完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を♥ / バンドじゃないもん! | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。今回は久々にバンドじゃないもん!、通称バンもん!です。

 みさこ(鈴木みさこ・Dr.)、汐りん(恋汐りんご)、ぐみてゃん(七星ぐみ)、みゆちぃ(望月みゆ・ベース)、ゆずぽん(甘夏ゆず・Gt.&Key.)、ちゃんもも(大桃子サンライズ)による6人アイドル。自ら楽器演奏しつつダンスもこなすという少し異色なスタイル。とにかくピースでハッピーさを感じさせてくれるのが彼女達の魅力。

 一旦メジャー進出したものの契約解除、その後超大手PONY CANYONより再びメジャーデビュー。楽曲のクオリティもすさまじく良くなりセールスも上々、そんな追い風の中発売された2ndフルアルバムです。

 

 

 

 

『完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を♥』

 

01.青春カラダダダッシュ! ★★★★★

 アニソン作家4人によるQ-MHz(超著名な人ばかり)が作詞作曲、エネルギッシュなポップス。やっぱりすげー集団が作っただけあって素晴らしいクオリティ。筋トレをテーマに爽やかに、だけどサビの早口フレーズが超癖になる。みさこのタイトなドラムも良い、最高のスタートダッシュ。PVも超可愛くて、その相乗効果もあって大好きな曲。

 

02.キメマスター! ★★★

 これもQ-MHz、2回目のデビューシングルとなった6thSg。タイトル通りキメが多いアレンジで、やっぱりサビは早口。しかし最強にキャッチーでポップでロックでアイドルしてる。そして中盤からラストへの盛り上がりが熱い。名刺がわりの1曲だけあってロック色強めなのは嬉しいけど、ちょっとこってり気味。

 

03.しゅっとこどっこい ★★★☆

 ゆよゆっぺ作詞作曲。ふわりと浮かぶメロから、お祭り騒ぎのイントロへ。元ボカロPだけあって、和メロからラップ、爽やかなサビへの目まぐるしい展開。そして極めつけは曲中に"体操のおねえさんパート"まで入れ込んでしまった。結果サビが1番地味と言う(笑)。ちゃんももの声が素晴らしい1曲。どこまでドライブするんだこのアルバム。

 

04.夏のOh!バイブス ★★★☆

 ORANGE RANGEのHIROKIとNAOTO作詞作曲の7thSg。人選から期待できるとおり真夏の日差し感じるサマーポップス。癖はあるけど馴染みやすい歌謡メロのせいか、海外のビーチじゃなくゴミゴミした日本の海水浴場って感じ(笑)。レンジのオマージュがあったりしつつ、バンもん!の色もよく出てる。PVは全員水着という素晴らしい映像。

 

05.君はヒーロー ★★★★

 俺たちのHISASHI作詞作曲。軽めでコミカルなロック。楽器メンバーは全員演奏参加。言葉遊びが実にHISASHIらしく、「カラコンからキラー」など語感がどれも良い。爽快だけどメロディには常に陰があり、ヒーローの悲哀を表現。ただ他のプロ作曲陣に比べるとメロディの単調さなど見劣りしてしまうかな…比べてもしょうがないですが。でも好き。

 

06.結構なお点前で ★★★☆

 DogP作詞作曲。和風テイストながらラウドパートもあったり細かなアレンジが秀逸で、可愛らしい歌詞も素晴らしい。ただサビは普通にポップになるのが少し惜しい、3連フレーズは気持ち良いけど。2番終わりの台詞?パートが可愛い。

 

07.YAKIMOCHI ★★★★

 浜野謙太作詞作曲の8thSg。ビックバンドジャズ風の可愛らしいポップス。演奏陣のいぶし銀なバッキングが気持ち良いね。ゆずぽんの「今しかないよー!」、ぐみてゃんの「もちもちー!」が可愛い。ようやくここで落ち着いた空気に。

 

08.ドリームタウン ★★

 みさこ作詞、増田武史作曲。上京した女の子の気持ちを描いた素朴なミディアム曲。アコギやタンバリンが染みる。優しいメロディで尖った部分はないけど暖まる楽曲。

 

09.秘密結社、ふたり。 ★★☆

 みさこ作詞、ムラマサヒロキ氏作曲。どことなくハロプロっぽさのあるシリアスなアイドル歌謡。シンセベースやサビ前のキメなんかもつんく感。つまり好き。ただボーカルが基本的に軽めなのでどうにも可愛くなってしまう。もうちょいコーラスワークも良ければなあ。

 

