN ★★★★

 ルキ原曲。ひたすらテンションの高い暴れ曲で、ライブが楽しすぎて非常に人気な曲(疲れるけど)。チューニングがさほど低くないことも相まって、ギターの軽快なフレーズが心地よく、ギミック的なフレーズも楽しめる。歌詞は怒りを込めつつ、哀れな虫けらを小ばかにするようなコミカルな歌い方も見せる。まあとにかく疾走感が最高で気持ちが良いのです。

 X JAPANの「SCARS」感は若干あるけどどっちも好き。

 

03.AN UNBEARABLE FACT ★★★★☆

 葵原曲。ピアノ含め全体的にどこかゴシカルさのあるヘヴィな楽曲。「奈落」と同じくメタリックな刻みのギターを配しつつ、サビメロはより情念めいてるのだけど、基本メロディアスで聴きやすい。随所に挟まれるクラシカルなベースソロが超かっこいいし、葵によるギターソロも非常にエモーショナルで良い。リフもかなり複雑ながらザクザク心地いいし、結構ドラマチックな構成だと思うからライブでもっとやってほしいんだよなー。

 

総評 [お気に入り度★★★★☆/おすすめ度★★★★☆

 前作から2ヶ月後という、今では考えられない(笑)短いタームでのシングル。全体的な色味というか、収録曲のテイストは「SHIVER」と同じような感じですが、より粒の大きい楽曲を放ってきています。

 ノンタイアップなため知名度こそ無いですが、「Red」のメロディの強さと普遍性、「VERMIN」のライブ感、「AN~」のマニアックで癖になる味わい深さと、かなり"the GazettE"が凝縮された1枚だと思っています。

 

ベストソング / AN UNBEARABLE FACT