白昼夢 -2ページ目

白昼夢

「夢日記」

水平線が波打つように歪んでいる.
足元に犇めくテトラポッド.
その隙間から見えた海の色は
着色料のような、
人工的な青色をしていた.

「見つけなきゃ」

積み重なる苔むした祠の上を
滑らないよう、わたしは慎重に歩く.
洞窟の前に設置された朱塗りの鳥居をくぐり、
先の見えないトンネルに足を踏み入れた.

歩く度に足元の古びた木製の板が軋んで、
ぎぃぎぃと耳障りな音を鳴らす.

「うわ、」

突如目の前に現れた
大きな黒い物体は
どうやら干からびたコウモリのようだ.
その規格外の大きさに驚く.
翼を拡げた状態のまま縄で縛られ
逆さに吊るされていた.
避けるように屈んで先へ進むと
次々に吊るされた動物が目の前に現れた.
腸の垂れ下がった上半身だけの猿や
猫の生首.
奥へ進むにつれて吊るされたモノは
鮮血が滴り落ち、
原型もわからない程の塊になっていた.
海水に血液が混じる.
いつのまにか潮が満ちてきた.

早く洞窟を抜けなければ.
わたしの少し後ろで、
ぎぃ、と、板の軋む音が聞こえた.