タイトル ベイマックス

公開年

2014年

監督

ドン・ホール クリス・ウィリアムズ

脚本

ジョーダンロバーツ ロバート・L・ベアード他

声優

スコット・アドシット

制作国

アメリカ

 

テレビ、映画、漫画、アニメ等、さまざまなメディアを専門とするアメリカの作家集団マン・オブ・アクション原作のマーベル・コミックの「ビッグ・ヒーロー・シックス」にインスパイアされて制作された。あくまで“インスパイアされた”のであって、原作ではない。原作の「ビック・ヒーロー・シックス」は日本政府と「ギリ(Giri)」社の計画によって、日本をあらゆる敵から守るために結成された6人の超能力を持つ日本人により結成されたことになっているが、本作で明確にわかる日本人(日系人)は主人公のヒロ・ハマダと兄のタダシと叔母のキャスぐらい。もともとマーベルの中では人気がある作品ではなく、関係者からも忘れられていたというが、ディズニーがマーベルを買収したことにより、「ビック・ヒーロー・シックス」に目を付けたドン・ホールによって日の目を見て、作られたのが本作。

ヒロとその協力者4人がそろって、アメコミヒーロー風の衣装を身に着けるのは、「ビック・ヒーロー・シックス」の名残と言える。

映画の舞台は未来の都市サンフラン・ソウキョウ。そこに住む14歳の少年ヒロは優秀な頭脳の持ち主だが、自作のロボットを非合法のロボット・ファイトのために利用するという自堕落な生活を送っていた。ヒロには兄のタダシと叔母のキャスの3人暮らし。両親はヒロが3歳の時亡くなっている。そんなヒロを見かねたタダシは自分の大学に連れて行き、友人たちと交流させ自分の研究介護ロボットベイマックスを見せると、次第と興味を示すヒロ。憧れていたロバート・キャラハン教授を出会えたことで、飛び級入学を決心する。

大学の研究発表会でヒロは発明したマイクロボット披露。会場をうならせキャラハン教授から入学が認められるが、その場にいたクレイテック社長アリステア・クレイも興味を示し、高値で買い取ろうとするが、ヒロはそれを断った。みんなが会場を後にした、火事が発生し、一人残されたキャラハン教授を助ける為、タダシは会場に戻るがその直後に大爆発が起き、教授とタダシは命を落とす。

それからヒロは引きこもり生活を送るが、ひょんなことから兄が研究していたベイマックスが起動し、ヒロの手元に唯一残されていたマイクロボットの反応から、彼古びた倉庫にたどり着く。倉庫に忍び込んだ二人は、火災で失われたはずのマイクロボットが大量にあるのを見つけ、更に仮面の男ヨウカイに遭遇。ヨウカイが操る大量のマイクロボットに襲われるが、何とか逃げ帰る事が出来た。

一連の出来事から、タダシの死が単なる事故でないと推理したヒロは、ベイマックスに戦闘用のプログラムを装着。港の倉庫街でヨウカイを見つけるが彼我の力の差は歴然としており、ヒロを心配して追いかけてくれた仲間たちに助けられて何とか窮地を脱する事が出来た。

仲間の一人で大金持ちのフレッドの家に集まった一同。フレッドはヨウカイの正体は実業家のアリステア・クレイではないかと推理するが、ヒロは懐疑的。その後、ベイマックスがヨウカイのスキャンをした事を知り、町中の人をスキャンしヨウカイを捕まえようとする。それに合わせて、各々戦闘用のスーツを作り、ベイマックスのアーマーもバージョンアップをさせた。

飛行能力を持ったベイマックスのテストを兼ね、ヒロはサンフラン・ソウキョウの大空へと飛び立ち、ベイマックスがスキャンしていたヨウカイの身体データを元に彼の居場所を突き止める。仲間達と共にその古びた研究施設に乗り込と、残された画像データを調べると、過去にクレイの経営するクレイテックによって軍や政府関係者を前にした、物質転送装置のテストが行われ、危機の不調を訴える職員を押し切りクレイ実験を強行したため、テストパイロットが消息不明になるという大惨事が起きていたことを知る。

そこへ再びヨウカイが現れ、ヒロ達を攻撃する。ヒロ達は立ち向かうが、初の実戦でそれぞれ連携が取れずに苦戦を強いられてしまう。しかしヒロはヨウカイの仮面を奪うことに成功。驚くべきことに、彼の正体は火災によって死亡したと思われていたキャラハン教授だった。

行方不明となったテストパイロットは

ヒロは怒りに駆られベイマックスのケアデータカードを抜き取り、戦闘モードにして教授を殺そうとするが、仲間たちに何とか阻止され、その隙に教授は逃げ出してしまう。

家に戻ったヒロは再びケアカードを取ろうとするが、ベイマックスから正は「人々の役に立ちたい」との思いから、必死でベイマックスを作っている映像を見せられ、本来の目的を思い出した。その頃レイテック社は新社屋の完成パーティを開催していた。キャラハン教授は転送装置を使い、クレイをまるごと異世界へ吸い込もうとしていたのだった。というのが大まかな粗筋。

アメコミヒーローに日本のロボットアニメの要素を加えたのが本作で、日米ごった煮文化が面白い。特に舞台となっている「サンフラン・ソウキョウ」という街。文字通り、「サンフランシスコ」と「トウキョウ」が合体させたような街に、日本語の看板がかかっているし、パトカーが明らかに日本のパトカー。しかし、アメリカ人も多く暮らしているという、カオス設定。それゆえ魅力的な世界観を構築している。この頃のディズニーは世界観を作るのが、超絶うまかった。

そうした世界観の面白さだけではなく、ヒロとベイマックスの友情を軸に、タダシやキャストの家族の絆。そして大学の仲間たちとの友情。それらがしっかりと描かれている事から、物語に没入できるようになっている。

ちなみに日本では予告編は友情をメインに描かれているが、アメリカの予告編だとアクションが押しなのだとか。日本の予告編だと大学の仲間たちはあまり出ていなかったので、映画を見てかられも主役級の扱いを受けているのを見て、ちょっと驚いた。この辺り、日米文化の違いなのかもしれない。