2022年度卒業論文『わが国における中小企業会計に関する-考察』

執筆者:d@i

目 次
第1章 わが国における中小企業会計の実態と特徴
第2章 わが国における中小企業会計制度
第3章 わが国とIFRSにおける中小企業会計基準の比較分析
第4章 中小企業会計の課題と今後の展望

論文趣旨
 本研究では,わが国の中小企業会計制度と他国との中小企業会計の対比という視点からわが国の中小企業会計の課題と今後の展望を明らかにする.
 第1章では,大企業と中小企業の属性の違い,そして中小企業の資金調達について検討した.わが国の中小企業は,企業活動の大きな部分を担い,世界的展開を進める上場企業の経済活動の下支えをしており,わが国全体の雇用の主要部分を産み出していることが明らかとなった.また,中小企業は,地方における雇用の創出といった地方経済の中心的役割を果たしており,他にも中小企業が活力を取り戻すことが,わが国の経済の重要な課題であるといえる.そこで,つづいて,そんなわが国における中小企業会計の実態や特徴を明らかにした.
 第2章では,中小企業の基本要領,中小企業会計指針の会計制度について検討した.その結果,中小企業版IFRSと中小会計要領の2つの中小企業会計基準が採用されており,適用対象企業の線引きがあいまいであることが明らかとなった.また,中小企業において,税法基準が会計基準より優先されていることにより,税法基準に偏った財務諸表が作成され,逆基準性の問題を生み出していた.
 第3章では,中小企業会計の国際的動向について検討した.わが国における一般に認められた会計原則は,国際会計基準とのコンバージェンスの名のもと改正が繰り返され,中小企業の会計の実態とは,ますます乖離していく状況にある.そのような状況のなかで,わが国の中小企業にとって,国際会計基準との関係を分断することが必要であり,中小企業の会計基準が必要であることが明らかになった.
 第4章では,これまでの章で明らかにしてきた内容を踏まえ,得られた結果と受けて考察を行うとともに,本研究を結論づけた.社員数が限られている中小企業にとって会計にコストや時間を割くことは難しいけれども,適切な会計が健全な経営に直結していることは確かである.中小会計要領は,会計処理にコストや時間を割くことが難しい中小企業にとっても扱いやすいものとなっており,この要領を効率的に活用することにより,自社の経営状況を適正に把握することがで,持続可能な経営につながることが明らかとなった.

論文筆者の感想
 当時ピカピカの大学1年生だった私は薔薇色のキャンパスライフを夢見ていました。しかしコロナウイルの影響により2年生以降は想像していた大学生活とはかけ離れたものでした。慣れないオンラインでのゼミ活動は大変でした。しかし同じ境遇であった同期とのグループワークはとても良い経験になりました。コロナ禍でも辞めずに続けられたのは吉田先生をはじめゼミ生の皆さんのお陰でした。皆さんには本当に感謝しています。最後に吉田先生、ゼミ長。提出期限をすっかり忘れていました、大変申し訳ありませんでした。皆さん3年間ありがとうございました!

2022年度卒業論文『公正価値による財務報告と企業価値との関係性に関する一考察』

 

執筆者:ゆりっぺ

 

目次

第1章 財務報告と企業価値評価

第2章 概念フレームワークが示唆する価値評価会計

第3章 公正価値評価と企業価値会計

第4章 企業価値評価における会計の有用性と問題点

 

