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どんな花より美しい桜が咲いた 咲いた! 君の笑顔は どんな桜より美しかった



「ぐうちゃん!」ありがとう 

 君の声が 今日も聞こえる・・・

君は 桜吹雪の中を

急な坂を下り

急な坂を登り

吉水神社に たどり着いた

嬉しそうな笑顔が こぼれた

爛漫の桜も笑った

君は 私を見つけると

「ぼく 大ちゃん あなたは誰?」と聞いた

一瞬 澄んだ君の目に驚いて 私は答えた

「ぼく ここの神社の宮司(ぐうじ)」

そうすると君は 微笑んで言った

「ぐうちゃん、ぐうちゃんと呼んでもいい?」

私も 可笑しくなって笑いながら

「ぐうちゃんでいいよ」と答えた


嬉しくなり 大ちゃんを宝物殿に招き

無料で拝観して貰った

私は 大ちゃんに言った

「無料だから感無量だね!」って

大ちゃんは手を叩いて

けらけらと太陽のように明るく笑った

大ちゃんは 車椅子からおりて

宮司とお父さんの腕にしがみついて

動かぬ下半身を引きずりながら

吉水書院を見終わると

大ちゃんは感動した


お父さんもお母さんもおばあちゃんも

ここまで来てよかったと胸を詰まらせた 

桜の花よりも 美しい大ちゃんの笑顔

大ちゃんは 私の手を握り

「ぐうちゃんありがとう」と明るく言った

私は 涙がポロリとこぼれて抱き締めた

「車椅子の大ちゃんありがとう」

こんなところまでよく来てくれて 感謝した

大ちゃん 桜の花にも負けず頑張れ!


大ちゃんは 神社の小石を一つ拾らうと

「ぐうちゃん この石を記念に貰ってもいい?」と言った

私は「どうぞ 記念にぜひ どうぞ」と言った

ぐうちゃんは 胸が熱くなった

大ちゃんの手を握り いつまでも桜の中にいたかった

桜坂を下る 大ちゃんに手を振る

いつまでも離したくない握手だった


車椅子が見えなくなるまで 手を振った

「ぐうちゃんありがとう!」と大ちゃんの声がした

吉野の桜は「今日が最高」だと叫んでいた

ああ どんな桜よりも綺麗な

大ちゃんの心の桜が咲いた