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中原中也の詩の魅力(生誕100年)


宮司の生まれは山口県です。

だから、山口の郷土の詩人、中原中也が大好きです。

幼い頃から「汚れちまった・・・」と朗読していたら

何かする度にこの詩が口から飛び出してきます。

金子も中原も、若くして、この世を去っているが心に感動を呼び起こさせる詩が多い。



≪ 汚れちまった悲しみに・・・≫ (中原 中也を代表する詩)

汚れちまった悲しみに

今日も小雪の降りかかる

汚れちまった悲しみに

今日も風さえ吹きすぎる
 

汚れちまった悲しみに

たとえば狐の皮衣

汚れちまった悲しみは

小雪のかかってちぢこまる

 
汚れちまった悲しみは

なにのぞむなくねがうなく

汚れちまった悲しみは

倦怠のうちに死を夢む

 
汚れちまった悲しみに

いたいたしくも怖気づき

汚れちまった悲しみに

なすところもなく日は暮れる


≪ 冬の長門峡 ≫ 

長門峡に 水は流れてありにけり
寒い寒い日なりき

われは料亭にありぬ
酒酌みてありぬ

われのほか別に
客とてもなかりけり

水は、恰も魂あるものの如く
流れ流れてありにけり

やがても蜜柑の如き夕陽
欄干にこぼれたり

ああ――そのやうな時もありき
寒い寒い 日なりき

≪ 湖  上 ≫            

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂から滴垂る水の音は
眤懇(ちか)しいものに聞こえませう、
あなたの言葉の途切れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇する時に
洩らさず私は聴くでせう、
けれど漕ぐ手はやめないで。
    
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮かべて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風は少しはあるでせう。

≪中原 中也 略歴≫

1907年(明治40年)山口県吉敷町に生まれる。父は軍医を経て医院を開業、母の家系は毛利元就に仕えた家柄。何不自由ない環境だったが、結婚後7年目の子だったため、父は中也を外へ遊びにも出さず、水泳も禁じるというほど大事に育てた。
8歳のとき、弟が亡くなる。中也は悲嘆にくれて亡き弟を歌った。これが最初の詩作となる。中学に入ると、彼はますます文学に耽溺し、落第する。京都立命館中学に転校することになる。
16歳のとき中也は、3歳年上の女優、長谷川泰子に出会う。二人は意気投合し、翌年泰子が劇団をクビになったのをきっかけに同棲生活にはいる。
1925年3月。友人が東京で詩を発表したのに刺激され、泰子とともに上京する。文学を志す仲間が増え、特に、後に評論家となる小林秀雄と親しくなる。その後中也は小林の家近くに引っ越す。男同士の親しさはそのまま泰子と小林を結びつける結果となる。11月、泰子は小林のもとへ走る。
このとき親友に恋人を奪われた中也の嘆き、小林への憎悪にはすさまじいものがあった。手記には「とにかく私は自己を失った!私はたゞもう口惜しかった、私は『口惜しき人』であった。」と書かれている。この事件は彼の生涯の中でも重要な事件であった。中也は後に泰子が神経を病んで小林と別れてからも、保護者的立場で付き合い、結婚し家庭を持つようになってからも泰子に手紙を出している。終生泰子を忘れることがなかったようだ。
翌年、中也は「朝の歌」を書き、詩人として生きていくことを決意する。日記にはそれについて、「『朝の歌』にてほぼ方針立つ。方針は立ったが、たった十四行書くために、こんなに手数がかかるのではとがっかりす」などと書いている。
26歳のとき中也は遠縁の娘と見合い結婚する。あまりにも素直に結婚したので家族も驚いたという。翌年には長男文也も誕生し、第一詩集「山羊の歌」も出版される。ようやく落ち着いた日々がやってきたかにみえたが、それも束の間、大変かわいがっていた文也が2歳で病死する。中也は悲嘆にくれ、その直後から神経を深く病む。その頃書いたのが「春日狂想」である。
中也は療養所に入院するが、退院後も心身の疲弊激しく、妻と次男とともに帰郷して詩作に専念する決意をかためるが、その夢もかなわぬまま「在りし日の歌」の原稿を小林秀雄に託し、1937年10月22日、結核制脳膜炎で還らぬ人となる。享年30歳であった。


「秋吉台・秋芳洞」も「長門峡や萩城跡」が、「青春の思い出」の中に、ひっそりと閉じ込められているある日、ふと懐かしく、セピア色のアルバムを開き「湯田温泉やザビエル堂や雪舟の庭」を思い出してしまう。

そんな時・・口元から出てくる「汚れちまった・・・」ああだいぶ汚れちまったなあ!と感慨深く懺悔する。
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