論文趣旨

 本論文では、財務報告や会計基準の方針を支援する概念フレームワーク、様々な項目を測定、開示する公正価値と企業価値評価の関連を明らかにし、企業価値評価を行う上での会計の有用性と問題点を検討した。
 第1章では、財務報告と企業価値評価について検討した。IASBと日本基準の双方において、財務報告の目的は、資本市場における投資家の将来キャッシュフローの予測に役立つ意思決定有用性のある情報の提供であった。そのうち、利益情報は、企業の過去の成果を示し、企業の将来価値に大いに影響するため、企業価値の基礎であった。利益情報は将来キャッシュフローの予測に役立つものであると考えるが、IASBでは、利益は収益から費用を控除して算定するとしているため、包括利益に該当するが、IASBの概念フレームワークにおいて、包括利益は定義されていなかった。
 第2章では、概念フレームワークが示唆する企業価値評価について検討した。概念フレームワークは、その内容がIFRSより優先されることはないけれども、首尾一貫した財務報告を行い、その利用者が報告企業の財務状態を正確に把握するために必要不可欠である。概念フレームワークでは財務情報が備えるべき質的特性について、基本的な質的特性と補強的な質的特性に区分している。基本的な質的特性は、目的適合性と忠実な表現である。首尾一貫性によって達成される比較可能性、適時性および理解可能性は、情報の有用性を補強する質的特性である。財務報告により提供される情報に関しては、コストが一般制約であり、特定の情報の報告を要求するかどうかを判断する際に、報告の便宜から生じるコストを正当化できるかどうかを評価することになる。
 第3章では、公正価値評価と企業価値評価について考察した。公正価値は、測定日における市場参加者間の秩序ある取引において、資産の売却によって受け取るであろう価値または負債の移転のために支払うであろう価格であると定義されている。公正価値は、市場参加者か、秩序ある取引、出口価格の定義および非金融資産の公正価値測定にあたっての前提をとらえることで適切に認識できる。そこで使用する情報や仮定はその観察可能性や調整の有無と程度により3つのレベルに分けられ、信頼性の高さが異なる。公正価値は、実際の市場取引でのコストや収益を資産や負債の評価に反映し、市場参加者である投資者目線で信頼性や合理性が高いことから、市場取引を活発に行う企業の財務諸表や財務情報を活用して企業価値評価を行う上で有用であった。
 第4章では、第1章から第3章をふまえ、企業価値評価における会計の有用性と問題点を検討した。その有用性とは、財務報告の利用者自身が概念フレームワークの諸概念や公正価値の定義などを正しく理解することにより、信頼性があり、かつ重要度の高い財務情報を自ら取捨選択し、優劣をつけることが可能となることにある。さらに、利益情報の整理を容易にし、将来利益への見積りの意思決定に役に立つ。問題点とは、企業価値評価の精度が評価を行う対象となる企業の財務情報を、その利用者がいかにとらえ、各会計の基準や概念にしたがって、どの程度適正な価値の算定ができるかに依存することである。そのため、財務情報の利用者は正確な企業価値評価を行うために、会計基準や諸概念への理解に努めることが不可欠であると結論づけた。
 

論文筆者の感想

私は大学4年間の集大成として、この論文を完成させることが出来ました。コロナウイルスの影響で思うように大学生活を過ごせず、大学で学ぶ意義を見失った時期もありましたが、吉田先生のゼミナールの授業のおかげで会計を学ぶ楽しさを4年間味わえたと思います。ゼミナールの授業では、オンライン授業が多い中、ゼミ生と顔を合わせて話し合いながら学べたので毎回楽しく授業を受けられました。このような人と会うのが難しかった時期になんとか対面で授業を開催してくれた吉田先生には感謝しています。最後の卒業論文の授業まで、同期のゼミ生と楽しく過ごせました。私たちの学年は2年間オンライン授業がメインだったため、吉田先生のゼミナールの授業での経験は私にとって大学生活の大きな思い出として残ると思います。吉田先生、同期の皆さんにはとても感謝しています。ありがとうございました。

 

 

2022年度卒業論文『スポーツ・アカウンティングにおける組織管理と情報開示』

 

執筆者:卒業見込

 

目次

 

 はじめに
第1章 スポーツビジネスにおける会計の特殊性
第2章 スポーツビジネス組織の管理と価値の創出
第3章 プロスポーツチームのマネジメントと会計
第4章 会計の観点からみたスポーツビジネスにおける組織の管理とマネジメント
 おわりに
 

論文要旨

 

