タイトル 白蛇2 青蛇興起
公開年 |
2021年 |
監督 |
ウォン・カホン |
脚本 |
ダーマオ |
制作国 |
中国 |
声優
青(セイ)(タン・シャオシー)
白(ハク)(張哲)
仮面の青年(張福正)
宣(セン)(ヤン・ティエンシャ)
法海(ソン・シュチェン)
宝青坊の主(鄭小浦)
以前紹介させていただいた「白蛇:縁起」の時に、「続編はあるがNetflix独占公開だ」と書いていたが、この度Netflixに入ったことでようやく見る事が出来た。このややこしい公開形態になったのは、中国では2021年7月23日に劇場公開されたのちに、中国以外では劇場公開されず12月1日より、米国のNetflixで配信されたことが原因で、色々と大人の事情が垣間見えて興味深いところだ。ちなみにNetflixでは「白蛇:縁起」は配信されていないし、「白蛇2」の円盤は国内では発売されていないので、両作品を見るにはNetflixとU-NEXT両方入るしか道はない事になる。なお。2024年に「白蛇:浮生」が公開されているとのことだが、ひょっとしたら今度はDisney+での公開かもしれない。閑話休題
大人の事情と言えば本作、厳密に言えば「白蛇:縁起」と直接つながっておらず、原典の「白蛇伝」の続編という形態になっている。従って前作のラストで、白と宣との再会を予感させるラストの続きを期待すると、「私は今何を見せられているんだ」状態となること請け合い。この展開は「宇宙戦艦ヤマト2199」と「2202」の関係を思い出させてげんなりさせられる。
映画の冒頭で白と青が、宣を守る法海に挑むところから始まる。正直ここでプチパニックに陥った。法海というのは鎮江の金山寺の住職で、これもここで紹介したアニメ版「白蛇伝」や「白夫人の妖恋」にも登場し、白と宣の中を引き裂く役割だが、「白蛇:縁起」には登場していないはずなのに、まるでいたかのようにそのシーンから唐突に始まる。しかも前作では白が宣の転生した姿を発見したところで終わっていたが、本作では宣と結婚して子供を成している。しかも宣はどういう訳か出家して法海の元で修行している様子が描かれている。結局法海の力は二人を上回り、白は雷峰塔に封印され青は修羅界に追いやられ執着を捨てる事を要求される。この辺の聖人にありがちな善意の押し売りが気持ち悪い。
修羅界に飛ばされた青だが、そこは青がいた時代から1000年後の世界で、一見21世紀の中国そっくり。ただ羅刹鬼と人間や妖怪がいて、一応共生関係にあるものの、そこに牛頭がこの修羅界の征服を企み両者は激しい抗争を繰り広げている。ここで青は仮面をつけた謎の男と、牛頭に敵対するリーダーのシバと知り合う。シヴァとか牛頭に羅刹と仏教にヒンズー教と様々な宗教のごった煮状態なのは、如何にも中国らしくて面白い。
その後、シバと牛頭は対峙するがそこに、翼を持った軍団が無差別に両者に襲い掛かる。彼らに襲われると同じような仲間になってしまうのだ。これはもうほとんどゾンビ。ようやく難を逃れた青は、シバと仮面の男と逃げ出すが、途中で仮面の男が動けなくなりそれを助けようとした青もろともシバに見捨てられる。絶望する青だったが、その時仮面の男が素顔を見せると、それは白の顔だった。
ようやく脱出した二人は、前作でも登場した人と狐の二つの顔を持つ宝青坊の主の元へ。これで前作との世界感のつながりがはっきりとしたのだが、それだけにややこしくなる。彼女によると、この世界では執着を持ちすぎたものが落とされるところで、執着を捨てると出られるという。そこにはシバもいて、元の世界に戻るために執着を捨てる事に同意。青と白?も続こうとするがそこに牛頭が大軍を率いて乗り込んでくる。そこで白?は牛頭のスパイだったことが判明。何とかそこから脱出できた二人だったが、元の世界に戻るため、青は試練を受け入れる決意をする。
前述の通り、冒頭から前作のラストを無視した始まり方で、前作のファンは混乱すること必至。ただつまらない作品かと言えば、そうとも言えないのが難しいところで、前作では準ヒロインだった青が一番大切な姉(正確には師姉)を探す冒険譚としてみると、結構面白かったりする。ただ、その結果として白と宣のラブストーリーがどこかへ行ってしまったのは事実なので、続編があればそこもしっかり描いてほしいと思っていたのだが、前述の通り既に続編として「白蛇:浮生」は2024年に公開されている。内容は、宣が生まれ変わって、許仙として暮らしていると白蛇と再会し、西湖畔で共に暮らし始めた。しかし、金山寺の和尚・法海の出現によって2人の人生がとんでもない渦に巻き込まれていく物語となっているというので、本作の前日譚で前作の続編という形になるはず。なんか作る順番間違えているような気がするが…。
それに本作を見た観客は、大体ラストの想像がつくから、どこまで没入できるかは未知数。興行成績は4億2400万人民元(約85億円)とあるから日本だと大ヒットだが、なんせ市場規模がデカい国だから判断が難しいところ。それに内容に関しては、こればっかりは見て見ないと分からない。昨年に「2025年日本公開」という話があったが、今のところまだ決定ではない様子。こうなると意地なので、白と宣の行方は何としても見届けたい。などと書いてみたが、実は「白蛇:浮生」は現時点でYouTubeで見る事が出来る。私は冒頭とラストのみ見たが、最初はバチモンかと思ったがどうやら本物らしい。ただ画質は悪いし、音声はそれに輪をかけて悪く、字幕は入れる事が出来ないから、YouTubeのあの頼りにならない日本語字幕すら出すことはできない。間違いなく海賊版と思われるのでURLを出すことはしないし、私が見つけたのは全く偶然なのであえて探すことも推奨はしないので、あくまで自己責任でお願いする。