2009年春の時点で私達は24歳と33歳となっていた。
世間から見ればいつ結婚してもおかしくはない年齢。
この時、彼は冗談のつもりかも知れないが事あるごとに結婚したい結婚したいと言うようになっていた。
私の方はと言うと、遠距離恋愛で中々会えないと言うのもあって結婚出来るものならしたいな・・・と、思っていた。
しかし二人だけの意思でどうにかなるものじゃないのが結婚。
結婚イコール相手の親族と親族になるという事。
これを無視する事は絶対に出来ない。
私は憂鬱になった。
何故なら、母とは喋るのだが父とは本当に用がある時以外喋らなくなっていた。
結婚するにはこの父を攻略せねばならない。
何故、父と喋らなくなったのか・・・。
話すと長くなるし、父の名誉を傷付ける事になるし、特定されると厄介なので割愛させて貰うが・・・私の実家では家庭崩壊寸前の出来事があって、ソレ以来私は父とは心の距離を置いていた訳なのだ。
小さい頃、あんなに可愛がって貰っていたのに父に向かって後ろ足で砂をかけるような真似をしてしまっていた事に今でも心が痛む・・・。
今は離れて暮らしているので顔を合わせていないのだが、今後の人生でも表面では普通に話していても私達の間には埋められない溝があるだろう・・・。
悲しい事だが、どうしようもない。
あれは忘れもしない2009年5月4日。
私が彼の元に行ったのは深夜近くだった。
お腹が空いたので彼のアパートのすぐ近くにあるコンビニで食料を調達しようと二人で出向いた。
コンビニというのは客を立ち止まらせる為に入ってすぐの所に必ず雑誌コーナーを置くとテレビで紹介されていたのを観た事がある私はまんまとコンビニの策略に引っかかってしまった。
他の雑誌とは明らかに毛色の違う雑誌。
ゼクシィ
私はこの時、ゼクシィが放つ魔法の虜になってしまったかのように夢中で雑誌を読んでいた。
その時、彼が私の隣にやって来た。
「何見てるの?」
「ゼクシィ」
彼の顔色がパアっと明るくなった。
「買っちゃう?」
「うん・・・」
お買い上げ。
家に帰り、二人で読んでみた。
こういうのに疎い私は式場の見学が出来るというのを初めて知った。
「色んな式場があるんだね」
「そうだよ。値段もピンきりだしね。れなちゃんはどんな所で式挙げたいの?」
「う~ん・・・和風はやだ。鬘被りたくないし。あと交通の便が便利な所とご飯が美味しい所が良い」
「・・・凄い現実的だね」
「だってそうじゃない?結局印象に残るのってご飯の味じゃない?マズイ物出されてみ?なんかショックじゃない?」
「ま、まあそうだけど・・・」
「あと私はお色直しとか3回も4回もやるような脳内お花畑な結婚式は絶対したくない。はっきり言って結婚式って盛大なコスプレショーじゃん。芸能人ならともかく一般人の女のコスプレなんて誰が見たいよ。そんなんに金かけるんなら時間をかけて出席してくれるゲストの為にしっかりお金かけたいね。という事で料理の評判が良い所が絶対条件」
「れなちゃん・・・ほんとにそれで良いの?普通の女の子はドレスをいっぱい着たいものじゃないの?」
「全然。あんなん疲れるだけだし時間と金の無駄だよ。付き合わされる方は迷惑だよ」
可愛げのカの字も無い女である。
でも本当にそうである。
友人がある結婚式に出席したら、なんとお色直しが4回もあって物凄くうんざりしたと語っていた。
「だってさー・・・着替える為にしょっちゅう移動してさ、ひな壇に全然居ないんだよ。しかも凄く時間かけてたから披露宴だけでも4時間位あったよ。流石に疲れるわ・・・」
友人の話を聞いて絶対やめておこうと心に誓ったのである。
一生に一度だからと言うけど、そんなもん写真でやれって話だ。
百聞は一見に如かず。
翌日、何軒か式場見学に行ってみようと私達は決めた。