本論文では,スポーツビジネスにおける会計の必要性について明らかにし,スポーツ組織の管理とマネジメントや価値の創出について,会計の観点から考察した.
 第1章では,まずスポーツビジネスにおける会計の特殊性について明らかにし,財務報告の重要性を明らかにした.スポーツビジネスには,法的根拠からみた会計の特殊性や組織の特殊性があり,一般企業とは異なる利害関係者が存在する.スポーツ組織の多くには資金を提供する親会社が存在しており,親会社は財務報告を作成した上で利害関係者への公表を行う.しかし,現状としてスポーツ組織自体には,財務報告を作成し,開示する義務はない.しかし,スポーツ組織は,親会社の資金を活用しており,資金運用の形態は正式に公表されるといった,財務報告の重要性を明らかにした.
 第2章では,スポーツビジネスにおける組織の管理と価値の創出について,一般企業とスポーツビジネス組織とを比較し,それらの特性を明らかにした.スポーツビジネスは多様であり,かつ複雑である.そこでは一般企業のステークホルダーと異なる点として,すべてのステークホルダーは,会計情報を必要としないところにある.会計情報によってもたらされる組織の情報は,参考程度であり,それによって意思決定を行うルーツとして活用されていない.しかし,スポンサーとしては,スポーツ組織のブランドが有する資産価値や注目度または自社商品の売上の増加につながるよう,投資対効果で示されるビジネス的な価値を算定する際に活用される.ここでのスポーツビジネスとは,一般企業がスポーツ媒体として,自社名もしくは商品の売名をおこなうこと,または企業イメージの向上を目指すことである.その結果として,企業価値が向上するということを第2章では明らかにした.
 第3章では,プロスポーツチームのマネジメントと会計について明らかにした.スポーツマネジメントとは,スポーツに関する人々の諸活動を,啓発,普,および強化といった共通の目的にもとづき調整し,その一連のプロセスを効率的に運営し,関係するあらゆる経営資源(ヒト,モノ,カネおよびジョウホウ)を有効配分するための体系的な技法・あるいは手法として定義される.わが国におけるプロスポーツチームは,チームの親会社からの資金調達が容易であり,財務報告機能の目的は,本来のものとは性格を異にする.つまり,会計情報を構成する財務報告の目的は,親会社に対するクラブ経営活動の報告的な意味合いが強く,一般的な企業経営活動の究極的な目的である利益拡大化の追求結果を示すものではなく,チーム経営のある一会計期間の結果としての活動報告と考えられる.したがって,会計情報の利用者は,証券投資者が対象ではない.それら以外の利害関係者に対し,チームを円滑に経営するための諸活動に関する信頼性の担保を要求するものであるということを明らかにした.
 第4章では,これまでの章で明らかにしてきた内容を踏まえ,会計の観点からみたスポーツビジネスにおける組織の管理とマネジメントについて検討した.その結果,スポーツビジネスがさらなる発展を遂げていくためには,スポーツ組織が親会社に頼ることなく,自らが企業として成り立っていくことが必要である.それを実現させるにあたり,スポーツとビジネス両面での知識を有した人材の育成を行うことおよび会計の技術を用いて効率的な組織管理を行ことが必要となってくると結論づけた.

 

論文筆者の感想

 コロナの影響もあり、中々対面授業もできず、3年生から4年生にかけて卒業論文を製作してきました。卒業論文制作のほかに、ゼミではグループワークなども行ってきましたが、期限ギリギリまで何にもできなくて、同期や後輩、周りのみんなに助けてもらってなんとか乗り越えることができました。いつも適当な自分を見捨てず助けてくれた、吉田先生にもとても感謝してます。この時期になっても卒業が決まっておらず不安な日々を送っていますが、吉田ゼミでの3年間のおかげで、とても充実した大学生活をおくることができました。本当にありがとうございました。
 

 

 

 

2022年度卒業論文 『JIT生産の管理会計への貢献と展望』

 

執筆者:Rどっと

 

目次

 

 はじめに

 第1章 わが国における自動車産業の変遷とサプライチェーン

 第2章 製造業における管理会計の陳腐化とトヨタのJIT生産

 第3章 自動車産業における財務データの比較分析

     - JIT生産とサプライチェーンにも触れつつ-

 第4章 JIT生産の意義と非製造業に与える影響

  おわりに

 

 論文要旨

 本論文では,日本の自動車産業の変遷とサプライチェーンについて明らかにし,製造業における管理会計やJIT生産が非製造業へもたらす影響を検討した.

