神職の「祝詞(のりと)」の奏上で「恩頼(みたまのふゆ)を「蒙(かが)ふらせ」という意味?
宮司さん「みたまのふゆをかがふる」とは何のことですか?と
参拝者から聞かれます。
各神社の神職の方々の祝詞では、必ずと言ってよいくらい「みたまのふゆ」という言葉がよく出てきます。
それでは、
「ミタマノフユ」とは、どのような意味がある言霊かと申しますと
「みたまのふゆ」というのは、
日本書紀と古語拾遺に出てくる「古語」なのです。
大和言葉(やまとことば)としての言霊です。
「みたまのふゆ」とは、
簡単に言うと「神様の神秘な力、はたらき、恵み」をいうのです。
また、「みたまのふゆ」は「神の霊の御陰を得る」という意味なのです。
だから「みたまのふゆ」は、神様の御加護や生命力が満ち溢れてくることを意味しています。
漢字で書きますと「恩頼(みたまのふゆ)」です
祝詞(のりと)によっては「神恩(みたまのふゆ)」とも「霊」とか
「皇霊之威」・「神祇の恩」とも書きます。
「かがふる」と言う字は「蒙布留」と書かれます。
神徳が降り注ぐことです。
「フユ」と言う語は「振る」ということです。
フユは殖える・増やすのこ とで増殖の意味です。
「冬」というのは、すべてが春に向けて増殖し・・ふえることであり、この「ミタマノフユ」の「ふゆ」が四季の「冬」の語源とされています。
『御魂の冬』・・すなわち春を待つ気を満たす充電の時であり、神様の力で「冬篭り」から「花咲く春へ」の開花を促す「砕啄同機」であろうとおもいます。
神様からの大きな御力添えなのです。
だから「冬樹」と言う字は、どんどん厳しい冬に耐えて、
春のために力を蓄える樹木をさす、素晴らしい力のある木なのです。
春を待つ「雪の重さに耐え、色変えぬ松」の強さが大切です。
昭和天皇御製
降り積もる 深雪に耐えて 色変えぬ
松ぞ雄々しき 人もかくあれ