この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がせておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
これは于武陵(うぶりょう)とういう人物が詠んだ「勧 酒」という漢詩を井伏鱒二が訳した詩。
憂いと同時に刹那的な美しさを感じる。
どんなに美しい花も嵐が来れば散ってしまう。
それは花だけではない。大切な人や時間、家、自分の命だって必ず終わりが来る。
人生は別れの連続だ。
でも、だからこそ「この杯を受けてくれ」と言うのだろう。どうぞ遠慮せず飲んでくれと。
お互いが確かに存在しているのは「今」しかないのだから。
「さならだけが人生だ」
たぶんこの言葉に明確な反論は誰もできない。
なのでせめて、
さよならが美しいものでありますように。