 第1章では,日本の自動車産業の変遷とサプライチェーンについて明らかにした.1960年代から高度経済成長や東京オリンピック,石油危機の影響により,自動車国内生産台数が世界一となり,日本自動車メーカーのグローバル製品・市場戦略の成功が世界で注目された.また,トヨタによるJIT生産は,フレキシブル・スピーディー・ローコストで提供することができ,あらゆる項目において,高い国際競争力を達成していることから,自動車産業の生産・流通システムにおける競争優位を発現していることが明らかとなった.

 第2章では,製造業における管理会計とJIT生産の仕組みについて明らかにした.1980年代の管理会計システムは,簡易的な原価計算システムを簡易なまま利用し続けており,グローバル競争においてすべてのシステムが陳腐化してしまっていた.これを機に,日本の製造業者が開発した全社的品質管理やジャスト・イン・タイム在庫システムが登場したことが明らかとなった.

 第3章では,トヨタグループと日産グループの財務データについて分析した.両社とも系列サプライヤーを組織化し,自動車部品の継続的取引を実施していたが,利益やリスクの分配メカニズムは異なる特徴を有していることが明らかとなった.

 第4章では,トヨタのJIT生産の意義と非製造業へ与える影響について検討した.近年,環境負荷の少ないエコ製品を購入する意識が強まっているなかで,環境負荷を軽減するJIT生産のような循環型生産の実現が必要とされていることが明らかとなった.また,JIT生産は,製造業のみならず非製造業においても多く応用されており,持続可能な社会の構築に必要な取り組みであることを明らかとした.

 

 論文筆者の感想

 私たちの代は、入室と同時に新型コロナウイルスの感染拡大により、対面授業やゼミ合宿など理想としていたゼミナール生活を十分に経験することができませんでした。その中でも、オンライン授業を通じて少しづつゼミ生と関わりをもつことができ、ゼミの楽しさを感じることができました。グループの仲間と会計について深く考察したことや、自分が教師となり授業を行ったことなど、授業をやってみて感じた難しさが多くあり、とてもいい経験になりました。心優しい吉田先生と同期のみんなのおかげで卒業論文も完成させることができ、貴重なゼミ生活を終えることができました。本当に感謝しかありません。ありがとうございました。

 

 

 

2022年度卒業論文『電子商取引市場の進展とGAFAの財務的特徴に関する一考察』

 

執筆者:Y

 

目次

 

はじめに

第1章 グローバル経済における電子商取引市場

第2章 電子商取引とGAFAのビジネスモデル

第3章 GAFAの財務的特徴の実態と分析

第4章 GAFAのビジネスモデルの展望と財務的課題

おわりに

 

論文要旨

 

本論文では,電子商取引市場の拡大の経済的背景と内容を明らかにし,さらにGAFAのビジネスモデルの実態から財務的特徴の分析を行った.また,GAFAと近年,ますます成長を遂げているBATHやユニコーン企業との覇権争いをするうえでの問題点やビジネスモデルの展望を検討した.

 第1章では,電子商取引市場の現状やGAFAの登場背景について明らかにした.EC市場拡大の背景には,近年のインターネット普及率の上昇やスマートフォン・タブレット端末の普及といった社会的要因やEC事業者の提供サービス拡大に伴う消費者の利便性向上といった様々な要因が存在していた.

