質問

うつ病は、本当に心の風邪か？

回答

結論から申しますと、「風邪」ではないと私は思っています。

そもそも、「うつは心の風邪」というコピーは、功罪があります。

年間３万人という自殺者数を抱えていた日本において、

「うつ」というのは、ある種のレッテルがありました

今も根強いですが…

「心の弱い人がかかる病気」

「うつと診断されたら薬漬けにされて人生終わる」

「一生仕事にもどることができない」等等

事実、そういった現状もありました

医療機関も「精神科」という標榜をやめて、「心療内科」「神経内科」など、

病院にかかってもらうハードルを下げることを、

このコピーの流布とともに行いました

つまり、「功」としては、「うつかもしれない人」が

「病院にかかる機会を増やした」というものはあると思います

現状は「気軽に」とは程遠いものの、それでも「敬遠」よりは、

かかる人は増えたし、
うつで病院にかかっているという事実に対する認識やケアも

年々よくはなっているでしょう

「罪」は、まさに「この質問文」と同じことです

「風邪」と称されることで、「誰でもなる可能性がある」という認識が

広まったのはよかったのですが、

「気合」や「寝てれば治る」といった風邪の「軽いイメージ」がついてしまった

はっきり言って「間違いが広まった」のは大きな罪でしょう

ただ、日本という国は、例えばHSPも「繊細さん」という

無用なレッテルのおかげで、その知識が広まったのは功ともいえるし、

「私は繊細だからお前らガサツな人間は気を遣え」といった誤解や、

それを元に「かえって冷遇を受ける当事者」を生み出した罪は大きいと思います

大切なことは、身近な人が困ったら、「一次情報」からしっかりとした知識を持ち、「病院へ繋げること」だと思いますし、

ご自身がそのような状態に陥った時も「病院にとりあえず行ってみよう」

ということが大切だと思います

精神疾患に関する治療も日進月歩。１０年前くらいは、まだまだ「多剤処方」で

２０種類の薬を１０年以上飲み続けているが、
何も治らないという人もざらにいましたが、現在では厳しい「処方制限」があります

また、薬と併用か、症状・疾患によりますが（

例えば初期の統合失調症にはお薬が効く）、お薬に頼らずに、

専門職と連携して治療にあたる医療機関も増えつつあります

自分自身とは違う世界と思っていたことや、

知りもしなかったことに触れる機会というのは多い方がいいとは思いますが、

触れる時にその「情報源」というのは重要だとは思います

何かの参考になれば幸いです