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目には目をでなく、すべての意識がペイフォワードにシフトする。

例えば、こどものころから慣れ親しんでいる物語から変化していったら、、。


そんな思いがこみあげてきて
御存知のお方も多いと思います、「さるかに合戦」のお話をシフトチェンジしてみました。


心荒んだ昨今のこどもたちが、ちいさなころから慣れ親しんできた昔話から、

人を許す心、思いやる心で、人を包む生き方をおしえることができないかと、


まずは自分の子供につたえたくて、あたらしい「さるかに合戦」を描いてみました。

いじめが加速するこの時代、どう生き抜くかを教えrのも大切なことだとおもっています。


私たちが慣れ親しんできた「さるかに合戦」。

時代が変わった次世代を生きる猿と蟹も進化しました。


ではお楽しみ下さい。

******************

「その後の“サルとカニ” 」 作:稲垣水祈


ある日、カ二さんが川からあがり、家路へと細い谷道を歩いていると、大きな大きなオムスビに出会いました。

「うん?誰かが落としたのかな?」


その様子を木の上から見ていたサルくんは、自分もオムスビが欲しくなって、木から降りて辺りを探しました。


すると、ちいちゃなちいちゃな柿の種を1個見つけました。


でも、サルくんは、オムスビが食べたい気持でいっぱいです。
ちいちゃくて固いカキの種一つでは、サルくんのお腹の足しにはなりません。


サルくんは良い考えが浮かびました。

そしてカニさんに向かって言いました。

「カニさん、この柿の種とオムスビをとりかえようよ!」


するとカ二さんは、あっさり

「うん、いいよ」 と大きな大きなオムスビをサルくんにあげました。


サルくんは大口をあけて、あっという間に、一口でオムスビを食べてしまいました。

それから、カニさんに向かってバカにしたように尋ねました。

「オムスビと柿の種じゃ、オムスビのほうがいいだろうに、どうしてとりかえたのさ?」


カ二さんの答えは、

「そうだよね。大きな大きなオムスビだったよね。でもね、サルくん。このちいちゃな柿の種を1個まけば、柿の実が百も二百もどんどん増えて実がなるんだよ。すごいでしょう。だから、いいんだよ。」


その話を聞いた途端にサルくんは

「シマッタ!!ヤラレタ!」と思いました。


どんなに大きな大きなオムスビ一つでも食べてしまったら、もうそれきり。




でも、柿の種を持って帰ってまけば、一個の柿の種がいつか何百もの柿の実となり、お腹いっぱいいっぱい食べられるのです。


サルくんは、そのことを知ると、それはそれはとても悔しがりました。


その心うちを知ってか知らずか、カニさんは

「サルくん、柿の実がなったら、ぜひとも食べにおいで下さいね。」とニコニコ笑って言って去っていきました。


カニさんは、家に帰ると、早速サルくんと交換したちいちゃな柿の種一つを庭に植えました。


いつ芽が出るかと楽しみにしていたら、一週間もしないうちに種が芽を出しました。


カニさんは、今度は柿の木の成長が楽しみになりました。

毎日毎日眺めては
「柿の木、柿の木ありがとう。楽しみ楽しみありがとう。大きな丈夫な木となぁれ。いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に食べたいな。いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に喜びたいな。」と来る日も来る日も歌い、そして祈りました。


柿の木は、カニさんの歌に応えるかのように、見る見るうちに大きくなりました。


しかし、どうしたことでしょうか。なかなか実はついてくれません。


それでもカニさんは、嘆くこともなく
「柿の木、柿の木ありがとう。楽しみ楽しみありがとう。大きな丈夫な木となぁれ。いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に食べたいな。いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に喜びたいな。」と毎日休む事なく歌い続けました。



やがて気がついたら8年もの月日が過ぎ、柿の木はそれはそれは丈夫な木となって、そしてとうとうツヤツヤと赤いウマそうな実をいっぱい、いっぱい、いっぱいつけました。


カニさんは大きな声をあげて喜びました。


その声を聞いたサルくんが駆けよってきました。

熟したウマそうな柿の実がいっぱいになっている木を見上げたサルくんは、しばらく口をポカーーンと開けていました。

柿の実の多さに驚いているのでした。


「これがあの時のあのちいちゃな柿の種だって?信じられないな。」


カニさんがサルくんの傍に来て

「ね、サルくん、良い木になったでしょう?あの柿の実は、きっときっと美味しいに違いないよ。ありがとうサルくん。一つお願いがあるんだ。カニの私は登れないので、木登りの上手なサルくん。木に登って、柿の実を私にとってもらえないかな。」


