どうもー。音源レビューは今年度初ですね。ちょっとペース落ち気味ですがこれからまた。
BELOVED Anthology 5,774円 Amazon |
今回はGLAYです!名古屋も東京も参加予定だったドームツアーが中止に…悲しいけれどこんな時こそ音楽の力を信じたい。サブスクで聴くだけでもアーティストの力になるし、自宅でも色んな文化に触るようにしたいですね。
『BELOVED』
01.GROOVY TOUR ★★★☆
ライブツアーの幕開けを感じさせる、まさにグルーヴィで開放的なビートロック。観客の声を入れたり奥行きを出して臨場感溢れるミックス、アリーナでの演奏がありありと想像できる。
キャッチなーメロディはもちろん、オリエンタルなHISASHI、どっしりとロックなTAKURO、既に貫禄さすらあるJIROなど演奏も良い。特にTOSHIのハネたドラミングの気持ちよさといったら!
02.Lovers change fighters,cool ★★★☆
通称"ラバチェン"、直訳すると"恋人は戦士たちを変える、イカしてるぜ"的な⁇良く分からないけど字面はよろしくない(笑)。しかし曲はスピード感あふれる歌謡ビートロック、メロディも熱い。歌メロに絡むHISASHIのギターも最高だし、引き続きTOSHIのシンバルワークが素晴らしい。ハードなテイストながら、かなり俗世的な歌詞が逆にとっつきやすい。
03.BELOVED ★★★
GLAYを完全にブレイクさせた、リードシングルでありタイトル曲。ドラマ主題歌というのもあって、30代、40代にはもう知らない人はいないぐらいのヒット曲。僕の世代(20代後半)でも知名度は高い。
涼し気なアコギのからメロディアスなリードギター、ベースも音色からフレーズから暖かく包み込む。シンプルで心地よい演奏に乗る、優しくも切ない珠玉のメロディ。多くの人に共感される歌詞とメロディは、ソングライターとしてのTAKUROが目指してきたもの。少年時代からの努力がこの曲でついに実を結んだ。もう好き嫌いを通り越して、なんというか、いつまでも受け継いでいきたい曲。
04.SHUTTER SPEEDSのテーマ ★★
JIRO初作曲、歌詞はTAKURO。この曲で完全にJIROのイメージが固まったのではないでしょうか、それまでのGLAYに無いハジケたパンクナンバー。流石にライブと比べるとテンポがかなり遅く物足りないものの、冒頭でJIRO自身が歌っているもんだからインパクトは絶大。ライブではサビの掛け合いがとにかく楽しい。
05.Fairy Story ★★★
BOØWY直系のメロディアスで男らしいビートロックながら、雪国出身らしい冬の哀愁も表現。少し時代を感じる作風でもメロディが非常にキャッチーで良い。カッティングとアルペジオの絡みがサビの切なさをいっそう強める。そういやこんだけ長年GLAY聴いてるけど全然BOØWY聴いてないな…。
06.カナリヤ ★★★
再びJIRO作曲TAKURO作詞。ゆったりと広がりのあるミディアム曲、素朴でどこか異国情緒も漂う音作り。遠くの友人への手紙のような、過去を想いながら今を見つめる歌詞は大人になればなるほど染みる。GLAYの人柄が滲み出たような、暖かい気持ちにさせてくれる曲。
07.HIT THE WORLD CHART! ★★★★
一転してファンクなハードロック、毒気のある歌詞も相まってダークな香りも纏う。メンバーが同時にボーカルをとるBメロや、ほぼ一発録りで勢いがありつつ遊び心のある演奏など、ミディアムテイストが印象強いアルバム中では異質な1曲。HISASHIによう歌中のフレーズやギターソロが特に耳に残る。
08.a Boy~ずっと忘れない~ ★★★
シングル曲。「BELOVED」に近いテンポで、同じくアコギを用いたミディアム曲。こちらは誰かへの愛情というよりも、もっと自分の人生にフォーカスを当てたような歌詞。こちらも出会った当時より大人になった今でこそ染みる。メロディも変にシングルめいていない素朴さで、丁寧な演奏の中でもJIROの効果的なフレーズが絶妙。そしてコーラスでもJIROが大活躍。
09.春を愛する人 ★★★★
