「競馬中継にて。幻の口取り・・」 | 現役スポーツアナウンサーから学ぶ、スポーツ実況に特化したアナウンス講座! 

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野球・サッカーの実況歴は各1000試合以上、競馬実況数は15000レースを超えています。数多くのシビアな現場を経験してきた現役アナが「喋るスキル」を通して、貴方の才能をアッという間にパワーアップします!

土曜日の10レース、多くの中継スタッフが、一頭の馬を応援していました。

実況した僕も、変に力が入ってしまいました。


12:35に中継がスタートしますが、その10分程前に、ある馬主さんが放送席に立ち寄ってくれました。

かなりの馬を所有している方なので、競馬ファンならご存知だと思います。


しばらく雑談していたところ、ある音声担当の若手スタッフを呼んであげようと言う話になりました。

というのも、彼は、その馬主さんの馬の応援馬券を買い続けているのです。

直に、本当の馬主さんに会えるなんて滅多にないし、彼も感激するだろう、そんな感じでした。


呼ばれた彼は、喜びを噛み締めるように馬主さんの横に立っていましたが、おもむろにファイルを取り出しました。


これには、他のスタッフも、そして誰より馬主さんが驚きました!

何と、その馬主さんの所有馬の応援馬券が、綺麗にファイルしてあるのです。

外れ馬券も、そして当たり馬券はコピーして。


今度は馬主さんが感激する番です。(笑)


そこからは、彼一色の雰囲気。


記念撮影にも応じてもらい、名刺までいただき、おまけに凄いお誘いが!


「口取りに来なさい。」


「口取り」とは、馬主さんが勝った馬と記念撮影すること。

馬主さん、もしくは、その関係者しかできないこと、僕も経験ありません。


しかも、10レースに有力馬がいるのです。


それに勝ったら、口取りをやらせてくれる、と約束して馬主さんは放送席を後にしました。

馬主さん、ファイルに余程、感激したのでしょうね!


このやり取りを観たスタッフは大興奮!


10レース、みんなで応援して、彼に口取りを経験させてあげよう、というムードになりました。

彼は技術スタッフのためスーツではないので、担当が終わったアナウンサーがネクタイとジャケットを貸すことに。


ハラハラ、ドキドキの10レースでしたが、当の馬は残念ながら伸びきれず、人気薄の関東馬が圧勝しました・・・。

残念ながら、生涯最初で最後であろう彼の「口取り」は幻に終わりました・・・。


しかし、応援するならファイリングするくらい徹底してやる。

そうすれば、人を感動させることができると学びました。


あのファイルの登場で、身内だけでなく、初対面の馬主さんまでが感激しました。

「応援しています」と言われることは多いでしょうが、それを形で表現され、しかも何十枚もファイルされたものを見たのは初めてだと思います。

その喜び度合いは、お誘い内容で、よく理解できます。

「徹底する」ことのパワーを思い知らされた土曜日でした。



日曜日も競馬中継です。


12:35~KBS京都他

「競馬ワンダーランド」9レース~実況担当







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