靖国問題を憲法論的観点から議論する~論点を絞ることの意義~ | 江東区の家庭教師&ライターのみみずく~半蔵門線・大江戸線沿線及びオンラインで指導中~

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大学時代、僕は公民科教育論という講義を受講していました。

高校公民の教員免許を取るのに必須だったからです。


その講義の中で模擬授業をしました。

僕が扱ったテーマは靖国問題


小泉純一郎首相の靖国神社参拝が

にぎやかに議論されていた時期でした。

中国からの圧力もありましたし。


日本国憲法の視点から靖国問題を議論しよう!


こんな感じのテーマを掲げ

生徒役には賛成・反対それぞれの立場から意見を出してもらいました。


そもそも小泉首相が神社に参拝することと憲法って、

何の関係があるの?


そう思った人に質問です。


憲法を守らなきゃいけないのは誰でしょう?


答:国と国の一部として仕事をする人


これ、意外に知らない人が多いんです。

というか、自分も法学部で勉強するまで知りませんでした(笑)


憲法とは、国が国民に危害を加えないように

国ができること・できないことを明記している特殊な法なんです。

逆に言うと、ふつうの国民は原則として憲法を守らなくたっていいんです!


小泉さんがそこら辺のオッサンだったら

靖国神社にどんなに参拝しようが何の問題もありません。


でも、小泉さんは首相=国の代表です。

当然、憲法を守る義務が生じるわけです。(99条を見てね!)


そこで、問題となってくるのが20条と89条です。

信教の自由と政教分離の条文ですね。


簡単に言ってしまうと、


国民はどんな宗教を信じてもいいし

国はどの宗教に対しても影響を与えてはいけない。(12条)

それを保障するために、国のお金を宗教団体に使うことを禁止する。(89条)


という条文です。


神社は神道系列の施設です。

宗教施設です。

神社に首相が参拝することで

国が神道を支持しているような印象を与えかねないわけです。

当然、それを嫌がる人たちもいます。

実際に日本各地で訴訟まで起きています。


こうした憲法上の問題点を考えてみようっていう授業だったんです。


そもそも信教の自由って何のためにあるの?

これまで裁判所は宗教の問題をどう解決してきたの?


これらを踏まえながら自分の頭で考えてみるんです。

もちろん唯一絶対の正解はありません。

だからこそ、他者の意見にも耳を傾け、より精緻な議論を展開します。


こういうちょっと高度な授業って楽しいんじゃね?

いろいろ考えながら、模擬授業をしました。


で、生徒役の反応はというと


「考える授業でよかった」

「難しいけど刺激的だった」

「思っていたより中立的な授業だった」←(笑)


という法学部生を中心とした評価。(まあ身内だしね(^_^))


一方で、文学部・教育学部の人からは


「偏った授業だ」

「論点のすり替えだ」


などの批判的な意見もいただきました。


批判は批判でありがたいですが

この批判はちょっとな……というのが正直な感想でした。


批判してきた人たちは

論点を絞るということが分かってないんですね

何でもかんでも大風呂敷で議論すればいいってもんじゃないです。


靖国問題には憲法論以外にもたくさん論点があります。

靖国神社の意味、戦没者の遺族の思い、アジア諸国の圧力、……

でも、それらを全部議論しようとすると収拾がつかなくなります

それに、理屈では解決できない感情が入り込んできます



だから、あえて憲法に論点を絞って考えてみようと言ったのに……


話の通じない人たちって

世の中にいるんだな(*´Д`)=3ハァ・・・

という、僕自身も学ぶことの多い模擬授業でした。


ちなみに、論点を絞るという技法は小論文でも重要です。

おそらく僕の授業を批判した人たちが小論文入試を受けていたら

みんな不合格だったでしょうね(笑)