第2章では,電子商取引とGAFAのビジネスモデルをそれぞれ明らかにした.第1に,Appleは,1976年の創業以来,ハードウェア革命を起こしてきた.第2に,Amazonは,世界最大級のマーケットプレイスを提供し続けている.第3に,Googleは,検索エンジンから始まり様々なwebサービスを提供している.第4に,Facebookは,コミュニティインフラとしての強みを有している.

第3章では,GAFAの財務的特徴の実態と分析について明らかにした.第1に,Googleの特徴は,キャッシュリッチな投資会社であること,第2に,Appleの特徴は,決算書において,有価証券が大きいことや,利益率が高いことがあげられた.第3に,Facebookの特徴は,2018年末の決算資料によれば,負債が少ないことと,売上の99%が広告収入であることがあげられた.第4に,Amazonは,売上が多いけれども,利益は少ないという特徴があった.以上のことから,GAFAはそれぞれ違った財務的特徴があることが分析によって明らかになった.

4章では, GAFAの今後の展望と課題について検討した. Googleは検索エンジン,Appleは通信機器,FacebookSNSおよびAmazonECサイトと,現在のIT社会において必要不可欠な要素の覇権を有している.しかし,世界の時価総額で上位に居続けるには,常に進化をし続けなければならない.

GAFAの財務的課題は,GAFAがすでに多くの分野で最大のプラットフォームと化していることである.規模が大きいあまりに,ほかの企業が新規参入する余地がなくなっている.こういった市場を独占してしまうことによって,Googleが独占禁止法に違反しているとして提訴され,EUに巨額の罰金を支払っているといった問題がある.これは,Googleだけでなく,AppleFacebookAmazonにも同じことがいえよう.このことから,GAFAのプラットフォームの在り方を明らかにし,その存在意義を明確にすべきであると結論づけた.

 

論文筆者の感想

 約2年かけて卒業論文を制作してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりゼミ生とかかわる時間が短く、ひとりで論文と向き合う時間が多かったため、苦労したのを覚えています。会計という分野には、高校生のころから触れていたため、講義内の問題はある程度、理解がしやすくはありましたが、論文のように自分で考え分析し、作成することの難しさを痛感する2年間でした。それとともに、徐々に形になっていく論文を見て、自分の成長を感じることもできました。卒業論文の制作を終えた今は、達成感と解放感でいっぱいです。

 同じ境遇で苦労しながらも最後まで駆け抜けた同期のみんな、いつも面白おかしく、でも真剣に指導してくださった吉田先生のおかげで無事卒業できそうです。本当にありがとうございました。

2021年度卒業論文『原価計算基準研究』

執筆者:K

目次

 はじめに
第1章 原価計算の多様な目的
第2章 わが国における原価計算基準の設定過程
第3章 アメリカとわが国における原価計算基準の比較と検討
第4章 原価計算基準の問題点
 おわりに

論文要旨

 本論文では、わが国とアメリカにおける原価計算基準よ相違およびわが国の原価計算基準の問題点を明らかにし、原価計算基準に含まれる実際原価計算制度と標準原価計算制度の実施について、どのように向き合っていくべきかについて明らかにした。
第1章では、わが国における原価計算の目的と原価の本質を明らかにした。原価計算には、財務諸表の作成、価格計算目的、原価管理目的、予算管理目的および基本計画目的の5つの目的が存在した。5つ原価計算は、いずれも計算を終わらせることを目的とはしていないことを明らかにした。
第2章では、わが国における原価計算基準の設定過程を明らかにした。原価計算基準では、「仮案」でこだわりのあった原価計算制度を異なる目的が共同に達成されるべき一定の計算秩序とみる考え方や企業会計原則を財務会計だけでなく、管理会計も含む企業会計の原則として誤解されていた点が修正された。これにより、基準が経営管理のための原価計算にも従うべき原則であることを明らかにした。
第3章では、アメリカとわが国における原価計算基準の相違を明らかにした。異集団が従わなければならない拘束性を持たないAAA原価委員会報告書やAAA管理会計委員会報告書を、基準と断定することはできなかった。基準は、資料を会計情報に含ませるか、排除するべきかの判断基準である。しかし、AAA原価・管理会計の基準が原則が持つ絶対的なニュアンスを含ませないため使用したものとは異なることを明らかにした。
第4章では、わが国における原価計算基準の問題点と今後の取り組みについて検討した。正常な原価だけでなく異常な原価あるいはその他の費用が混在してしまっている状況があることを明らかにした。標準原価計算制度は、実際原価計算制度の問題点を補う工夫がされたが、事務コストが増加してしまうことや、製造間接費の増加も問題としてあげられた。このような問題点を克服するために使用されたのが活動基準原価制度であったが、現在多くの中小企業では、実際原価ですら実施することが困難な状況下である。したがって、まずは無理なく標準原価計算制度を導入し、企業が原価や利益を管理するための製品原価を把握しコントロールしていく必要があると結論付けた。

