REAL ME -243ページ目



あのとき

火葬場で最期のお別れをするとき
心は無の状態になっていた

顔はただ眠っているようで、触れると氷のように冷たかった


彼はたくさんの白い花に包まれていた



あの女は歩くことも出来ずに車椅子に完全に身を委ねていた

涙は既に枯れてしまっている様子だった


女は悲しみの絶頂を象徴するような姿だった

それでも子供ながらに私は彼女から悲しみを感じることが出来なかった

感じられるのは絶望感のみだった


これからどうやって生活していけばいいの?

彼女は目の奥でそう言っていた


悲しみよりも先に自らの生活を按じて絶望のどん底にいる彼女を、心から憎いと感じた




彼はお前のせいで死んだんだよ
目の前でそう叫びたかった




彼は眠るように死んでいった
大切な人達をたくさん残したまま
未練を残したまま

彼を本当に想っていた人達にお別れの言葉も言えないまま



私は彼女と彼女の周りの人間を心底憎んでいる

彼女の母親が葬儀のときに彼の棺の前で、何の裏もない笑顔を浮かべて写真を撮っていたことも一生忘れない

その笑顔を見て、彼を本当に想っていた人達の気持ちを思って、いたたまれない気持ちになったことも一生忘れない



対照的


喩えるなら

燃え上がる炎ととめどなく流れる水である
世界中を照らす光とそのどこか一部を優しく包む影である

そして平行な二本の線でもある


交わり合うことは不可能だ

どちらかが存在すればもう一方は消滅してしまうかもしれないし
もしくは永遠に互いの存在を認め合うことが出来ないかもしれない



いくら願ってみても互いの性質は変えることが出来ない


それも致し方ないことだ



男とか女とか