水浸しの数え歌 / 蜉蝣 | 夕暮れビジュアル鑑賞会

夕暮れビジュアル鑑賞会

V系を中心にロック、アイドル等々の、音楽レビュー処

 どうもー。今回は、前回のDEZERTのレビューで連呼してた蜉蝣です。2000年代以降、一つのジャンルを作ったというか、蜉蝣というジャンルを作ったともいえるバンド。セールス的にめちゃくちゃ成功したというわけではないですけど、シーンに大きく影響を与えました。

 今回レビューするのは、蜉蝣でも初期~中期のシングル。「ゆびきり」はかなり有名ですね。ラストシングルがTVでやってて好きになったのですが、その後YouTubeで見て一気に心つかまれたのがこの曲。

 

 

 

『水浸しの数え歌』

 

01.ゆびきり ★★★★

 疾走感あるポップロック。とイントロだけ聴くと思いますが、歌が入ればテンポダウンして情念めいたメロディに。続くBメロはゆったりと優しく切ない。サビではイントロの流れを汲むキャッチーで流れるようなメロディが最高。これがまた素晴らしい歌詞も相まって超せつない!90年代のソフヴィ系の匂いもしますね。コロコロとテンポや表情が変わり忙しないけれど、一貫して切なくメロディアス。蜉蝣=ハードでエログロというイメージが一番に来るけど、それ以上に歌モノがグッとくるバンドなんですよね。

 

 

02.企画モノ ★★

 かなりキマッてるハードな暴れ曲。ほぼ早口台詞と発狂パートのみという怪曲。メロディパートもあるにはあるけどお決まりのJ-POP展開ではなく、シャブ漬けAV女優がひたすら狂気に向かうだけ。このキレっぷりは好きなんですけど、最後に超絶切ないメロディが来たらもっと好きになっちゃいそうなんですけどねー。激しいだけなのが残念。

 

 

03.R指定 ★★☆

 1stシングルからの再録。これぞ蜉蝣というか、ツタツタと暴れまわり狂気的なメロディと発狂シャウトで押し通す楽曲。しかしサビでは怪しくも切ないメロディが顔を出す。強い衝動性と確かなメロディが融合しかなりのインパクトを残す。ギターもヘンテコな音使いが面白い。

 

 

総評 [お気に入り度★★  おすすめ度★★☆

 切なくメロディアスな名曲と、キチガイ暴走ナンバー2曲という、かなり極端な1枚。蜉蝣ってどんなバンド?と聴かれたときに思い浮かぶイメージのままというか。まさにカゲロウのごとく短く儚い命を燃やし尽くすように、1曲1曲が刹那的な衝動に満ちています。

 初期~中期の蜉蝣にしかないアングラさは、今なお後発バンドに影響を与え続けている。ハードコアとはいかないまでも、激しくでパンキッシュに疾走しつつ猟奇的な楽曲たち。初期のキレた絶叫を一度は聴いてみてほしいところ。まあ個人的には後期のストレートなバンドサウンドとメロディのほうが好みなんですけども。

 解散前のベスト盤が非常に網羅性が高いので結局それ1枚でおいしいところは全部聴けちゃうんですけどね。

 

 解散後ボーカルの大佑が他界…再結成はもう叶わぬ夢となってしまいました。蜉蝣はけっこう好みとそうでない曲の差が激しいですが、大人になって聴くと激しい曲も当時分からなかった良さが見えてきますね。それだけに余計に残念。

 

ベストソング / ゆびきり