REAL ME -51ページ目

ガラスという物体は

時々僕は思うんだ

僕らは生まれるずっと前
一つの命分け合って生きていたんじゃないかって



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今日はね、

とても重大な出来事があったの。
何年続くかも分からない人生の中で、間違いなく忘れることが出来ないことが起こった。


今日はね、消防署で救急車同乗実習だった。
緊急出動要請があったら、救急車両で救急隊と一緒に出動するっていう。
滅多にない機会だし、前に行ってた子たちから、すごくよかったって感想を聞いてたから少し楽しみにしてた。
今日の経験から、救急救命に興味がわいて、そっち方面に進むかもしれないって。



お昼前に出動要請の電話。
心臓が速くなった。

「最悪だな」
横にいた救急隊の一人が呟いた。
でも、私には何が最悪なのか全く検討もつかなかった。

白衣を着て、救急のキャップを被った。
けたたましいサイレンの合間に、心臓が血液を拍出する音が耳に異様に響いた。


到着すると、女の人が道に棒立ちしていた。
導かれるように家に入る。
玄関から左に続く廊下を曲がってすぐ、

一人の人間が、天井からぶら下がっていた。


一瞬何が起きているのか、理解できなかった。
身体が硬直して、呼吸を忘れるくらい、時間が止まったと錯覚するくらい、私はその不自然に揺れる物体を見つめていた。

「まだ温かいよ、ロープ切って」

隊員の声で我に返った。
隣では家族が小刻みに震えている。
そしてもう一人、同じ立場で私より年下の子が呆然と立っていた。
強く手を握られた。私は、大丈夫と言う代わりに、強く手を握り返した。


ほんの数分の出来事だった。
心肺停止状態の彼に、心マと人工呼吸を繰り返しながら病院へ搬送した。
首には痛々しい縄の痕がくっきりと刻まれていた。

ほんの数分だった。
でもね、私は本当に様々なことを感じて、様々なことを考えた。


そして彼の見ていたであろう世界のことを考えた。

そして彼女のことを考えた。
死、というものがまた大きく現実感を持った。
私は自分の右腹部を指で軽くなぞった。何度も、何度も。
腹部にいる蛇と菊の花にじりじりと痛みが蘇っている気がした。



そして、目の前で肋骨を軋ませながら、ただ胸を上下させる彼をひたすら見つめた。












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