「実語教(じつごきょう)」・・・日本人の心はこれで育った!
宮司は、昨日は、関西師友協会創立55周年記念大会に「奈良師友会」の会長として出席して「中西輝政教授」の講演を聴いた。
3月17日午後1時30分~中央電気倶楽部
文化保育園の5歳6歳児の「論語素読」に感動した
江戸時代、一般の子供たちが学ぶ代表的な教科書は「実語教」でした。
昔の小学生の勉学は・・現代よりもはるかにレベルの高い学問をしていたと感動・・・これを素読できたのだから・・・すごい!
実語教
<実語教(じつごきょう)>
山高きが故に貴(たつと)からず。
江戸時代、一般の子供たちが学ぶ代表的な教科書は「実語教」でした。
昔の小学生の勉学は・・現代よりもはるかにレベルの高い学問をしていたと感動・・・これを素読できたのだから・・・すごい!
<実語教(じつごきょう)>
樹(き)有るを以て貴しとす。
人肥へたるが故に貴からず。
智有るを以て貴しとす。
富は是(これ)一生の財(ざい)。
身滅すれば即ち共に滅す。
智は是万代(ばんだい)の財(たから)。
命(いのち)終れば即ち随つて行く。
玉磨かざれば光無し。
光無きをば石瓦(いしかわら)とす。
人学ばざれば智無し。
智無きを愚人とす。
倉の内の財(ざい)は朽つること有り。
身の内の才(ざい)は朽つること無し。
千両の金(こがね)を積むと雖も、
一日(いちにち)の学には如(し)かず。
兄弟(けうだい)、常に合はず。
慈悲を兄弟(きやうだい)とす。
財物(ざいもつ)、永く存せず。
才智を財物とす。
四大(しだい)、日々に衰へ、
心神(しんしん)、夜々(やや)に暗し。
幼(いとけな)き時、勤め学ばずんば、
老ひて後、恨み悔ゆると雖も、
尚(なを)所益(しよゑき)有ること無し。
故(かるがゆへ)に書を読んで倦むこと勿(なか)れ。
学文に怠(をこた)る時勿れ。
眠(ねぶ)りを除ひて通夜(よもすがら)誦(じゆ)せよ。
飢へを忍んで終日(ひねもす)習へ。
師に会ふと雖も、学ばずんば、
徒(いたづら)に市人(いちびと)に向ふが如し。
習ひ読むと雖も、復さざれば、
只隣(となり)の財(たから)を計(かぞ)ふるが如し。
君子は智者を愛す。
小人は福人(ふくじん)を愛す。
冨貴(ふうき)の家に入(い)ると雖も、
財(ざい)無き人の為には、
猶(なを)霜の下の花の如し。
貧賤の門(かど)を出づると雖も、
智有る人の為には、
宛(あたか)も泥中(でいちう)の蓮(はちす)の如し。
父母は天地の如く、
親族は譬(たと)へば葦(あし)の如し。
夫妻は猶(なを)瓦(かはら)の如し。
父母には朝夕(てうせき)に孝せよ。
師君には昼夜に仕へよ。
友に交はつて諍(あらそ)ふ事なかれ。
己(おのれ)が兄には礼敬(れいけい)を尽くし、
己(おのれ)が弟(をとゝ)には愛顧を致せ。
人として智無きは、
木石に異ならず。
人として孝無きは、
畜生に異ならず。
三学の友に交はらずんば、
何ぞ七覚の林に遊ばん。
四等(しとう)の船に乗らずんば、
誰(たれ)か八苦の海を渡らん。
八正(はつしやう)の道は広しと雖も、
十悪の人は往(ゆ)かず。
無為(むゐ)の都は楽しむと雖も、
放逸の輩(ともがら)は遊ばず。
老いを敬ふことは父母の如し。
幼(いとけな)きを愛することは子弟の如し。
我、他人を敬(うやま)へば、
他人亦(また)我を敬ふ。
己(おのれ)人の親を敬へば、
人亦(また)己(おのれ)が親を敬ふ。
己(おのれ)が身を達せんと欲せば、
先づ他人を達せしめよ。
他人の愁いを見ては、
即ち自(みづか)ら共に患(うれ)ふべし。
他人の喜(よろこ)びを聞いては、
則ち自ら共に悦ぶべし。
善を見ては速(すみ)やかに行(をこな)へ。
悪を見ては忽(たちま)ち避(さ)け。
悪を好む者は禍(わざはひ)を招き、
譬へば響きの音に応ずるが如し。
宛(あたか)も身に影の随(したが)ふが如し。
善を修する者は福を蒙(こうむ)る。
冨めりと雖も貧しきを忘ることなかれ。
或ひは始め冨みて終はり貧しく、
貴(たつと)しと雖も賤(いや)しきを忘るゝことなかれ。
或ひは先に貴く終(のち)に賤し。
それ習ひ難く忘れ易きは、
音声(をんじやう)の浮才。
又学び易(やす)く忘れ難きは、
書筆の博芸。
但し食有れば法有り。
亦(また)身有れば命有り。
猶(なを)農業を忘れざれ。
必ず学文を廃することなかれ。
故(かるがゆへ)に末代の学者、
先づ此(この)書を案ずべし。
是(これ)学問の始め、
身終はるまで忘失することなかれ。