論文執筆の感想
 2年生の頃から約3年かけて卒業論文を書き続けてきました。ゼミに入室したばかりは、会計の知識が全くない状態であった為、焦りや周りとの差を感じることから不安をおぼえることが多くありました。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により対面でのゼミナール活動ができなくなりました。それにより、卒業論文を例年通り順調に進めることはできませんでした。しかし、そんな中でも先生はいつでも側に寄り添ってくれました。また、私達の学年は男子は私1人で女性が6人でした。しかし、同期6人のとても優しく大人な女性達のおかげで男子1人でもゼミナールの時間が楽しみになるほどの環境が常にありました。卒業論文を無事書き終えることができたのは、数え切れないほどのアドバイスを先生が伝えてくれたことや、同期の多くの助けがあったからです。約3年間本当にありがとうございました。

1. カジノ会計に関する一考察

2. 執筆者 再履修

3. 目次

  はじめに

 第1章 カジノの分類と制度

 第2章 カジノにおける会計業務

 第3章 テーブル部門とスロット部門の内部監査

 第4章 わが国におけるカジノ法案とカジノ会計の展望

    おわりに

4. 論文要旨

  本論文では、米国のカジノ法案や会計基準を参考にしつつ、カジノ会計の制度化やカジノ会計の業務内容について明らかにし 

 た。

  第1章では、カジノの事業形態、ゲームの種類や制度について明らかにした。第1にカジノの事業形態は、地上、船上に分けら

 れそれぞれの利点や、目的とするターゲットの違いを指摘した。第2に、カジノを合法とする地域を手本にカジノから公的財源を

 獲得する仕組みについて明らかにした。

  第2章では、わが区において、まだ定まっていないカジノにおける会計業務を米国の米国財務会計基準審議会が公表している会

 計基準編纂書にもとづいて明らかにしている。

  第3章では、テーブル部門とスロット部門の内部監査について明らかにした。それぞれに存在するリスクを踏まえ、業務上の不

 正の防止に備えた手続検討した。その結果、収入については把握、検証、かつ記録されていることを必要とした。

  第4章では、これまで検討してきた事項を踏まえ我が国におけるカジノ法案とカジノ会計の展望を検討した。もうすでに2016

 年に「I R推進法」、2018年に「I R整備法」が成立し,我が国のカジノ産業の発展の準備を進められている。しかし、カジノ産業

 が健全な発展を遂げ、公正な会計慣行の確立や監査基準の確立が不可欠であることを確認した。その上で、まだ始まったばかりの

 わが国におけるカジノ産業への道筋や課題を明らかにした。

 また、これからのカジノ会計で期待されているものとしてカジノ管理システムの導入がある。これは会計のツール、管理システ

 ム、監視およびセキュリティなどを一連の機能が含まれているものである。これによりカジノ産業あるいはカジノ会計の複雑さを

 解消し、さらに安全で公正なカジノを提供できると結論づけた。

 

5. 論文執筆の感想

  まずは、無事卒業論文をかき終えたことに心の底からホッとしています。自分の卒業論文のテーマであるカジノについてですが、普段賭け事は全くしないですし、特に物知りでもないので知識ゼロのところから始まり、正直自分での何を書いているのかわからなくもなりながらも必死にパソコンと向き合いました。ただただ自分を褒め称えたいです。