アルバム曲ながら一般知名度も高めの楽曲。四季折々の情景を盛り込んだポップロック。きらめく陽射しを思わせるギターが彩り、最強にキャッチーなメロはアルバムを飛び越えて愛されるのも頷ける名曲。曲展開も実にドラマチックで、コーラスも華々しさをプラス。
10.カーテンコール ★★☆
ピアノがメインのバラード曲。相変わらずのメロディの良さ、そしてTERUの濡れた歌声が実にセクシー。前作の「軌跡の果て」同様、ひとりの男の人生を描く歌詞も秀逸。後半から顔を出すバンド陣も非常に大人びた雰囲気、浸れます。
11.都忘れ ★★★☆
弾き続きピアノをフィーチャーしたミディアム曲、こちらはバンドサウンド中心。穏やかに、高らかに歌われるラブソング。このサビの美しさと、ギュッと胸を締め付けられるメロディアスさは必聴。歌詞もあまり小難しくせず比較的素直な感じ、、なんと美しい言葉の並びなのだろう。あと地味にドラムのフレーズが良いんですよ、軽やか。
12.RHAPSODY ★★★
エンディングはシングルとなんら遜色ない、キャッチーで爽やかなビートロック。ミディアム多めのアルバムとしてはホッとする終わり方。このままツアーに連れてって欲しくなるような解放感。結成時から詩的な表現に長けたTAKUROだけど、この歌詞は少し年齢相応の言葉選び。大人にはなり切れていないけど決して子供でもない、そんな歌詞も爽快。
~以降Anthology盤のみ~
13.neuromancer ★★★☆
「a Boy~」のc/w、HISASHI作詞作曲。お得意のデジタル要素が初お目見え、時代なりのチープさはあるけどキャッチーなデジロック。この並びで聴くことにより、単語一つとってもHISASHIとTAKUROでは全く違うのがわかる。タイトルは同名のSF小説から引用しているものの、内容と全く関係ないとのこと(笑)。
しかしこのAnthorogy版、非常に音が悪い…。素材がいい状態で残っていなかったのか、アルバムの色に合わせたのか、原曲の無機質な勢いを削いでしまっているのが残念。
14.口唇 ★★★☆
「HOWEVER」共々ベストのみの収録だったため今作に統合させた感じでしょうか、大ブレイクに拍車をかけた有名シングル。ミディアム曲のイメージを打ち壊すかのようなハードな歌謡ロック。ピコピコした電子音がスリリングさを強める秀逸なアレンジ。ハードなリフの高揚感もたまらない。イントロにはライブ同様ムーディーなピアノソロが追加。
総評 [お気に入り度★★★/おすすめ度★★★★☆]
初のミリオン到達作品。その評価にまったく恥じない名盤だと思います。若干ビジュアル系の名残を残す当時の見た目に反し、J-POPとしての完成度が抜群に高い。老若男女問わず愛される歌詞とメロディ、GLAYを結成した時からの芯の部分が世間にも認められた重要な作品。
さすがに20年以上前の作品、今の若い子が聴いてピンとは来ないかもしれないし、当時中学生の自分が聴いても良さはあまり分からなかった。でも大人になるとわかる名曲の多さ。さんざん言うけどメロディが素晴らしい。
人生の悲喜こもごもを、自分に代わって代弁してくれているような…。ロックスター的に虚勢を張るでもなく、主張を押しつけるでもない。時に女々しさを感じる言葉遣いも含めて、等身大の人間らしさを感じる歌詞が共感を得たのだろう。メッセージを伝えるあまり表現が陳腐になるわけでもなく、日本語としての美しさも魅力。
そんな感じでべた褒めしてきましたが、音楽的にはさほど好みではないです(笑)。どうしても2000年以降のGLAYサウンドで音楽に目覚めた身としては、物足りなさも多い。そこは好みですね。
そしてAnthorogy版のリミックスですが、これは微妙と言わざるを得ないか…。前述の「neuromancer」は置いといて、全体的にバンドサウンドの生々しさを強めたものの、わびさびみたいな部分が弱まった印象。コーラスも聴きやすくなった半面、主張が強すぎる場面が多い。良い部分もあるんですけどね。これはもう佐久間マジックの素晴らしさと、それがいかに自分に染みついたサウンドだったのか思い知らされますね。
ただ特典含め値段相応の逸品と思います。アイスランドでの撮影ドキュメントはコメンタリーもあって楽しいし、ジャケットはこう撮られていたのか!という嬉しい発見も。
ベストソング / 春を愛する人