どうもー。日曜に友人の結婚式があって、その移動中ずっとDEZERTの新作を聴いていたので(DEZERTも結婚式も最高でした)、今回はDEZERTです。
破竹の勢いで人気が出たバンドで、まだギタリストが変わる前の1stアルバム。
※投稿後気付きましたがAmazon Primeでも聴くことができます。しかも最新作以外全部きけちゃうーーーーーーー!!!!神やーーーーー!!!!!!
タイトルなし
2,970円
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『タイトルなし』
01.—- ★☆
超重低音のベースが唸るブラックメタル的な楽曲で幕開け。歌詞もなく呪詛のような呻きのみが1分半。とりあえずベースの音がかっこよすぎる。
02.「嘔吐」 ★☆
前曲をテンポアップし、グロウルで攻める楽曲。と思いきやすぐ元のテンポに戻る展開。合わせて3分程度だから普通に1曲にしたらいいやん??まあSE的な印象しか残らず。
03.「殺意」 ★★★★
タイトルそのまま「殺意」を連呼するハードコア楽曲。サビでは途端に大仰なメロディが出てくるあたり、一昔前のV系で定番化した展開ですけど、実にアグレッシブで気持ちいい。何故かすごく好きでよくカラオケで歌ってます(笑)
04.infection ★★★☆
リズミカルな裏打ちとメタルコアリフを合わせた、ハードながらメロディアスな楽曲。グロウルを織り交ぜながらもサビには浮遊感があって聴きやすい。サビのヴォイヴォイ言ってるとこはいらないかなー。9割がたボーカルの千秋作曲ですけど、これはベースのSaz(今だとSacchan)作曲。
05.胃潰瘍とルソーの錯覚 ★★★★★
跳ねたノリというか、休符を活かした一風変わったリフが個性的。歌詞も猟奇的でグロ要素もあるんですが、Bメロの早口パートが超クセになる!!!遅くしたらほんわかポップに聞こえてしまいそうな可愛らしいメロディが逆にグロい。サビはけだるさと切なさを強めこれも良メロ。「殺意」と共に今作のリード曲、イカれ具合が最高に好き。
06.「擬死」 ★★☆
クラシカルで怪しいギターフレーズと陰鬱なメロディが支配するミディアム曲、ドゥームメタルといっていいのかな。虐待がテーマっぽいのかな?唐突に展開する発狂パートが大変かっこいいですね、デスボイスの声質が良い。メロディ自体は聴きやすいけど、ずっしりと重たく軽くは聴けない。長いし。
07.さぁミルクを飲みましょう。 ★★★
哀愁感あるギターフレーズと無機質な打ち込みリズムが独特の雰囲気。周りのイメージとのギャップからくる不満をぶちまける歌詞と、それに合わせたナイーブな音作りがいい感じ。メロディも終始けだるい感じで良い。これも5分半の間大きくは展開せずいささか冗長に超えるのが勿体ない。
この曲に限った話じゃないんですけど、雰囲気がDirの「Withering to death.」に入ってそう。パクリ云々じゃなく、音使いとか。
08.「軽蔑」 ★★★★
ストレートな邦ロック系の楽曲。イマドキ(笑)の普通のバンドがやってても全然おかしくないというか、今のDEZERTの楽曲とも近い。今作でも随一のメロディアスさで、ファンに向けた偽りのないメッセージを乗せて、気持ちよく疾走する。とってつけたようなキャッチーさじゃなくて、しなやかでDEZERTらしいナイーブさも併せ持つところがいいですね。
09.「doze.」 ★★☆
「殺意」系のハードコア楽曲。怪しいメロディに早口台詞パートも登場しぐっちゃぐちゃな展開が蜉蝣とかを思わせる。冒頭のデスボイスのところ、歌詞がひらがなでB-DASHかよと(笑)。最後の最後激しく疾走しながらさらにテンポが上がっていくとこは面白い。
10.脳姦少年 ★★★☆
変態的なリフが実にV系らしい疾走感ある楽曲。これも蜉蝣っぽいかもしれない、猟奇的で危なっかしくも切なく疾走する感じが。一癖も二癖もある展開とメロディだけど、サビはキャッチーで切ない。ただそれも含めて精神的なグロさがあるというか。もはやお約束的なDEZERTお得意の展開のため結構飽きやすい。
11.「教育」 ★★★☆
歌ありとしてはラストの曲。これも前曲と同じく変態的フレーズとヘヴィリフを活かしつつノリがいい。ぐちゃっとした展開をしつつ、歌謡的とも言えそうなメロディが聴きやすい。「嫌い」を連呼しつつナイーブな歌詞、サビではまたまた切なく疾走。面白くて好きなんですけど、ちょっと似たような展開の楽曲が多くてこれも飽きちゃう。
12.-26時の冷蔵庫-
ピアノと雨音のみのインスト。ピアノはSaZ本人が弾いているとのこと。なのでテクニック的にはアレなんですけど、逆に音の濁りとかブレとかが生々しくていいと思う。後半のメロディが美しい。でもこのアルバムのラストにはあんまり合わないんじゃないかなー。「擬死」の前後とか合いそう。
総評 [お気に入り度★★★ / おすすめ度 ★★★]
数枚のシングルとミニアルバムを経ての、1stフルアルバム。言ってしまえばDir en greyを元に、ムックの哀愁感や蜉蝣の猟奇性を合わせたような音楽性なんですけど、メロディがどれもキャッチーなんですよね。となるとガゼットが浮かびますけど(笑)、こちらは激しくカオティックで、泥臭い荒々しさがあって、ドロドロに重苦しくて、聴きやすいという。
個人的にはSaZのベースの音がとても好み。だるだるの5弦ベースをベキベキに唸らせるのがツボ。上手いし。ギターもメタルコア的なよくある音作りが主ですが、乾いた響きの哀愁フレーズもさらっと入れてくるのが良いセンス(今作で初代ギタリストは脱退)。ドラムもキレと繊細さも合わせ持ち守備範囲広くて上手い。
千秋のボーカルもちょっと鼻にかかった癖がフックになってて良い!声質だけでいうとロキノン系バンドっぽい。ここもまた埋もれずに人気が出た要素なのかも。
2010年代V系の中で初めてがっつりハマってしまったバンド。ベタなラウド要素もありながら、「胃潰瘍~」の気味の悪いポップや、「軽蔑」のストレートなキャッチーさのある曲こそ個性的で輝いてる。ちょっと飽きやすいですけどね。
次作の2ndアルバムも同じ方向性で、純粋にクオリティアップしておりかなり好き。現在はまた方向性を一転二転しながら成長し続けるバンド。1stからメロディセンスは既に証明済み、王道が好きだけど、ちょっとハズしたフックある作品を求めてる人にはぜひおすすめしたい作品。
ベストソング / 胃潰瘍とルソーの錯覚