高校を卒業して上京した時。
初めての一人暮らしを始めた時。
大学生活という新しい環境に飛び込もうとしていた時。
Suicaの使い方も分からなかった私が、都会の冷たい対応に怯えながらも、なんとかしてみなとみらいにたどり着いた。
ずっと憧れていたみなとみらいは想像通りの心地良い場所で、埋立地ならではの整備された環境から吹き込む海風が、不安を吹き飛ばしてくれるような気がした。
初めての赤レンガは人がごった返していて、どうやら何かのイベントをやっているようだった。
フリーライブと書かれていたので興味本位で流れる行列に従って足を進めていた。
そこで出会ったのが、WACKであり、BiSHだった。
なんだこの人たち。
というのが最初の感想だった。
アイドルというには異様で、かと言ってバンドというには楽器が見当たらない。
それでも確実に言えることは、彼女たちのパフォーマンスと楽曲はパンクでありロックだった。
その日からBiSHという存在を気になり始め、YouTubeやサブスクで楽曲を探るようになり、メンバーを好きになり、私の生活の一部となっていった。
BiSHがきっかけで心から信頼のできる人もできた。
決して数は多くないがライブにも行った。
そんな生活が続いているうちに、大学を卒業し社会人になった。
そしてBiSHが解散を発表した。
BiSHがいなくなるということは考えたことがなかったが、○○ロスのような仕事にも手がつかないような状態にはならなかった。
しかしそれはあくまでも解散発表当時の話。
2023年6月29日、BiSHは解散した。
最後はライブで見届ける。
たったその思いだけを持ち込んで東京ドームに足を踏み入れたが、BiSHがいたこれまでの生活が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
心が苦しいという表現はまさにこの時のことを指すのだろう。
当日はハイになってたこともあって楽しい気持ちのまま帰って目を瞑ったが、朝起きたときは悲しみが勝っていた。
仕事に手がつかない。
心にポッカリ穴が空いたような喪失感が一日中体を支配していた。
それでも解散した後の彼女たちの活動が既に始まっているのを知って、自分だけ立ち止まるのは何か違うと感じてしまう。
ここからBiSHのいない人生を始めていくことにする。
BiSHとBiSHを通して人生を幸せにしてくれた全ての人に。
心からありがとう。
BiSHがいたこれまでの生活に、サラバかな、