ちょっと考えることがあったので、久しぶりにブログを書こうと思います。
・・・と思ってここに来たら、ブログを書くのはなんと約1年ぶり。皆さま、ご無沙汰しております。はい、私は生きております。
さて、と、
書くのは企業のソーシャルメディアポリシーに関してです。
現在、ソーシャルメディアは着々と市民権を得てきています。mixi、ブログ、2ちゃん、Y!掲示板、知恵袋、教えて系、facebook、Twitter、Gree、モバゲー、YouTube、Ustream、ニコ動・・・・など数え切れないものが存在していますが、有事の際も大活躍でした。
そんな今、企業がソーシャルメディアガイドラインやポリシーというものを定めるのはもはや常識となってきました。ただ、いろんな企業のそれを見てもほとんど同じで、特に企業毎に特徴があるというものでもないように思えます。
でもそれには理由があって、規則やルールはある程度のパワーは持つものの実質的な拘束力はそれほどなかったり、規則が強すぎると逆に人間の表現の自由を損なう恐れがあったり、正社員ではなく契約や委託/アルバイトなどの雇用形態はどうすべきかや勤務時間外はどうするんだという課題があったり、といろいろです。
私もそのポリシーは前職でも現職でも早々に策定しました。ソーシャルメディアが社会に根付き始めているからこそ。
しかし、ポリシーがちゃんと全社に浸透するというのはとても難しいのが現実だと思います。作ったはいいが、それをカスケードするのはなかなかしんどい作業だし、また新しいルールかよーという反発が起こるかもしれないし、こっちはそんなことやってる暇はないんだよーというエクスキューズにさらりとかわされるかもしれないし。
ポリシーを作る側には、ちゃんとした理由があります。決して外部へのアピールなどではありません。
これを読んでいる方はTwitterで炎上したニュースをいろいろ知っていると思います。有名なところだと、あるホテルの従業員がお忍びで来店した著名人カップルをつぶやいてしまったケースや、あるショップの店員が来店した有名人を卑劣な言葉で表現してしまったケースなど。
例に挙げた二人は、両方悪気はなく、何気なく、そして近しい友人に向けてであろうつぶやきをしただけなのに、それが大きく広がることになりました。ネットで大炎上&お祭り騒ぎになり、二人の個人情報は晒され、中傷され、デマも飛び交い、そして職さえも失うことになるのですが、二人ともこのような結果になるとは全く想像していなかったでしょう。
上記ショップ店員さんは新卒1ヶ月半の方でした。頑張って勉強して学校に通い、苦しい就活を乗り越え、晴れて入社して人生最初の給与を手にした半月後、その会社を去ることになったわけです。
その方は、これからの人生いろんな困難が待ち受けているはずです。人生を棒に振ったというのは言い過ぎかもしれませんが、彼女の個人情報を含む一連の情報はWeb上に散乱したままですので、再就職しようとしても企業の採用担当者がWeb検索した瞬間にその方の情報が顔写真と共に現れることになり不採用の嵐になるかもしれません。ソーシャルフィルタ以前の問題です。
また、その方は住所も知られているわけなので、付近の住人からの視線もあり引っ越さざるを得ないかもしれません。ご家族と同居していたのなら、ご家族にも影響があるかもしれません。ご家族の仲間や職場にも影響があるかもしれませんし、ちょっと極端ですが、ご親族にも影響があるかもしれません。
企業が社内に浸透させたいのは、この危険性です。その怖さを知ってもらうことが狙いです。だからこそ各企業のそれが似通っているのです。体裁ではなく、文章丸暗記でもなく、意識の問題だから、細かいところなんてぶっちゃけどうでもいいのです。
ソーシャルメディアポリシーというのは、別に企業のブランドを守るためだけに作るのではありません。従業員の人生を守る、という大切な目的があります。
愛すべき従業員/同僚に上記のような問題を起こして欲しくない、いや、起こさせてはならない。だからこそ企業はポリシーやガイドラインを作るのです。だからこそ、それを全社で共有するのです。従業員に幸せな人生を送って欲しいからこそのもので、ブランドを守るというのは二番目の目的と言ってもいいかもしれません。
ただ、私は全ての企業がそのように従業員のためを思ってポリシーを作るとは思っていません。でも、自社のブランドを~だとか、社員の規律を~だとか、そういうポイントだけにフォーカスしている企業ほど浸透していないような気がします。
社員の人生を守るために、という視点を持てば、できることは大きく変わってきます。ポリシーを策定した部署から一方的に社内伝達するのではなく、様々な部署と一緒に浸透させていく感じでしょうか。例えば、人事/人材開発的な側面からどのような教育体制を敷くべきなのか、とか、日々お客様と接している営業サイドではどのようなことを日々伝えなければいけないのか、とか、ITの視点でどのようなアプローチが可能なのか、とか。社員の人生を豊かにするという大義があれば、きっと全部署が協力するはずです。だって自分の人生でもあるし。
企業を守る、というのは、社員を守るということでもあります。そのことを、今だからこそ、再度肝に念じようと思います。
(とかいう私も浸透させるのに苦労してたりします 汗)
※例に取り上げさせていただいた何気ないつぶやきで苦労しているお二人だけでなくソーシャルメディアで苦労されている方々は自業自得だという意見は理解しますが、何かこう、失敗してしまった方を救済する仕組みも欲しいな、とも思っています。もっとも、その方が反省しているのであれば、ですが。