 新型コロナウィルスによって対面授業ができなくなったり、吉田先生の都合上ゼミに参加できないということでゼミの担当の先生が変わってしまったりと少しイレギュラーな日々でしたが、ゼミの仲間とも協力し合いながら乗り越えることができました。

 また、一応ゼミ長という立場でしたが、私が出る幕もないくらい平和で優秀な子ばかりのゼミでとても幸せでした。

 提出物の情報をいつも教えてくれたりお昼一緒にピザを頼んで食べたり、たくさん話して笑い合った同期たち、たくさんたくさん笑わせてくださり可愛がってくださった二つ上の先輩方、気軽に声をかけてくださり楽しい授業をしてくださった一つ上の先輩方、しっかりと関わることもなく終わってしまうことが寂しいですが吉田ゼミを選んでくれた後輩たち、そしてそしていろんなことに相談に乗ってくださり、何事も心を広くいいよいいよ、と許してくださって面倒をみてくださった吉田先生、本当にありがとうございました。吉田ゼミの一員でいることができ嬉しく思います。

 

 

2021 年度卒業論文『食品業における管理と会計に関する一考察』

執筆者:ゆみお

目次

はじめに
第1章 食品業界のビジネスモデルと経営管理
第2章 生産管理,棚卸資産管理および販売管理における取引フロー
第3章 生産管理,棚卸資産管理および販売管理の会計と監査
第4章 食品業界における管理と会計の問題点
おわりに

論文要旨

 本論文では,我々に身近でかつ多様な製品を提供し,豊かな食文化を支えている食品・飲料メーカーについて,業界分析や会計監査の視点から検討する.
 第1章では,食品業界の概要と国内の食品業界の現状と動向を明らかにする.第2章では,日々大量生産をする食品に関してどのような流れがあるのかを生産管理,販売管理と棚卸資産管理における取引フローを通して明らかにする.第3章では,生産管理,販売管理と棚卸資産管理の原価集計と,適切な製品原価の評価を明らかにする.第4章では,食品業界の各プロセスをふまえた上で,全体の管理と会計の問題点について明らかにする.

論文執筆の感想

2年生から卒業論文を書き始め、最後まで書き上げられるかとても不安でしたが、親身に寄り添ってくれる先生や同期たちのおかげで最後までなんとか乗り越えることができました。新型コロナウイルスの影響により学ぶ機会や皆に会える機会が一気に減りましたがこのゼミのおかげで簿記3級を取ることができ、就職活動に生かすこともできました。そして最後まで同期誰一人かけることなく皆で卒業論文を書き終えられたことにとても嬉しく感じます。ありがとうございました。

2021年度卒業論文『銀行会計の規制研究』
 

執筆者:よしえ
 

目次
 

はじめに
第1章 銀行会計への規制
第2章 銀行業における有価証券報告書への規制
第3章 銀行業と一般事業会社との財務諸表の比較からみた銀行会計の特質
第4章 銀行会計の規制と財務諸表報告書における問題点
おわりに
 

論文要旨
 

  本論文では,銀行業務の特殊性から,銀行が作成する財務諸表は一般事業会社と異なり,銀行会計を理解するためには,その内容や枠組みを理解する.本論文は,銀行への規制の会計処理への影響と財務報告書の問題点を明らかにする. 

  第1章では,銀行会計の規制について,財務諸表をもとに会計処理の特徴を明らかにする.銀行会計の法と財務諸表を預金者保護や銀行法について検討を行った上で,その会計処理の特徴を明らかにする.
 第2章では,特に有価証券報告書への会計規制について決算業務をもとに明らかにする.銀行の決算手続およびディスクロージャー制度について検討を行った.そこでは,一般事業会社が遵守する会社法と銀行が遵守する銀行法では,決算手続とディスクロージャー制度について相当の異なりがあることが明らかとなった. 
 第3章では,銀行の財務諸表の科目内容にもとづいて会計処理の特質を一般事業会社と比較し,かつ分析する.銀行の財務諸表の特質は,銀行独自の勘定科目や銀行法による会計処理への規制であると考えることができた.
 第4章では,銀行会計の規制と財務諸表報告書の問題点について検討する.銀行が個人や社会にも大きな影響を与える業務上,銀行会計の財務諸表報告書における特殊な会計処理は,多くの規制のもとに行われていることに求められる. 
 

