この時期の花と言えば、桜 。
もう一つ挙げなさいと言われれば、「馬酔木(あしび」と答えます。
中古で買ったうちの庭にも、前の方が植えた馬酔木が花を咲かせていました。
馬酔木は、「あせび」とも言うそうで、
馬がこの花を食べると、毒がまわり、しびれて動けなくなるから漢字で
「馬酔木」と書くそうです。
昔訪れた、奈良県明日香村にある、甘樫丘(蘇我馬子の邸宅跡だといわれている)
にも、馬酔木がたくさん咲いて感動しました 。
古くは、「万葉集」にも、馬酔木の歌が記されています。
磯の上に 生(を)ふる馬酔木を 手(た)折らめど 見すべき君が 在りと言はなくに
万葉集 166番歌 大伯皇女
「みすべき君」つまり、「見せたいあなた」とは、彼女の弟のことだと言われています。
万葉集に載せられている歌は6首あるのですが、全てが弟を詠んだ歌だといいます。
弟は、大津皇子。
686年、大津皇子は24歳のときに、謀反の罪をきせられて死罪となっています。
そのとき姉の大伯皇女は伊勢神宮の斎宮として、伊勢に行ってました。
罪をきせたのは、母の妹、持統天皇だと考えられています。
自分の息子(草壁皇子)を天皇にしたいために、大津皇子が邪魔だったと。
母が生きていれば良かったのでしょうが。
母、大田皇女は大津皇子が4歳のときに亡くなっています。
父の天武天皇もすでに亡くなっていたため、後ろ盾がなかったのが残念です。
せっかく才能があっても、自分を守ってくれる、導いてくれる後ろ盾がいないというのは
なんとも悲しいことだったのですね。
全く才能がなければ、目をつけられることもなかったでしょうに。
大伯皇女は生涯独身で、先に亡くなった弟を思い、41歳まで生き、
その生涯を閉じています。
大学時代、万葉集のこの時代のことをとても素敵に語る恩師(女性)がいました。
会いたいな・・・。