言葉の問題で、自由シリア軍最前線の兵舎に行く事は到着
してから分かった。何か怪しげでいくつもの路地をくねくね
と曲がり、所々見張りが居る。当然ここでも撮影ができない。
敷地の近くに、対空砲(23mm対空機銃)が配置されていた。
僕は到着して小銃を持って降りようとすると、護衛が『ここ
では必要ない』と合図する。兵舎に入ると6名ぐらいの兵士が
居た。その他に外国人ジャーナリストが1名居る。
彼らは『何処から来たか』と聞かれたので、『日本から来た!』
と僕は答えた。この時点で僕は100名以上の人と接している。
当然、初めは同じ質問が多い。兵士グループ組織をいくつも
訪問しているからね。
ここの兵舎は30名ぐらいいて半分以上は歩哨や前線に居る。
自己紹介や余談が終わる頃、僕はある武器に気が付く。
映画でもおなじみのロシア製のRPG-7対戦車ロケットだ。
僕はこの兵器の使用方法は知っているが、実際に発射した経験は
ない。
(参考写真:弾頭付けた状態のRPG-7)
夜21時頃になると他の兵士も戻って来て、弊社は12名程に
なる。22時頃まで携帯翻訳を使用しながら会話をした。
この日は一日中警戒しながら行動して、集中的に色々な場所へ
足を運んだので、何だか疲れて来たと思った。
兵士達は色々話をして騒いでいる。僕は寝る事にした。度々
目が覚めるとまだ会話している。兵士の何人か見張りで出た様子。
次に目が覚めた時は、対空砲(対空機銃)とジェット戦闘機の音で
目が覚める。兵舎の外で大きな銃撃音と火花の閃光が見える。
『夜の射撃は綺麗だなぁ~』『戦闘機に向かって撃っても当たらん
と思うけど』と思いまた直ぐに寝た♪
戦闘機に射撃をしたくなる気持ちは分かるが、見えない敵に闇雲
に撃っても仕方ない。撃たない方が弾の節約になる。
(資料写真:対空機銃/ZU-23-2)
僕も戦争が日常的に慣れてしまい。爆撃でも銃撃でも直接関係が
無い事が分かると普通に寝る事が、出来る様になってしまった。
朝の4時頃だろうか?目が覚めると僕の身体が全く動かない!
何だこれは!喉も渇きトイレにも行きたいが、全く起き上がる事
が出来ないのだ。どんな感じかと言うと僕の体の上に何十人もの
人が乗っかっており起き上がれない感覚だ。
何と言うか、普通空気は重さを感じないが、空気的な人の重さ
を感じるのだ!金縛りの様な感じ。初めての経験。
疲れと物凄い寒さで身体が冷えているせいだと思った。
翌朝9時頃目が覚めて起きようとするが起き上がれない。
高熱もある様だ。何とか自力で身体を起こしタバコを取り一服
した。そこから立つ事も大変だが、何とか立ちあがり外のトイレ
に向かうがちゃんと歩けない。
これは初めての症状で、とにかくサプリメントとロキソニンを
飲んだ。次第に少しずつ良くなってきた。身体が動くように
なったので、兵舎から護衛と2人で車で(名前:アブダミ)の
家に向かう事にした。到着後、食事が出るが全く食欲が無く
食べれない。同時に熱と冷や汗の様な汗が止まらないのだ。
その後一旦、最前線から少し離れ、中間拠点まで戻る事にした。
時間が経つにつれて少しずつ良くなった。最前線から離れる程
体調は良くなる。
そして夕方に中間拠点に到着して休息を取る。
※シリア内戦視察 第9話 (電話傍受と空爆)に続く
はるな