御伽草子・よこ笛艸帋
(・・・むかしの かたちは失(うせ))はてゝ。むなしき しがいを とりいだし。なくよりほかの事はなし。さても けさ。わうじやうゐんにて。しはのあみとを へだてつ。此人は そと。われはうち にて もだえこがれし ありさまを。いまの すがたにくらぶれば。物のかずにて かずならず。あだなるも つれなきも。いのち うきに かぎらぬ ならひかや。いかなる くわこのいんぐわにて。かゝる思ひを するやらん。たきぐち あまりの かなしさ
に。ひざのうへに かきのせて。むざんの ものゝありさまや。かくあるへきと しりたらは。などかはみもし 見えざらん さこそはくさのかげにて。よしうらみとも おもふなよ。わづかの夢の世に。たれか ながらへはつべきそ。ことさら なかにも わかきが さきだつ あはれさよ。又かやうにならせ給ふも。このよならぬ 因ぐわぞと おぼしめし。今こそうらみのふちに しづむとも。
わうじやうゐん=往生院
しはのあみと=柴の網戸
「恨みとも思うなよ」って、
怨んで出て来てくれ~
因果と片付けてしまう、
歯がゆさを感じるのは、
現代人の合理性なのかな?
コロリン師匠