『ウツセミ』
01.~規則的な四拍子~
SE。メトロノームが4拍子を刻むだけ。
02.うつせみ ★★★★
竜太郎作詞、正作曲。まったりとしたオルタナ系のミディアム曲、ザ・プラな独特の浮遊感たっぷり。若干のマンネリ感は感じつつもやはりメロディが素晴らしく、シューゲイズ的に不協和音ギリギリなギターが隙間なく空間を埋め、柔らく弾むベースが心地よい。ドラムも大好きな鈴の音を多用して好き。
03.テトリス ★★★★☆
竜太郎作詞作曲。前曲から途切れなく開幕、フロアタムの残響をわざと残したりゴリゴリで音量大なベースなど、ライブ感が堪らないメロコア系ナンバー。間奏のプログレッシブな極太ユニゾンリフが最高、パンクで投げやりなボーカルも言葉遊びが楽しく、CDでもグルーヴ感が猛烈に感じられる。
04.リプレイ ★★★★★
竜太郎作詞作曲のシングル、冒頭に短いSEが追加。穏やかなポップロックで非常に聴きやすく、疾走するサビのエモーショナルさが堪らない。太郎の歌詞と歌声のシンクロ具合も神がかって、柔らかいアコギと轟音バンドサウンドの緩急も心地よい。激しく温度を上げ儚く燃え尽きる炎のようなアウトロも素晴らしい。プラを知って初めて好きになった曲で、今は更に特別好きな曲。鈴も入ってるし。
切なすぎる歌詞を読みながらこれ書いてたらマジでいい曲過ぎて涙でてきた…(笑)。3曲目にして極まってる。
05.メルト ★★★
正作詞作曲。重苦しも力強いリフと、ダウナーで少しゴシックな雰囲気が共存。どこか無機質に淡々と進むも、サビではメロウな美メロが炸裂。鈴の音も相まってどこか和のたおやかさも。シンプルな展開で少し飽きは来るけど、メロディの良さは本物。
06.Dummy Box ★★★★
アキラ作詞作曲。爽快なギターロック、テンションコードの響きがアキラらしい。ポップで少し可愛げなメロディ、2段構えのサビでは後半エモーショナルさも顔を出す。轟音リフの気持ちよさに浸り、大好きな鈴も完備(笑)。
07.Q ★★★★
正作詞作曲。こちらはよりポップで可愛らしいギターロック、シンセが強く歌メロもサラッと歌い上げる感じ。流れるようでいて掴みどころのないサビの心地よさ、そして鈴(笑)。シンセとユニゾンするコミカルなギターソロもテクニカルで最高!コンパクトで無駄のないカッコよさ。
08.フィクション ★★★★
竜太郎作詞、アキラ作曲。フォーキーなアコギと奇妙なシンセが絡むミディアム曲。随所にアクセントを入れるドラムが実に気が利いてる。柔らかくほんわか進むと思えばサビでは声を張り上げ爽快で広がりのあるギターロックへ。落とし所アガる所の落差が気持ちよく、歌詞のヘンテコ具合も耳に残る。鈴連打。
09.斜陽 ★★★
竜太郎作詞、アキラ作曲。タイトル通り夕暮れ思わせる翳りのあるカッティングと、リフレインするベースのうねりが心地よい。メロディアスだけど終始哀愁が漂い、サビの儚げな憂鬱さに浸ってしまう。鈴。
10.GEKKO OVERHEAD ★★☆
アキラ作詞作曲。パンク色強いギターロック。疾走感と滑らかなメロディが聴きやすく、掛け合いコーラスパートも。随一生々しいバンドサウンドでパリッと軽快。が、今作の中ではあまりに薄味すぎるか。鈴も無いし。
11.バルーン ★★★☆
正作詞作曲。再びフォーキーなミディアム、アコギのハモリが美しい。超絶エモーショナルなサビがしんみりと泣かせにかかり、サビの中にAメロの演奏を挟む緩急効いたこギミックも良い。メロディはシンプルに繰り返しだけど、アレンジと歌声が良い。鈴。
12.~晴天、喚声、回転木馬の前~
遊園地的な短いSE。
13.アローンアゲイン、ワンダフルワールド ★★★★★
竜太郎作詞作曲のシングル。神曲。繊細なメロディのミディアム。ザクっとしたバンドサウンドと、触れれば消えてしまいそうな歌声のアンサンブル。エモーショナルで美しくて、サビでは心地よく空に舞うようでいて、記憶の彼方に吸い込まれてしまいそうで…。鈴。
いいから聴け。
14.記憶行き ★★★★
竜太郎作詞作曲、初回限定版のラスト。プラには珍しいピアノバラード。シンセの音色がノスタルジックで、切ない歌詞と優しい歌声が本当に素敵だ。歌はラストまで淡々としていながら、長くは感じないドラマチックさ。空間エフェクトで優しく包むギターは、ライブのアウトロでは感情のままに咽び泣く。それがあまりにも素晴らしくて少しCDでは寂しい。鈴。
15.~三角形の構図~
通常盤のみのSE。「記憶行き」の歌詞とリンクする、駅のホームの喧騒。アウトロとそのまま繋がっており、これがあまりにもハマっていてなぜ限定版にも入れなかったのか…。ただ次曲ともつながっており難しいところ。
16.closer ★★★★☆
アキラ作詞、竜太郎作曲、通常盤のみ。ミディアムテンポのギターロック。やるせなく支離滅裂な歌詞と、けだるい歌声が得も言われぬエモーショナルさを醸す。あくまでサラッと流れていくのだけど、後悔に滲む歌詞に自分を重ねまた泣きそうになる。鈴。
総評 [お気に入り度★★★★★/おすすめ度★★★★★]
前作『ネガとポジ』が割と湿った質感だったのに対して、カラッと軽快なギターロックが中心。非常に軽やかで聴きやすい、それでいてサウンドの重厚感もあって決して作品自体が軽いわけでもない。がむしゃらな疾走じゃなく、アレンジの妙もふんだんに詰め込まれ聴き応えもある。ミディアム曲は特に秀逸。
まるで小説を読んでいるかのような竜太郎の歌詞も、歌詞カードの遊び心も相変わらず最高だし、正とアキラの歌詞も実にハマってる。
V系的な要素は「メルト」に少しあるくらい、J-ROCKにプラ流の轟音をプラス。誰にも聞きやすく、V系ファンにはど真ん中でなくとも満足感ある音圧とエモーショナル。ほんとにどれもキャッチーで素晴らしい。
ただあんまりコンセプティブでもなくSE込みにせよ16曲のボリューム、中盤の起伏が薄く飽きが来てしまうかも。しかしシングルや序盤終盤は確実にインパクトはある。
また独立したSEのほかに、一部の曲のお尻に繋ぎのSE的なのが挟まれ場面転換はすこぶる良い。個人的には別のSEとして分けてほしんですけどね。
初の武道館後に発表、Dr.ササブチヒロシ最後の参加作品となりました。シングル2作ががオリコン11位に飛び込み(2種売りだけど)、今アルバムで初めてTOP10に食い込んだ記念的作品。今までとは少し毛色も違う明るさだけど、キャッチーで珠玉なメロディたちは広く認められるのも納得の出来。V系とかどうとか考えずに聴いてみてほしい1枚。
ベストソング / 「リプレイ」「アローンアゲイン、ワンダフルワールド」