そして、次に来たのが河豚の白子焼きと煮こごり寄せ。
ポン酢でいただきました。
もうねぇ、白子の表面をちょっと炙って焦がしたのが、おいしくて・・・。
香ばしさととろっとした食感が溜まりませんでした。
ここで、ポン酢っていうのも口の中がさっぱりして「まだまだいただけるぞ!」って感じでした。
・・・で、ここからが「料亭」の真骨頂です。
仲居さんが壬生大明神の名前を書いた短冊を持ってきました。
二人の仲居さんと一緒に「鬼はうち 福は外」と言ってから夫が木槌で素焼きのほうろくを
たたき割ると中から出てきたのがマナガツオとふきのとう、椎茸を紙で巻いたもの。
ありがとうございます、今年もいままで以上にいい一年になりそうです。
こういう「+α」が一流の一流たるゆえんですね。
本当にいい趣向でした。
で、お味。もうねえ、外は甘めのタレで焼いてあるんだけど、お箸を入れるとさくっと割れてほろ
っと崩れて、食べたらしっとりした味が口いっぱいに広がる絶品。
おまけに添えてある蕗の薹がまたまた絶品。ほろ苦くて春の訪れを一足先に楽しみました。
そして、
そして、
最後のお食事。
出てくる前に仲居さんの説明を聞いて「?」
だって
「九条ネギの炊き込みご飯に牛肉を焼いたものを添えてお出しします。」って。
九条ネギの炊き込みご飯?????
一体どんなものが出てくるのか想像もつかない。
おいしいのか???
で、出てきたのがこれです。
リゾット風のご飯の上に くたくたになった九条ネギが乗ってるんだけど、
これがもう美味いのなんのって・・・!
食べたことのないおいしさに絶句。もちろん、香の物もおいしいんだけど、
目もくれずにひたすらご飯をいただきました。
「もうおなかいっぱい」と思っていたのだけどおかわりしてしまいました。
でも、一回しかおかわりしなかったのには理由があるのです。
その後に控えていたのが
白ご飯。
柔らかめに炊いたご飯がつやつや光るのを見ただけでおなかいっぱいなはずなのに
食欲がまたそそられます。
で、食べてみるとこれが美味い!!!
香の物をお代わりするほどのおいしさです。
本当に残すのがもったいなくて・・・とおもっていると、
若女将の(あ、ご飯の時には若女将が来て装ってくれたのでした)
「皆さん、ご飯がおいしい言うてくれはって、おにぎりでもって帰られる方も多いんですよ」
聞いた瞬間、私の目がきらっ!
「いかがいたしましょう?」
「もちろんお願いします!!!」
ってことで、今朝の朝ご飯は吉兆のおむすびでした。
小さなおむすびがたくさん詰まっていて本当においしかった。
今朝になってもおいしいのが凄かった。いや、おそるべし、というのもおそれおおいような食事でした。
で、デザートは
福島産のいちご。器は「永楽です」とのことですが、「永楽」って永楽窯の作品ってこと?
「福」の時が書いてある」黄色い綺麗な器でした。
器で思い出した。この日の器のうち、いくつかは「魯山人」のものだったそうです。
私は行くまでは上述の永楽みたいな「ぴかっ」とした感じの器が多いのかな、と
勝手に思っていたのですが、実際には無骨で味がある感じの器が多くて、驚きました。
が、それがちゃんと風雅な室内の雰囲気やお食事とぴったりあっているんです。
冒頭にも書いたように不調法二人で、本当にもったいないことをしました。
何度も書きますが、もっとちゃんとした人間になって少しでも一流に近づきたい、と心から思いましたね。
夫も「これからテレビ見ながらご飯食べるのやめようね」と言っていました。
いままで素晴らしい晩餐はいろいろありましたが、今回は自分の生活を見直すほどの衝撃でした。
で、最後に出てきたのが柑橘類(名前は分かりません・・・)のゼリー。これも絶品でした。
私はあまりスイーツはいただかないんだけど、思わず言葉を失うほどの美味。
ゼリーの器がその柑橘類そのままだったんだけど、蓋の部分は果肉が残してあり、
それを絞って食べてもいいとのこと。
ほかに、練乳が添えられていたのですがこれもおいしくて、
こんなものまでと言ってはなんですが上品なお味でした。
もちろんお薄もおいしくて・・・。
食べ終わったあとも立ち上がれないほど満足してたら
最後に「塩入ほうじ茶」。これで口の中をさっぱりさせて素晴らしいお食事のお開きです。
で、車を呼んで貰って乗り込んだら、運転手さんまで一流です。
「いかがでしたか?」から始まって心地よくお食事を反芻しながら会話を楽しみつつ
四条駅まで。
で、最後に感動したのが、ちゃんと運転手さんが傘を差して駅の入り口まで送ってく
ださったこと。
ほんの数メートルのことですが最後まで上質な時間を味合わせていただきました。
本当にありがとうございます。
以上、至福の時間のレポートでした。真面目に仕事して、人間としてもレベルアップして
もう一度あんな時間の流れを楽しみたいなあ、と思ったのでした。