論文執筆の感想
 

2年生時に卒業論文のテーマを決めてから、約3年かけてこうして書き上げることができて本当に良かったです。最後まで諦めずに頑張れたのは、ゼミ生の仲間や吉田先生のおかげです。吉田ゼミに入って学んだことはたくさんあります、卒業してからもこのゼミで得た経験をもとに成長できるよう頑張ります。3年間ありがとうございました。

 

1.2021年度卒業論文『旅行業における環境の変化と企業財務への影響に関する一考察』
2.中学生
3.目次
はじめに
第1章 旅行業界のビジネスモデル
第2章 旅行業界におけるパンデミックとGOTOトラベルの影響
第3章 大手旅行会社のパンデミックとGOTOトラベルによる企業財務への影響
第4章 パンデミック終息後の旅行会社の企業財務
おわりに
4.論文要旨
本論文では,旅行業界のビジネスモデルを明らかにし,旅行業界におけるパンデミックとGOTOトラベルの影響を検討した.大手旅行会社の財務諸表を比較分析し,パンデミック終息後,旅行会社の企業財務の変容を検討した.
 第1章では,旅行業界のビジネスモデルを明らかにした.旅行業においては,プロフェッショナルとして,より専門性が高く,網羅的で,正確かつタイムリーな案内を,的確かつ要望以上の内容で回答することにより,顧客の確保に繋がるだけでなく,その存在意義が高まることが明らかとなった.
 第2章では,旅行業界におけるパンデミックとGOTOトラベルの影響を明らかにした.新型コロナウイルスの感染拡大により観光産業は危機に直面したけれども,GOTOトラベルキャンペーンが開始したことにより,結果として経済を円滑に回していくきっかけとなったことが明らかとなった.
 第3章では,大手旅行会社のパンデミックとGOTOトラベルによる企業財務への影響を,財務諸表を用いて比較分析した.観光業界を取巻く環境は,厳しく,かつ新型コロナウイルスという自助努力の範囲を超えた外部環境の変化によって苦境に立たされている以上,業界への支援は必須であることが明らかとなった.
 第4章では,パンデミック終息後の旅行会社の企業財務について検討した.パンデミック終息後,観光市場の成長に資する施策だけでなく,新たなリスクに備えた施策についても議論の充実が望まれることが明らかとなった.本論文の結論は,今後,新型コロナウイルス感染症を契機として,人々の密集を避ける生活習慣が長期間続くことが予想されるため,新たな観光政策の展開が急務であることに求められる.その上で,観光市場の脆弱性を再認識し,観光関連産業や地域が立ち直る力を支援する仕組みづくりを求める意見が重要となろう.

5.論文執筆の感想
 2年生の頃から卒論を書き始め、新型コロナウイルスで対面でのゼミの授業が行えないことも多々あり、不安もありましたが、なんとか書き終えて達成感でいっぱいです。旅行関係の仕事につきたかったため、途中でテーマを変えましたが、新型コロナウイルスにより希望の旅行業界への就職は叶いませんでしたが、旅行業について知れてよかったです。
 まったく会計の知識がなく授業中に先生に集中攻撃され、反発し、ゼミの授業の雰囲気を壊したことは反省しています。たびたび反発をし、面倒くさいゼミ生だったと思いますが、就職活動の際は親身になっていただいた吉田先生、クセしかない先輩方、授業中騒いでも笑ってくれた同期、たくさんの方々のおかげで最後までゼミを続けることができました。本当にありがとうございました。