サルくんは、さっそうと木に登って行くと、カニさんにあげる前に我慢しきれなくて、まずは一つと、先に柿の実を食べてしまいました。

「おぉ、これはなんと旨い柿なんだろう。美味しい柿がこんなにも沢山ある。それにここからの眺めもいいいし、こりゃ極楽だなぁ。よく考えりゃぁ、もともと俺が拾った柿の種だったよな。だから俺様がもらっても当然だね。カニにあげることもない。やめた、やめたカニにあげるのやめた。俺様の柿だ!」



そう呟くと、カニさんには一つも取ってあげずに、いくつもいくつも口に頬張っては、満足そうに食べて、種だけ下にプップッと吹いては、涼しい顔をしていました。

挙句の果てには、大きくなったお腹をさすりながら、
「あぁ食った、食った。旨い、旨い。」と言いながら、良い気持となって木の上で昼寝を始めてしまいました。

しばらくして目を覚ましたサルくんは、いつのまにやら、あくる日の朝になっていたことに驚いたようです。たらふく食べたものだから寝過ぎてしまったようです。

ふとカニさんの家に目をやると、なんだか騒がしい一行がこちらに向かってやってこようとしています。

栗さんや蜂くん、そして牛くんや臼さんだのが連れ立ってやってきました。

サルくんは
「きっとカニのやつがみんなに呼びかけて仕返しにきたんだな。そうはいくか。柿の実は一つでも渡すもんか。見てろ。」と言って身構えました。


柿の木の下に、カ二さんと栗さんがやってきて、サルくんに向かって言いました。

「サルくん、おはよう。お目覚めはいかがかい?今日はね、みんなで臼さんの家で餅つきをしたので、きなこ餅にして持ってきたよ。カニさんと一緒にお話ししながら食べようと思ってね。」と言いました。

そばにいる蜂くんも牛くんもこっくりと頷いて、カ二さんのお話を聴きたそうにしています。

カニさんは
「ちょうど良かった。前からみなさんに柿の実ができたら種をくださいと頼まれていましたね。ほら、柿の種がとれた所ですから約束通り、差し上げましょう。」


そう言ってカニさんは柿の種を拾い上げ、栗さんや鉢くんや牛くん臼さんに渡してあげています。


木の上から様子を伺っていたサルくんは、昨日自分が意地悪をして投げた柿の種を、みんなに配っているカニさんをみて拍子抜けしてしまいました。


こっちが意地悪をしているのに、カ二さんはちっともこたえていないようです。


いっぽう、木の下では、きなこ餅を食べながら、みんなの話しが盛り上がって楽しんでいる様子が伝わってきます。


何を話しているのかと所々しか聞き取れませんが、いかにも楽しそうなその様子を見ているうちに、サルくんは、カニさんたちが気になって気になって、自分も輪の中に入りたくて、たまらなくなりました。


しかし、カニさんにさんざん意地悪をしたあとです。


ましてや「この俺様が人の言うなりになんかなれるものか」というプライドもあって、決まりが悪くて木から降りることができません。



だけども楽しそうに話をして、きな粉餅を美味しそうに食べているみんなの中に入りたくて、とうとう我慢ができなくなりました。


サルくんは、柿の実をとっては腕一杯に抱えて木から降りて、みんなの前へ降りて行きました。

そして、カニさんと栗さんや蜂くん、牛くん、臼さんのみんなに向かって
「柿をもいできたから、俺も仲間に入れておくれよ」と赤い顔をもっと赤くしながら、小さい声で言いました。

