雀報恩の事-6 | コロリンの御伽草子-2

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宇治拾遺物語 巻三 
雀報恩の事-6

近江には、ご存知「舌切り雀」の民話があります。
その元になった御伽草子があります。「すゝめの夕かほ」です。
更に、その元になったのは、「宇治拾遺物語・雀報恩の事」です。
「舌切り雀」の元になったお話・6回目を、お楽しみください。

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 (・・・人にもくはせす 我もくはす 子ともか)
いふやう 隣の女房は 里となりの人にもくは(喰)せ 我もくひ
なとこそせしか これはまして 三か種なり 我も人にも く
はせらるへきなりといへは さもと思て ちかき隣の人にもくは
せ 我も子ともにも もろともにくはせんとて おほらかに にて
くふに にかき(にがき)事 物にもにす きわたなとのやうにて 心ちまと
ふ くひ(喰)とくひたる人/\も 子ともゝ我も 物をつきて まとふ程に隣
の人共も みな心ちをそん(損)して き(来)あつまりて こはいかなる物を
くはせつるそ あなおそろし 露計(ばかり) けふんの口に より(寄)たるものを
物をつきまと(惑)ひあいて し(死)ぬへくこそあれ と 腹たちて いひせさ
めんと思てきたれは ぬしの女をはしめて 子供もみな 物おほえす
つきちらしてふせ(臥)りあひたり いふかひなくて とも帰ぬ 二三
日も過ぬれは たれ/\も心ち なを(治)りたり 女おもふやう み
な米にならんとしける物を いそきてくひたれは かくあやしかりけるな


おほらか=大らか・多らか、分量が多いさま、たくさん→ゆったりして、こせこせしないさま
きわた=きわだ、黄蘗、樹皮を漢方で黄柏(おうばく)といい、苦味があり健胃薬に用いる。
けふんの口=検分の口

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