92話 素直で率直な思い | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side理菜~


「隆弘は私の彼氏です」


平然と言ったその言葉。


そう聞こえるように言った言葉は、私の心を締め付ける。


それは罪悪感で。


裕哉さんへの・・・。


「そっか」


その小さな声で呟いた甘い声は悲しさで満ち溢れていた。


「はい」


心が痛む。


自分のせいで・・・自分のせいで・・・。


この人が苦しんでいる。


私が選ばなかったばかりに。


好きな人を決めきらなかったばっかりに・・・。


ズキン・・・ズキン・・・。


私の心はもうボロボロだった。


廃れて・・・壊れそう・・・。


だけど、次は隆弘の番。


私に疑問を投げかける。


「ねぇ・・・理菜」


「な・・・に・・・?」


彼から投げかけられた疑問はごく自然で当たり前のモノ。


彼氏なら当然思うべきもの。


私と裕哉さんの関係だ・・・。


私が言葉に詰まっていると、裕哉さんが話を続けた。


それは挑発のような・・・少し違うような・・・そんなもの。


彼らのやり取りは私には声しか届かない。


二人がどんな表情で話しているのか。


何もわからない・・・。


「じゃあ、恋人だったら?」


試すように裕哉さんは聞いた。


「理菜に決めてもらう。俺を取るか裕哉さんを取るか」


そうなんだよね・・・。


私が決めるしかない。


これからの未来をどうするか。


裕哉さんを取るのか、隆弘を取るのか。


それとも・・・。


「二股は咎めないの?」


「咎めますよ。ただ別れようとは思わない」


普通の人とは違う考え。


普通の人なら浮気が発覚したら即座に別れたりするものだから・・・。


「なんで?」


「俺は昔から理菜しか見てなかったから」


・・・初めて聞いた。


彼の本気の想いを。


昔から想っていてくれたってことを。


「隆弘・・・」


「理菜。俺の初恋は君だ。俺には理菜しか考えられない」


ドア越しの言葉。


だけど、その想いの強さは私の胸に響いた。


「ありがと・・・」


「ねぇ・・・理菜さん。僕のこと忘れてない?」


裕哉さんの甘い声が苦笑交じりに言った。


「そんなことないですよ」


「そう?あのさ、僕からも一ついいですか?」


「・・・はい」


彼はなにを言うのだろうか。


何となくわかる。


きっと彼も嬉しいことを言ってくれるのだろう・・・。


そして、私はどちらかを選ぶ・・・。


なんて・・・そんな甘い期待は簡単に打ち崩された。


「理菜さん・・・。僕と理菜さんはやっぱ会えないね」


「え・・・」


「隆弘君の方がきっと理菜を幸せにできると思う」


優しいこの人はきっと身を引こうとしているのか・・・な?


ただ少なくともさっきまでとは違う。


強引さは一切ない。


でも、それが嫌だ。


勝手に自己解決して。


終わらせようとするこの人が。


そして、それに対して何も言わない隆弘が。


「だから・・・」


「なんで・・・?」


裕哉さんが言葉を続けて何かを言おうとしたのを私が割り込む。


それは、滲んだ思い。


半端に動かされている心の叫び。


「え・・・?」


「なんで自分で勝手に解決しようとするんですか?私の気持ちは無視ですか?」


「そうじゃなくて・・・僕は理菜さんのためを思って・・・」


「嘘だ!!」


「・・・」


彼はなにも言葉を返してこない。


「私は・・・私は・・・二人とも好きなんだ・・・」


「理菜・・・」


「理菜さん・・・」


大好きな二人の声が混じった。


私は・・・今この瞬間。


最悪なことを二人の目の前で言った・・・。




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