言い出すまではとっても恥ずかしくて気まずかった、サルくん。

でも、この一言を口に出したら、つっぱていた自分の殻が破れた感じで、スッと心地よいやすらぎに包まれました。

いったい何のプライドだったのでしょう。不思議なことにとっても気持ちが穏やかになっています。

山の向こうに夕陽がさし込みはじめ、みんなが帰り支度を始めた頃、サルくんは言いました。


「カニさん、きのう、あの俺、意地悪をして柿の実をとってあげなかったの、悪かったよ。ごめんね。」


カニさんは、
「えぇ?何を言ってるのサルくん?両手にいっぱい抱えて降りてきてくれたじゃないか!ありがとう!」と答えました。

「う、うん。ありがとうカニさん。俺、木の上からカ二さんたちを見ていたら、どうしても仲間に入りたくなったんだ。いつでも独りでやりたいようにやってきたし、ずっとそれでいいと思ってたんた。でもやっぱり、それはつまらないことに気がついたんだ。」


その想いを聞いていた他のみんな、そう思ったのは、サルくんだけではなかったようでした。


栗さんも蜂くん、牛くんも臼さんもサルくんと同様、カニさんを見ているうちに
「 カニさんは何だか違うな。カ二さんといると何だか嬉しくなってくるし、幸せになってくる。自分もカニさんのようでありたいなあ」と感じて集まってきた者たちだったのです。


実は、サルくんと同じようにカニさんに意地悪をしたり、えばっていたりしていたのです。だからサルくんの気持ちがよくわかるのです。


こうして、仲良くなり仲間ができた事で、みんなは自分だけでは、できなかったことができるようになりました。

みんなで楽しみあえることが増えてきました。



そして、そんな様子に引き寄せられて、みんなのまわりには、もっと沢山の者が集まるようになって、さらに喜びの実がいっぱいいっぱい増えたのです。


「 いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に食べたいな。いっぱいいっぱい実がなぁれ。みんなと一緒に喜びたいな。」

カニさんの祈り歌の通りになりました。

めでたし、めでたし。


おしまい。



******************

いかがでしょうか?


サルかに合戦は、サルがカニを殺す。

その仇打ちにカニの家族がサルを殺すという復讐劇が描かれている。

でもそれで終りではない。今度はまたサルの家族がカニの家族を襲う。
この繰り替えしで、いわば戦争である。


あいつが悪い、とお互いに思い込んで相手をねじ伏せ、自分を正当化し、目には目を歯には歯を。
やってはやり返し。戦いはいつまで経っても終わらない。

どんどんおきくなり、自分自身も不自由になっていく。


一面だけを見て善か悪か、正しいか間違っているかを突き詰めていったら、そこには調和は生まれない。


カニさんが本当の意味で自分に中心を置いておれば、カニさん次第で話しを変えられる。
カ二さんから行動する事ができる。
カニさんから変ることができる。


たとえサルくんが意地悪を持って近づいても、カニが中心、つまり調和を保っていたら、サルくんの意図は通用しない。

サルくんはカニを変えようとしますが、カ二さんはサルくんを変えようともおもっていなくて、自分の中心つまり調和を生きているので、サルくんが意地悪をしても、悪意を受け取らない。


だから、いつまで経っても戦争は始まらない。

そのうちにサルくんの方が、自分のしている事に自分で気がついてしまうのです。

で、自分で自分の思いと行動を修正するのです。


特別な事をしなくとも、自分が自分でいる限り、受け取り方次第で、捉え方次第で、周囲にも影響して行く。


そんな世界があるのです。


困ったと思った瞬間、困った世界が、困る世界が目の前に繰り広げられ体験してゆきます。


出発点が同じ、サルかに合戦の話しでも、カニさんの受け取り方次第でハッピーエンドな展開になるものです。


ハッピーエンドになるのが大事なわけではないですが、意識のシフトチェンジは、こうした伝統の昔話から変えることもできますね。


こしてみると、随分と小さな時から、あたり前に触れるものの中に、意識のスリ込みが展開されている。


こういうお話が一杯増えると良いですね。

子供の未来も明るいです。


そういえば、台風のとき、中心は静かですね。
中心を保っていると、どんどん色々なものをひきつけます。


あまり、自分だけが~してもらえないとか、いじわるをされているとか、理解されていないとか、
思い過ぎない方がいいのでしょうね。重くしちゃうんでしょうね。


すかっと爽やかスッキリと行きたい2011年。

自然に事がなるようになって、小さな力で大きな事もなしえますし、協力者も増えて喜びもましますね。

御静聴ありがとうございました。



英語訳に変えることができる人が現れたらいいなぁ。。



手前味噌ですが、我がやの小学生には「いいお話しだね」と感激してくれました。