10.強気、Magic Moon Night~少女は大人の夢を見る~ ★★★

 ちゃんもも作詞、本田光史郎氏が作曲。これもハロプロ感、メタリックなギターが強いダンスナンバー。そこはかとなくセクシーな歌詞はつんくリスペクト、良い歌詞だ。ぐみてゃんの声がいちいち良いな。

 

11.ロマンティック♥テレパシー ★★★★

 こちらはぐみてゃん作詞、鈴木智貴作曲。繰り返される「あんたのせい」がインパクト強い。ミディアムなアイドル歌謡で、サビはキャッチーで爽やか。ギター、コーラスのアレンジが素晴らしい。女の子らしい可愛い歌詞は、初作詞とは思えないほど良くできてる。

 

12.すきっぱらだいす♡ ★★★☆

 みさこ作詞、村カワ基成作曲。久々のアップテンポで、食欲全開のコミカルな歌詞とメロディ。エロいちゃんももパート、急にヨーデルみたいになるみゆちぃパートが可愛い。ぐみてゃんのユルすぎる声も可愛い。ずるい。

 

13.ピンヒール ★★★★☆

 アカシックの理姫作詞、奥脇達也作曲。メロウなピアノのミディアム曲。泣けるコード進行とメロディ、泣ける歌詞、どれをとっても最高!失恋系の歌詞は女の子ならすげー共感できそうだし、男が読んでもすげえキュンとする。

 終盤がとにかく熱い。低音から盛り上がるちゃんもも、やるせない歌唱に胸を締め付けられる汐りん、慟哭のアカペラが超絶エモーショナルなみゆちぃ。最高過ぎる。特に日本青年館で生バンドで演奏された映像は、音源より何倍も声に気持ちが乗ってガチで泣いた。

 

14.YATTA! ★★★

 衝撃のはっぱ隊カバー、9thSg。もう笑う犬世代だし、なんならお笑い番組で今でもNo.1だと思ってるので原曲が大好きだし、このカバーも好き。すげえハッピーでバンもん!に合ってると思うよ。ただ子供っぽすぎて鼻に付く感もある。YouTubeで公開されてるPVも悲しいほど低評価が多い、カバーゆえに笑う犬世代の視聴者も興味本意で見てるから仕方ないんだけど。やっぱりこの曲は30~40代の垢抜けない(失礼)おっさんたちが歌うからこそってのはあると思うし。

 

15.エンド・レス ★★★

 みさこ作詞、ミナミトモヤ、KOJI oda作曲。「ショコラ・ラブ」のアンサーソングで、やはり切なさ香るアイドルポップス。瑞々さのあるサビと、ストレートな恋心を描く歌詞が可愛い。他の曲ほどの癖は強くないものの、シンプルにいい曲。

 

 

総評 [お気に入り度★★★☆/おすすめ度★★★★☆

 キャッチーでバラエティ豊かな極彩色のアルバム。中盤から後半はミディアム曲が多いけどそれぞれ違うキャラクター。僕が最も敬愛するHISASHI楽曲が1番陰薄いんじゃないかと思うほど、強力な作曲陣による濃ゆ~い曲が目白押し。

 歌唱力はまあ上手くはないけど下手でもないので、アイドルポップスとして嫌味なく聴ける。ドラムはプロレベルなので参加率は高いけど、ギターとベースは技術的に厳しく、本人演奏が目立っていないのが惜しい。ダンスとの両立もあり難しいところですが。

 

 しかし素晴らしい点が一つ、彼女たち自身も制作に深く関与していること。作曲者にも積極的に意見してより良い楽曲を目指したと語る通り、曲のポテンシャルと彼女たちの個性が超爆発。やっぱりね、個人的にバンドが大好きなのもあってただ歌ってパフォームするアイドルよりは何倍もいい。アイドルそのものは好きだけどさ、自分たちの意思が入った方が絶対にいいもの。

 

 これも彼女たちが語っていたけど、"ふかんぜん"と言いつつ当時最高の作品であることは間違いない。ボリューム満点で持ちうる魅力はほぼ見せていると思う、これ以上ないくらいに。ハロプロやAKBのような王道感でもなく、でんぱ組のような強烈さもないけど、ある種DIY的な手作り感もあって凄く好き。大物プロデューサーがついてるわけでもないから、活動スタンスも本当に一歩ずつ階段を上っていく感じがいいんだ。

 正直アイドルとしてはいい年齢で、大人だからこそ出来る自立した個人としての携わり方。もちろんドラマーとしてキャリアの長いみさこあっての部分もありますが、積み上げるプロセス一つ一つに意思を感じられるのがバンもん!の魅力。良い作品です。公式YouTubeにたくさんPVがあるのでまずはそこから触れてみてほしい。

 

ベストソング / 青春カラダダダッシュ!