タイトル トゥルーライズ
公開年 |
1994年 |
監督 |
ジェームズ・キャメロン |
脚本 |
ジェームズ・キャメロン |
制作国 |
アメリカ |
出演者
ハリー・タスカー(アーノルド・シュワルツェネッガー )アメリカ合衆国のスパイ。
ヘレン・タスカー(ジェイミー・リー・カーティス)ハリーの妻。
アルバート・マイク・ギブソン(トム・アーノルド) ハリーの相棒。
サイモン( ビル・パクストン)スパイを名乗りヘレンに交際を迫る中古車販売員
ジュノ・スキナー(ティア・カレル)テロリストを支援する古美術商。
サリム・アブ・アジズ( アート・マリック)テロリストのリーダー。
ディナ・タスカー(エリザ・ドゥシュク)ハリーの娘で反抗期
スペンサー・トリルビー(チャールトン・ヘストン)ハリーの上司。
本作は、当時絶頂期のアクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガー扮する家族に身分を隠しながら諜報活動を行う凄腕のスパイが、核兵器でアメリカを脅迫するテロリストと戦う姿をコメディタッチで描く、アクション映画である。ジェームズ・キャメロンのコメディセンスの良さが光る傑作で、かなり重いストーリーなのにそれを感じさせずぐいぐい観客を引っ張る魅力にあふれているが、日本ではあるシーンが批判されたこともある。
ただ本作は原点があって、それは1991年のフランス映画「La Totale!」。これを見て気に入ったシュワルツェネッガーが、ジェームズ・キャメロンにリメイクを持ちかけて製作されたものとなっている。残念ながら、原典の方は日本で公開されていないようで、いまだに視聴する機会がない。どこかで配信してくれないものだろうか?
共演者では、ジェイミー・リー・カーティスの隠れ巨乳とスタイルの良さも話題となった。そしてこのシーンは、撮影のかなり早い段階だったので、トレーニングをする暇が無かったというが、それにしては腹筋が凄い!彼女はあのマイケルを打倒した女。彼女とシュワちゃんが組んでこられると、相手をするテロリストが気の毒になる。
製作費は初めて1億ドルを超えたものとなったが、それには初日にトイレのシーンを撮影する予定がジェームズ・キャメロンが「狭すぎる!」と言って作り直させたり、様々なセットに文句を言ったのが原因とか。大ヒットしたからいい様なものの、ロジャー・コーマンからはコスト管理を学ばなかったようだ。
主人公のハリー・タスカーはオメガ・セクターの諜報員だったが、同時に愛妻のヘレンやディナと平凡だが幸せな家庭も築いている。無論二人はハリーがスパイだとは全く知らない。
相棒のギブらとスイスの武器商人の邸宅からコンピュータ・ファイルの情報を奪うことに成功。その時、古美術商のジュノ・スキナーと出会う。ハリーの入手したファイルから、アラブ系のテロリスト集団″紅のジハド″へ多額の資金が流れている事が分かり、上司のトリルビーは、リーダーのアジズの身辺を洗うよう命じるが、その資金提供にはジュノも絡んでることが分かる。
一方夫がスパイとは露ほども思わないヘレンは15年目の結婚生活に倦怠感を覚え始め何か刺激的な生活にあこがれ始めていた。ヘレンは自称スパイのサイモンという男と密かに会っていて、妻の浮気を疑うハリーは、オメガ・セクターの諜報力を活用して2人を確保。ヘレンを尋問するが彼女はサイモンとはスパイという刺激に憧れただけで何にもなく、今でも夫を愛していると答えた。
ハリーは彼女をスパイに仕立て上げ、言葉巧みにホテルの部屋に誘い出す。しかし、あまりに変態行為を要求されるため怒ったヘレンはハリーとは知らずにぶちのめしてしまう。相手がハリーと知って混乱するヘレンだったが、そこに踏み込んできたアジズ率いるテロリストたちによって二人とも捕らえられてしまう。ここにきて、ようやくハリーがスパイと知り驚くヘレン。
アジズたちは米国内で2発の核弾頭を爆発させる計画を進めていた。一基はここで脅しの為起爆する予定だった。隙を見て拘束を解いたハリーはヘレンと共同で敵を倒すが、逆襲により二人は離れ離れとなり、ハリーは死んだと思われた。悲観に暮れるヘレンを連れた一行は島を脱出。しかしその前に、死んだと思われていたハリーが立ちふさがるのだった。
ハリアーが橋を爆破するシーンは、CGではなく巨大なミニチュアセットが組まれた
本作の上映時間は141分。この手のアクション映画としてはかなり長めで、映画館泣かせとなるはずだが、全世界で3億7000万ドルを超える大ヒットとなった。シュワちゃんにとっては前作「ラスト・アクション・ヒーロー」がこけただけに気合が入っていただろうが、それ以上にジェームズ・キャメロンの拘りと、コメディセンスの良さが本作では最大限現れている。冒頭のスイスの別荘に始まり、終盤の高層ビルでのハリアーでのド派手なアクションまで、息つく暇が無い程アクションと見せ場の連続。そして、中盤には妻の浮気を疑う夫のハリーが、国家権力を活用して浮気調査をやるというぶっ飛び具合。しかもしれが孤立することなく、ちゃんと本筋と絡み合う様になるというのも、お見事としか言いようがない。
シュワちゃんの魅力もさることながら、本作でバディ?を組むジェイミー・リー・カーティスの存在も大きかった。最初は地味そのものと言った感じだったのに、中盤のホテルではキャリア最高のセクシーショットを見せてくれ、「ハロウィン」のイメージが抜けないファンを狂喜乱舞させる。そしてあっと驚く(笑)あのテロリスト一掃シーンに、日本で物議を呼んだ、あのキスシーンまで中盤を見事に引っ張ってくれた。それとテロリストのリーダーを演じたアート・マリックの、いい感じのマヌケっぷりも映画のアクセントになっている。いい気持ちで演説していたら、カメラのバッテリーが切れてしまったり、起爆装置のキーを指さしたらなかったり、ラストなんて、あれほど悲惨なそして笑わせてくれる最期を迎えたテロリストはいないだろう。
あらゆる点で、シュワちゃんのキャリアの頂点を示した本作で、このあと彼のキャリアは下降線をたどることになる。人は老いるものだし、右肩上がりばかり続けるわけにはいかない。しかしその頂点で本作に出会えたシュワちゃんは、アクションスターとしては幸せだったと思う。それは本作でシュワちゃんの上司を務め、生涯にわたって役者馬鹿を貫いたチャールトン・ヘストンにも言える事だが。