SPEED POP / GLAY | 夕暮れビジュアル鑑賞会

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 どうもー。先日参戦したメットライフドームでの25周年ライブの興奮冷めやらぬ…GLAYロスのさ中ということで、レビューもGLAYで行こうと思います。レポもまた週末にでも。

 

 

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 前回に引き続き、95年のGLAYのメジャー1stアルバムとなった『SPEED POP』のレビューです。このアルバムは小学校か中学校か…ティーンエイジャーの時に聴いたのは間違いなく、どの曲もそらで歌えてしまうほど聴いてましたねー。特段好きなアルバムということでもないので、この機会に改めて向き合ってみようかと。

 

 あと、このアルバムのブックレット上では、AKIRAに続く正式なドラマーとしてNOBUMASAがクレジットされており、写真も載っているのですが(PVも)、なんと彼がドラムを録音した楽曲はひとつもありません(!)。この時期のことは流石に詳しくわからないのですが…。ただ何かの書籍で、メンバー仲は良好にも関わらず、事務所の意向によりすぐに脱退の運びとなったとか。

 

 

SPEED POP』

 

01.SPEED POP (introduction)

 GLAYの楽曲の中でインスト曲はかなり珍しいうえに、なんとプロデューサーの佐久間正英氏(以降"佐久間さん"(笑))が作曲を担当。メンバーは登場せず、リズミックなドラムとシンセに、低音のラップが乗り1分ほどで終わります。ラップはTERUっぽいですが現物手元にないのでちょっとわからない。まあ正直GLAY色は皆無なんであっても無くても印象は変わりないかな…。

 

 

02.HAPPY SWING ★★★

 GLAYのファンクラブ名にもなっている、華やかでダンサブルなロックナンバー。超有名ドラマーそうる透氏が参加しており、勢いがありつつもテクニカル、この頃のJIROはメロディアスなベースを得意としており、リズム隊の躍動感は抜群。軽やかなギターと管楽器が華やかに彩り、TERUもポップに弾けてる。いわゆるV系でありながらこのポップセンスはさすがだし、佐久間さんとタッグを組んだからこそのメジャー感。

 

 

03.彼女の"Modern..." ★★☆

 前作にも収録され、3rdシングルとしてTAKUROが勝負に出た楽曲。ただノンタイアップだっためGLAYのシングルでは最低の売上だとか(笑)。ドラムは元DEAD ENDの湊雅史氏、ダイナミックなプレイがこの曲の勢いをさらに加速させる。当たり前ながらインディーズ版よりも洗礼されて尚且つ、爆発力はさらにアップ。

 

 

04.ずっと2人で… ★★☆

 ピアノとストリングスが荘厳な雰囲気を醸し出すロックバラード。TERUの姉の結婚式で披露するために作られた、高校生から存在する曲。アルバムが初出で5thシングルとしても発表され、結婚式で流したい曲として流行っていたそうですね。7分弱と長いのがちょっとネックですが、楽器隊の丁寧なプレイとドラマチックな曲展開、TERUの熱い歌唱に胸がじんと熱くなり、未だ人気があるのも頷ける。HISASHIのギターソロも速弾きを交えつつ丁寧に音を紡ぐ。

 

 

05.LOVE SLAVE ★★

 この曲もかなり古くから演奏されており、今作で初CD化。V系寄りというか、ファンク要素がありつつ妖しさや激しさを前面に出した、テンポは遅いながらもハードなナンバー。掛け合いパートが多くライブの盛り上がりが想像できる分、CDはちょっと物足りないかな。

 アンソロジー版の特典としてデモテープ音源が収録されていますが、アレンジが結構違うんですよね。面白いのが、デビュー後のライブでもさらにアレンジが違って演奏されることが多く、未だ完成してないんじゃないかと(笑)

 

 

06.REGRET ★★★★

 4thシングルのカップリング、メロディアスなイントロが印象的なポップロック。ポップながら、やるせない歌詞に合わせて切なさを宿すメロディが魅力。アコギと跳ねた演奏が軽やかで聴きやすく、サビのフックあるメロディがとても良い。ライブで全く演奏されないのが悲しい。

 何かで、この曲はAKIRAについて歌っていたと読んだ記憶が。AKIRAも事務所の意向で解雇のような形だったのですよね。そう思って聞くと、失恋よりももっと切ないよ…。

 

 

07.INNOCENCE ★★☆

 「彼女の~」のカップリング、そよそよと草木を揺らす風のような、ゆったりと優しいミディアム曲。あくまでシンプルなバンドの音を基調としていながら、低めのキーである種淡々と紡がれるメロディが切なさを引き立てる。ラスサビではコーラスが重なり盛り上がる。長いのとシンプルすぎて好みではないですが、暖かいメロディに心洗われる。

 割と人気のある曲で、99年の20万人ライブが印象的。それ以外ではあんまり映像には残っていないんですけどね。

 

 

08.Freeze My Love ★★

 4thシングル、GLAY流の正統派ハードロック。とはいえアコギやシンセも盛り込まれタイトル通り冷たさも醸し出す。長尺のギターソロもシンプルながら大胆な場面展開とツインリードが華やかに聴かせてくれる。テンポが遅くメロディもラスサビを除いてそこまで起伏が無いのでちょっと面白みには欠けてしまうなあ。

