「本当のはなし」

このお話は「宮司の内緒の本当のはなし」です
このはなしを読んでも誰にも言わないで下さい。
宮司の信用に関わります。
あなたが秘密が守れると信じて
「本当のはなし」をいたします。

6月18日
梅雨に入り・・朝から大雨でした。
まるでバケツをひっくり返したような豪雨が降り
雷がゴロゴロと鳴りやまなかった。
宮司は、いつものように表門を開けました。
すると・・・一人の女性が傘もささないで
全身ずぶぬれで、裸足のままで、そこに立っていました。
35歳を少し過ぎた位のモデルにしたいような色白で美人である。
下山する時に、足をすりむいたのだろうか?
白い脛のあたりに血が流れていた
「どうかしましたか?大丈夫ですか?」と宮司はやさしく聞いた
女性は、青白い顔で・・ただうつむいて、何も言わない
 社務所に連れて行き、足の消毒をして、熱いお茶を飲ませた。
バスタオルで頭を拭かせながら、横顔見ると・・・泣いていた
まず、着替えをさせた・・着替えがすむと少し顔色が戻ってきた。
宮司は、ほっとした。ああこれで大丈夫と安心した。
宮司は前職が警察官だから・・ずばりと聞いた!
「あなたは、死ぬ気だったのでしょう?・・そして死に切れなかったんでしょう?」
うつむいているが・・・涙がポロポロとこぼれて泣いていた
「・・・・・・・う・・・う・・」女性はついに号泣した!
 宮司は、黙って相手が話し始めるのをじっと待った。
 そして・・女性はポツリポツリと話し始めた・・・
 「吉野の山奥の西行庵の森の中で首を吊ろうとしました。
 でも父の事や母の事やが気になり・・・とうとう死に切れませんでした。
 そしてうつ伏せて泣いた。
 「そうですか・・・お父さんやお母さんの顔が浮かびましたか?」と
 宮司ももらい泣きをして・・・涙が出てきました。
 「これから家に帰り・・・今日・・吉野で死んだと思い強く生きてください」と
宮司は力を込めて言った。
 「朝が来ない・・・・夜はないですから・・山よりも大きな猪(しし)も出ませんから・・生きていたら・・・・・きっと良いこともありますよ」と
 
そして・・・・宮司は手も無い、足も無い中村久子の生涯を語りました。
あなたには手も有る、足も有るご両親もいる・・・どうしても自分を大切に生きてくださいね」と諭した。
宮司は相手の女性に「名刺」を渡した。
また・・いつの日か、生きるのが辛くなったり、困ったことがあれば、その名刺の電話番号に電話ください・・・・
メールでもいいですよ」とやさしく言った。
ところが
深夜・・・・・・消防のサイレンがけたたましく鳴った!!
 
何かが起きたのだ・・・「駐在所の警官」が神社の門を叩いた???
 
「宮司さん・・すぐに警察署まで来て下さい」と言う。
何が起きたのかさっぱりわからなかった???
 
 宮司は寝間着を脱ぎ、作務衣を着て
警察署に到着した。
 
梅雨のなまあたたかい風が吹き抜けた。
背中がゾクゾクして来た。
 警察署の受付で、事情を聞かれた。
そして・・・・署の裏にある
死体の安置してある「霊安所」に連れて行かれた。
 
「宮司さん・・・今夜女性が首吊り自殺していましてね」
 
その女性が宮司さんの「名刺」を持っているんですよ」・・・・
 「確認して下さい・・・間違いないでしょうか?」と言う
 宮司は・・一瞬かたまってしまった。
 あれほど・・
 説得して死ぬことを止めたのに・・
 「どうしてまた・・生きようとしなかったのか?」と思うと
 口惜しくて頬を涙が流れた。
 
霊安所・・は薄暗く・・・
 死者の顔には白い布がかぶせてあった。
 線香の煙が・・・あたかも、この女性の人生を物語るように・・
 細く頼りなげにゆれていた。
 
警察官の方から
 「それでは、ほとけさんが間違いないか確認願います」と
 うながされた。
 宮司は、死体を見るのは慣れていたが
気持ちのよいものではない。
 
そっと。・・・・・白い布をとりはずした・・・・
 
その瞬間!!
 「あっ!」と宮司は思わず叫んだ!!
 この死体は顔も年齢も違う???
 今日の女性は、髪も短く目が「飛鳥」のように美しい目をしていた。
 
どうしたんだ・・・・・・・??
 この女性が何故?・・・
 宮司の「名刺」を持っていたのか信じられない
 担当の警察官は、不思議そうに宮司の顔を覗き込んで・・
 疑うように「本当に違うんですか?」と聞いた・・・・・
 「違います・・今日来た女性は35歳くらい若く色白の美人でした」
 『この死体のように・・・白髪が長くシワだらけではありませんでした」と一気に特徴を話した。
 警官はなぜこの女性が神社の名刺を持っていたかが不思議だという
 「その謎は・・・わかりませんが・・今日・・神社に来た女性とはまったく別人です」と宮司は、答えた。
 
?????
 「決め手になる特徴は他にありませんか?」と
 警察官が被疑者を見るような疑いの目で執拗に聞いてきた。
 宮司は、しかたなしに
 「話している時、歯が白く美しく・・・・前歯にプラチナが、輝いていました」
 「人相着衣をくわしく話した」
 今日・・・宮司が名刺を渡し話を聞いた女性は、白の紺色の模様のあるワンピースで・・・黒のカーデガンを肩にかけていました」と申し述べた。
 司法解剖を前に確認を急いだ!
 女性の死体は
 どこから見ても70歳から80歳の女性で・・
 白髪で、右の頬に傷がある。
 首のしわが年齢を隠せない・・・服装も違う。
 警察官は、先ほどの「歯の状況」を調べるために
 死体の口に手を当てた。
 「死後硬直」した「死体の口」を
 力を入れて開けた・・・・
 その場にいた警官と宮司は・・・・
「おや??」と驚いた!
 
口の中を見てびっくりしたのです。
 「歯が無い」のです
 「本当に歯がなかったのです」
 歯がない・・・本当に
 歯なし・・・・本当の????
 「これが・・・本当のはなし?」
 「歯が無いから・・・歯無しなのです」
 
「本当のはなし」なのです。

最後まで根気よく読んでくださって・・深く感謝します。
ではいつの日か「本当のはなし」をしますが
次回は騙されないで下さい。


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