 

 

09.真夏の扉 ★★☆

 前作から再録、2ndシングルとしても発表され、プロデューサーはあの土屋昌巳氏。録音時期の関係から(デビュー前)、ドラムはAKIRAによるもの。テンポが遅くなっているものの、やはり洗練されたアレンジへと生まれ変わっています。サビの浮遊感が強まりメリハリがある。これはインディーズ版のほうが好きだなあ。

 

 

10.Life~遠い空の下で~ ★★★★

 「真夏の扉」のカップリング曲、同じく土屋昌巳氏とAKIRAが参加。テケテケとしたHISASHIと浮遊感あるTAKUROのギターが印象的で、アコギの音も美しい。本人も音の面で気に入ってるとのこと。非常にゆったりとしたメロディですが、サビでは穏やかながら開放的、タイトル通り大空と大地を感じさせる。淡々としたメロディが好み、ラストの盛り上がりも気持ちがいい。

 後に発売されるB面ベストでは発売順に並べられていることから1曲目に置かれており、どちらかというと1曲目のイメージのほうが強い。今作も1曲目でも良かった気がしますし。

 

 

11.JUNK ART ★★☆

 この曲もデビュー前から存在しており、妖しくパンキッシュな楽曲ですが佐久間さんのアレンジによって非常に聴きやすく、オルガンが加わったりと若干大人っぽい仕上がりに。とはいえ早口でまくし立てるメロディと歌詞が刺々しく、サビなんかはニューウェイブの匂いもして新鮮。

 

 

12.RAIN ★★☆

 YOSHIKIプロデュースとして有名なメジャーデビューシングル。原曲こそ古くからあったものの、歌詞はYOSHIKIが担当。シンフォニックなシンセと、TAKUROが直談判し実現したYOSHIKI本人によるピアノが美しい。雨を思わせる優しくも切ないメロディが非常に聴きやすいものの、インディーズ版にはなかったバンド演奏がちょっと大人しめで寂しい。しかしこの曲も長げえなあ…(笑)。

 デビュー20周年の東京ドームで、ついに初めてYOSHIKIと共にこの曲を披露。映像でしか見てませんし、この曲への思い入れも特にないんですが、やっぱり感動しましたね。夢のような場面がそこにありました。超特大なサプライズにファンの悲鳴も半端なかったです。

 

 

~以降『SPEED POP Anthology』のみ収録~

 

13.GONE WITH THE WIND ★★★

 インディーズ時代からある曲で、「ずっと2人で…」と両A面として発表されたものの、現在までカップリング扱いされている不遇な曲(笑)。爽やかなポップロックで、珍しくメンバー全員でのコーラスワークが楽しめる。アコギのフレーズが何気に良くて、さらっとした聴きごったえの中に凝ったアレンジが光る楽曲。

 

 

14.ACID HEAD ★★

 最近はそうでもないですが、ライブでの超超定番のロックンロールナンバー、こちらは正真正銘「ずっと2人で…」のカップリング曲。音源はライブ風ですが実はスタジオ録音。ライブ版に比べるとテンポも遅く音も軽めで、どうしても物足りない。その辺は2009年の再録版で補完されていますが。

 とはいえライブのノリが容易に想像できるアッパーチューン、中学生のころテープに録音して車の中でよく聴いてました(笑)。「ACID HEAD!」を繰り返すサビは嫌でも耳に残る。

 

 

総評 [お気に入り度★★☆  おすすめ度 ★★

 

 前作と比べると、格段に音質とアレンジのクオリティが上がっており聴きやすい。『SPEED POP』の名の通り、ハードなものからポップなものまでバラエティ豊か。

 ただ総じて好みの楽曲はあまり無く、2000年以降のGLAYが好きなので評価は低いですけど。全曲TAKURO作詞作曲で、期待を裏切らないGLAYメロディなんだけど、各メンバーのカラーがまだまだ出し切れていない頃。全体的に落ち着いている印象、今と比べるとね。ふつうのバンドなら逆なんだけど(笑)。既にGLAYの核となる部分が完成していているのが面白い。

 現在でもライブで定番な曲も収録されているので、人気曲と同時に当時の香りも是非楽しんでみてほしい。

 以上(笑)。

 

 アンソロジー版についてですが、元素材は殆ど変わりないものの非常に生々しい音像にリミックスされています。ボーカルが前面に出ていたものが、特にベースを中心に楽器隊の音圧が引き上げられた印象。逆にボーカルはエコー感が強まり引っ込み気味、全体の音の強弱が大きくなっていますね。

 元々コンプ感(各楽器の音量を均一にする処理)が強く整ったミックスがされた音源のため、逆に音質が悪くなったと感じる人もいるかも。

 特典映像にしても、当時の関係者+TAKUROのインタビューのみであまり面白いものでもない。華々しくデビューしたもののメジャーの荒波に揉まれた苦難の時期で、当時の事務所もブラック体質の気があったようで、もしかしたらあまりメンバーも語りたくなかったのかもしれない。

 ただ、Disc2はデモテープ音源が多く収録されており、資料としては非常に有用なものですので、コアなファンには嬉しい。

 

ベストソング / REGRET